キム・レウォンの引越し大作戦 (原題:2424)
制作年:2002年
監督:イ・ヨヌ
出演::チョン・ウンイン、チョン・グァンニョル、キム・レウォン
ジャンル:コメディ
鑑賞:日本版DVD
カン・ヨング(チュ・ヒョン)がボスをしている暴力団は、ナンバー2のパク・テホ専務(チョン・グァンニョル)、イ室長(キム・セヨン)、チェ課長(ハン・ピルス)、オ代理(チョン・ギョンホ)、そしてボスの妻グァンジャ(イェ・ジウォン)がいる。パク・テホ専務は、時価300億ウォンのダイヤモンドを唐辛子味噌の壺に入れて、国外へ持ち出して逃亡しようと計画しており、暴力団が借りていたマンションの一室を引き払うために引越し業者を雇った。暴力団の計画を察知していた検察と警察は、引越し業者に偽装して暴力団の所持している証拠品を押収して逮捕しようと計画する。「韓進宅配」という引越し業者に偽装したチェ・ドゥチル検事(チョン・ウンイン)とトッコ・ジン刑事(ソ・ユジン)たちは、パク・テホ専務たちに指示されながら荷物をトラックに運んでいく。一方、「韓進宅配」をクビになったイクス(キム・レウォン)は、前科ものの若者ハンシミ(パク・チェウン)、トゥドリ(パク・ソンジン)、タビニ(イ・サンイン)を部下にして引越し業の独立会社を設立した。ある夫婦の引越しを請負ったイクスたちは、荷物を積み込み、引越し先のマンションに到着したら、「韓進宅配」の作業員に偽装した検事と刑事に出くわした。「韓進宅配」に恨みを持つイクスは、業者に偽装しているチェ・ドゥチル検事に因縁をつけたり、業者に偽装しているトッコ・ジン刑事を口説こうとしている。検事と刑事たちは、荷物を積み込んだトラックを押収して多くの刑事たちが荷物を調べたが証拠品は見つからず、暴力団たちも唐辛子味噌の壺の中に入っていたはずのダイヤモンドが消えていた。唐辛子味噌の壺に入っているダイヤモンドをめぐって、暴力団、検事と刑事、そこに引越し業者、引越してきた夫婦が絡んだドタバタ劇を描いたお話。
監督は、本作デビュー作のイ・ヨヌ監督。
出演者は、チェ・ドゥチル検事を演じるのは『北京飯店』『マイ・ボス マイ・ヒーロー (原題:頭師父一体)』のチョン・ウンイン、暴力団パク・テホ専務を演じるのは『私にも妻がいたらいいのに』『ベサメムーチョ』のチョン・グァンニョル、引越し業者のイクスを演じるのは『ハーピー』『プライベートレッスン青い体験 (原題:青春)』のキム・レウォン、トッコ・ジン刑事を演じるのは本作スクリンデビューのソ・ユジン、暴力団ボスの妻チョ・グァンジャを演じるのは『アナーキスト』『気まぐれな唇』のイェ・ジウォン、暴力団ボスであるカン・ヨングを演じるのは『ハッピー・エンド』『これが法だ』のチュ・ヒョン。
単純に言うと、ダイヤモンドが隠された壺が、他の壺と紛れた事から沸き起こるドタバタ劇である。暴力団の内部抗争、暴力団と検事&刑事、検事&刑事と引越し業者、引越し業者と仕事依頼した夫婦といった形でストーリーが展開されている。暴力団の内部抗争は、パク・テホ専務とボス妻グァンジャが怪しい関係になっており、二人がボスを裏切ってダイヤモンドを占める計画をしている。暴力団と検事&刑事は、ダイヤモンドの行方をめぐる攻防である。検事&刑事と引越し業者は、捜査妨害されたり、イクスとトッコ刑事との恋をみせている。引越し業者と仕事依頼した夫婦は、引越しに纏わる押し売り業者のコメディをみせながら、家族の温もりをみせている。
本筋はダイヤモンドの行方であり、暴力団と検事&刑事の攻防なのであるが、そこに引越し業者、引越ししてきた夫婦、ボス妻グァンジャの友人、押し売り業者、謝罪を求めるしつこい男といった登場人物がどんどん広がっていくことで、物語に纏まりがないものに仕上がっている。幾つかの物語が並行に流れているのであるが、切り替えが下手なためにごちゃごちゃして観づらくなっているのが欠点である。
コメディ要素としては、非常に貧相であり一度も笑わなかった。イクスのガムテープ攻撃、眉毛がなくなりマジックで書くチェ検事、マヌケな暴力団のイ室長&チェ課長&オ代理の三人組みが作り出す笑い、引越ししてきた夫婦宅に現れる押し売り業者たちといったジャブのような笑いをみせているが、どれも面白くなくセンスが全くない。
コメディを主として、アクションやヒューマンドラマを混ぜながら、ラブストーリーをひとつまみ入れた作品になっている。コメディ作品としては完全に死んでおり、非常にテンポが悪いのだ。複数の物語をしっかりと整理して、切り替えを上手にすれば、少しは良くなるであろう。
【なめ犬的おすすめ度】 ★