女性二人(キム・ヘスとユン・ジンソ)が主人公という点でどのようなものか期待して鑑賞した。イスル(キム・ヘス)とチャグンセ(ユン・ジンソ)という全く性格が違う女性像を表現している点は良いのだが、どうも全体的におもしろさが伝わってこない。期待しすぎたのが原因かもしれない。最初と最後のシーンで出てくるイスル(キム・ヘス)が参加する歌謡教室の生徒たちの合唱シーンはかなり良かったかな。
浮気するのにいい日
制作年:2007年
監督:チャン・ムニル
出演:キム・ヘス、ユン・ジンソ、イ・ジョンヒョク、イ・ミンギ
ジャンル:ラブストーリー、コメディ
鑑賞:韓国版DVD
自由奔放な人妻イスル(キム・ヘス)は、出会い系サイトで知り合った大学生のテディン(イ・ミンギ)と夫(パク・サンミョン)に内緒で浮気をする。テディンが通っている大学に行って一緒に学食を食べたり、腕を組んで歩いたり、ホテルに行ったりと昼間から大胆に行動する。刑事の夫(パク・ヒョックォン)と幼い子供がいる人妻チャグンセ(ユン・ジンソ)は、出会い系サイトで知り合ったプレイボーイで証券会社に勤めるヨウトゥマリ(イ・ジュンヒョク)と喫茶店で顔合わせをする。その後、チャグンセはヨウトゥマリとホテルに行くが、肉体関係を拒み、もう一歩踏み切れないでいる。退屈な日常生活に不満を持つ人妻イスルと人妻チャグンセの二人が、手軽に知り合い若い男性を相手に浮気を楽しむ。夫に黙って昼間に浮気を楽しむ人妻イスルは、ホテルでテディンと情事を楽しむ中、イルスの夫が警察と一緒にそのホテルの部屋に乗り込んできて大波乱が起こり、隣りの部屋で同じように浮気をしていたチャグンセとヨウトゥマリも焦りだし、二組の浮気カップルがピンチに陥る。果たして、二組の浮気カップルに今後どのような展開が待っているのかというお話。
監督は、『幸福な葬儀屋』のチャン・ムニル監督。
出演者は、30代の主婦イスルを演じるのは『赤い靴』『タチャ イカサマ師 (原題:いかさま師)』のキム・ヘス、20代の主婦チャグンセを演じるのは『愛してる、マルスンさん』『私の生涯で最も美しい一週間』のユン・ジンソ、証券会社に勤めるヨウトゥマリを演じるのは『シンソッキ・ブルース』『Mr.ソクラテス』のイ・ジュンヒョク、大学生のテディンを演じるのは『堤防伝説』のイ・ミンギ。
二組の浮気カップルであるイスルとテディン、チャグンセとヨウトゥマリは、出会い系サイトのハンドル名をそのまま役名になっている。意味としては、イスル=露、テディン=大学生、チャグンセ=小鳥、ヨウトゥマリ=キツネである。二組の浮気カップルが、同じ時間軸上で交互にシーンが切り替わって進行していく構成である。
イスルとテディンの関係は、一回り以上年上のイスルがリードする恋愛で、完全にテディンは振り回されている感じだ。食事代もホテル代も車の運転もイスルが行っていることで、少し変わった恋愛模様をみせている。情事のシーンも大人の女性の魅力を全面に出しているイスルには参ってしまう。
チャグンセとヨウトゥマリの関係は、年齢が近いせいもあり上下関係のような感じはない。チャグンセは臆病になっている点もあり、喫茶店での最初の出会いでも緊張感があり、おどおどしている。それに対してヨウトゥマリは女慣れした振る舞いをして、ホテルにまで持っていき、何とかやろうという気で焦っている。やりたいヨウトゥマリと焦らすチャグンセという構図が長く続くのだ。
ホテルでの出来事は、二組の浮気カップルが同じホテルの隣り部屋になっており、何度もすれ違っているが、物語は別々に進んでいき、ついにイスルの浮気が夫にばれてホテルに乗り込んでくるところからドタバタ劇が始まる。イスルの夫が刑事たちを連れてきたことで、イスルとテディンはホテルから逃亡するのであるが、同じようにその刑事がチャグンセの夫であったために、チャグンセとヨウトゥマリも同じようにホテルから逃亡するのである。逃げている最中に、イスルとチャグンセが道端で出会って、二つの物語が繋がる仕組みである。
男性の心理描写をもう少し深く取り上げていれば、双方の違いがみえておもしろくなったかもしれない。テディンとイルスの夫、証券マンのヨウトゥマリとチャグンセの夫を絡ませていれば、男性視点も描けていたのにと思われる。笑いを提供するドタバタ系のラブコメなのだが、内容が薄くみえて、もっと主婦のイスルとチャグンセの日常を描いて欲しかった。中盤以降は、ホテルでの逃亡が続き、イスルの夫婦、チャグンセの夫婦にスポットを持っていき、日常の主婦が心に抱えている不満を発散している感じだ。女性視点の浮気というところで、シリアスにせずに軽いノリで表現しているから韓国国内でヒットしたのかもしれない。ひとつ言えることは、キム・ヘスの魅力を十分に見せている作品でもある。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★