3~4年まえに韓国版DVDで鑑賞済みであったが、先週近所のレンタル屋で100円レンタルサービスをやっていたので本作品の日本語版ビデオを借りてみた。日本語が付くことで以前鑑賞したときの印象が変わるかと期待していたが全く変わらなかった。
THE KISEI 寄生 (原題:白い部屋)
制作年:2002年
監督:イム・チャンジェ
出演:イ・ウンジュ、チョン・ジュノ、ケ・ソンヨン、キム・ヒョンスク
ジャンル:ホラー
鑑賞:韓国版DVD
放送局のPDをしているスジン(イ・ウンジュ)は、番組のためにサイバー犯罪専門を取り扱う部署で働くチェ刑事(チョン・ジュノ)を取材する。チェ刑事は、ある事件を追っておりスジンと同行する。死体安置所で保管されている女性の変死体を捜査しにいく二人は、検死官からの報告で死因は子宮が膨張して内臓が圧迫して亡くなったのだ。被害者の友人に話しを聞きにいったチェ刑事とスジンは、被害者は妊娠していなかったことがわかり、さらにインターネットで「あるサイト」をみていて被害者が、自分が死んだ映像をみたと驚くべきことを発していたことがわかった。同じような事件が、ディスコでチェ刑事とスジンの目のまえで起こった。プライベートで悩みを抱えるスジンは、同じ放送局でニュースアンカーをしているイソク(ケ・ソンヨン)と恋人関係であり、彼の子を妊娠したので仕事のために中絶することを決めた。中絶するためにインターネットで病院を調べ、そこに出向くがホームページとは違う名前の病院名になっていた。その病院で中絶手術をしたスジンは、心のどこかで何かが引っかかっている。そんななか、チェ刑事が捜査していた女性変死事件というのは、死んだ女性がみんなインターネットで「あるサイト」にアクセスしたこと、そして妊娠していなかったのにみんな妊娠していた状態で死んだということなのだ。事件の真相を知るために、チェ刑事とスジンは被害者が住んでいたマンションの1308号室を調べる。事件を追っていくに連れてスジン自らもこの不可思議な事件にまきこまれていくお話。
本作品がデビュー作となるイム・チャンジェ監督。出演者は、放送局のPDをするスジンを演じるのはホラー系の作品には出演したことがない『秘花 ~スジョンの愛~ (原題:オー!スジョン)』『バンジージャンプする』のイ・ウンジュ、チェ刑事を演じるのは『サイレン』『大変な結婚 (原題:家門の栄光)』のチョン・ジュノ、スジンの恋人イソクを演じるのは『密愛』のケ・ソンヨン、被害者の部屋の上の階に住んでいるヨンエを演じるのは『キュー』のキム・ヒョンスク。
連続女性変死事件の原因を追うチェ刑事が、インターネットの「あるサイト」と関係があると感じだすし、事件を追及していくとスジンも絡んでいるのだ。そして妊娠、中絶、胎児と生命の誕生や消滅に関わる題材をしているので多少内容が重くなっている。
女性変死事件を捜査するチェ刑事、プライベートでのスジンの両方の角度をみせてストーリーは展開していく。捜査するチェ刑事は、変死体や被害者の部屋を調べて、事件前の行動からインターネットの聖マリ産婦人科のホームページにアクセスしていたことがわかる。時間軸を同じにしてスジンが中絶した病院が例の病院である。この病院のサイトに奇妙な出来事を引き起こす原因があり、スジンがアクセスしたときに突然白い部屋にスリップして自分が死んでいる映像がみえるのだ。この現象が、事件の被害者にも同じように起こっていることがわかるのである。何故、そのようなことが起こるのかは、ある部屋に隠されているのである。
この作品では、静寂さ、暗い映像で恐怖を与えて、少しグロい映像も混ぜることで視覚的な恐怖をみせている。やはり1308号室の肖像画が視覚に入るところは不気味さを感じさせる。壁にお腹が膨れた妊婦の肖像画がこっちを睨むように置かれているのだ。終盤で、この肖像画がポイントになってくるのはストーリーの流れから薄々感じるであろう。そして1308号室の上階に住むヨンエの存在もかなり怪しいのだ。ヨンエの会話や行動が徐々にみえてきて、事件に深く関わっている人物だとわかるであろう。不可解な事件のオチは、冒頭に出てくるシーンがかなりヒントを与えており、ある人物が絡んでいるのである。
「あのサイト」にアクセスしたときの幾何学的な緑色の映像がずっと気になっており、その真相が終盤でわかる仕組みになっているが、全く違うことを予想していた。エコーに映し出された子宮内をイメージしているのかと思っていたからだ。ホラーとして恐怖を与える力が弱いと感じ、サスペンス的な要素を少し取り入れてはいるが直ぐにわかってしまったので物足りない感じを受ける。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★