下書きが消えたことで再度書き直しをしたが4割ぐらい書いた内容を忘れてしまい、新しいレビューになってしまった。結果的にはこの作品を改めて見つめなおせたのでよかったのかもしれない。
ゲオ・ロボトミー
制作年:2006年
監督:キム・ゴク、キム・ソン
出演:ミン・キョンジン、イ・ランヒ、ナ・ヒョウンミン
ジャンル:コメディ、サスペンス、ホラー
鑑賞:韓国インディペンデント映画2006
ひととき炭鉱の町として盛んだったが今は廃鉱になってしまった町が舞台。30年まえに亡くなった鉱夫が、過去の口調で町の状況を説明して、その鉱夫の息子が主人公であることを語る。石炭に代わって金歯が価値あるものになり、金歯が生えてくる町人は金歯を売ってお金を稼ぎ、町人たちは次第に働くことをしなくなった。町の経済状況は悪化して、町から出て行く住民たちが増えていった。今ではカジノがこの町の名所になっている。アル中の鉱夫の息子、ナレーションをする亡くなった鉱夫、居候の男、若き女性ファイター、金歯商人、若いカップルといった人物たちがこの町で連続殺人事件にまきこまれる。果たしてこの連続殺人事件の犯人はだれか、そして最終的に鉱夫の息子はどうなるのかといったお話。
監督は、昨年の韓国インディペンデント映画2005で上映した『資本主義党宣言ー万国の労働者、蓄積せよ!』の双子の兄弟キム・ゴク、キム・ソン。『資本主義党宣言~』で表現していた資本主義を皮肉った内容になっている。『資本主義党宣言~』ではお金があるとそれだけ消費していくことを主張していたが、本作ではどうやってスピーディにお金を得るかを主張している。
スピーディにお金を得る方法として、この町のカジノ、そして金歯の貴重さで金歯を売ること。炭鉱の町が突然廃鉱になった原因の金歯であるが、そこで裕福と貧乏が生まれながら分かれてしまう。町人のなかでも、金歯が生えてくる人と生えてこない人がいて、生える人は裕福な生活を送り、生えない人は貧乏で労働者として働かなければいけない。金歯が生えてくる人は金歯を売ってスピーディにお金を得ることができる。主人公の鉱夫の息子は金歯がはえてこない貧乏な方である。
カジノを経営する会社がポイントになっており、鉱夫の息子がこの会社の策略にはまってしまう。そして、連続殺人事件が発生していき、若き女性ファイターや若いカップルなどが絡んでくる。鉱夫の息子がこの町から出てソウルに行くのだが、町中で歩いている若い人たちに「ベネズエラってどこ?」と聞いてまわる。だが、誰もがその問いかけには答えず、おかしなオッサンの眼差しを送る。ソウルの町中を映す中で1カットだけ連続殺人犯が歩いており、「何でオマエがそこにいるんだ」とビックリするだろう。エンディングロールが終了後に連続殺人犯のあるシーンがあるので最後まで席を離れずに鑑賞してほしい。前作同様に資本主義を皮肉った作品でもあり、本作ではブラックコメディにサスペンスとホラーの要素がうまく含まれている。
この作品は謎が多い作りになっているのでティーチ・インが必要であり、どのような監督の意図があって表現しているのかが知りたい。それによってこの作品の評価が変わってくると感じた。前作の『資本主義党宣言~』よりは進歩している内容にはなっている。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★