スパイダー・フォレスト 懺悔 (原題:蜘蛛の森)
制作年:2004年
監督:ソン・イルゴン
出演:カム・ウソン、ソ・ジョン、カン・ギョンホン、チャン・ヒョンソン
ジャンル:サスペンス
鑑賞:第5回東京フィルメックス映画祭
幽霊が出るという蜘蛛の森に関する情報提供を受けて取材に出かけたカン・ミン(カム・ウソン)プロデューサーは、重傷になって発見され2週間の昏睡状態から目覚めた。カン・ミンの友人でチェ刑事に蜘蛛の森に2人の死体があるという証言をする。蜘蛛の森にある2人の死体は、カン・ミンの上司とカン・ミンの彼女であるとわかるとカン・ミン自身が有力な殺人容疑者に浮び上がる。事件の真実を明らかにするためにチェ刑事とカン・ミンは一緒にアリバイを解明していく。カン・ミンは、取材の過程で蜘蛛の森の伝説を暴き、この殺人事件の真実を明らかにするお話。
監督は、『フラワー・アイランド』に次ぐ二作目のソン・イルゴン。出演者は、『結婚は狂気の沙汰』のカム・ウソン、『魚と寝る女』のソ・ジョン。原題は『蜘蛛の森』、東京フィルメックス映画祭では『懺悔』、一般上映では『スパイダー・フォレスト 懺悔』と題名が違う。映画祭の『懺悔』というのはソン・イルゴン監督自身が決めたのである。懺悔といった方がイメージが沸くからであろう。
カン・ミンの記憶から事件が明らかになり、その記憶が幾つも分かれている。カン・ミンの上司とカン・ミンの彼女が抱き合っているのを観ているカン・ミン、タバコを吸い終えてからその小屋入るカン・ミン、そして上司が死んでいて彼女は瀕死の状態で何かを話す。小さな窓から犯人らしき人がいて、追いかけるカン・ミン。蜘蛛の森からおりて車にはねられるカン・ミン。この幾つもの記憶が事件当日のアリバイなのである。
事件まえに取材をしていたカン・ミンは、カメラ屋の女性(ソ・ジョン)に会っている。その女性に蜘蛛の森の伝説を聞かされる。その謎の女性と親しくはなるが深い仲ではない。幾つもの記憶を次から次にとでてきて、初めは混乱するが順序よく理解すると「あれ!」って感じがしてしまう。そのために蜘蛛の森の伝説も直ぐにわかってしまう。オチはかなり早い段階で気づいてしまったので、そうでないことを願ってみていたが結果は予想通りのオチ。
まず、オチにいく伏線の張り方はそこそこなのだが、登場人物の少なさで生かし切れていない。そのためにオチが途中で気づいてしまうのがもったいない。生と死を取り上げたのがポイントである。もう一捻りあるとこの作品はかなりよくなるのであるが。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★