サイの角のように一人で行け
制作年:1995年
監督:オ・ビョンチョル
出演:カン・スヨン、シム・ヘジン、イ・ミヨン、イ・ジヌ、イ・イルジェ
ジャンル:ヒューマンドラマ
鑑賞:日韓友情年2005
大学で同級生だったヘワン(カン・スヨン)、キョンヘ(シム・ヘジン)、ヨンソン(イ・ミヨン)の三人は、皆から頭が良くて強い女性だといわれて、卒業後は独自の道を歩み始める。しかし、三人の人生に不幸がおそい、そしてまだこの時代には女性が自立して生活していくことが容易ではなかった。作家になったヘワンは交通事故で子供を失い、それが原因で離婚する。キョンヘは医師との結婚後も放送局での仕事を続け、仕事と家庭を両立していると見られているが、夫の浮気に自分も浮気で応えている。映画監督の妻になったヨンソンは夫の浮気が原因でアルコール中毒になり別居することになる。入院して退院したヨンソンは、ヘワンの家で暮らすようになる。仲良し同級生三人のその後の人生を通して、現代韓国の女性像を描くお話。
監督は、本作が二作目になるオ・ビョンチョル。出演者は、実力者女優のカン・スヨン、シム・ヘジン、イ・ミヨンと豪華な顔合わせ。ベストセラーになった孔枝泳(コン・ジヨン)の小説『犀の角のように独りで行け』(1993年)を映画化した作品である。
始まりは、大学時代の仲良し三人組からであるがカン・スヨンとシム・ヘジンは明らかに老けていて大学生の顔でない。設定上、卒業後の人生を描くのが主だから仕方がない。イ・ミヨンは、当時20代前半だから違和感がない。卒業後の設定では、逆にイ・ミヨンが幼くみえてしまう。三者三様の人生で、女性としての生き方が違う。ヘワンは、ちょっと目をそらしたことで息子が道路に飛び出し交通事故で死んで、夫と離婚、新しい恋をみつけと新たな出発をみせる。キョンヘは、仕事と家庭を両立しているが夫婦仲は冷めており、互いに浮気をしている。ヨンソンは、前半部では夫が女性脚本家と浮気しているのではと疑っていて、精神的に参ってしまいアルコールに依存してしまう。後半部ではヨンソンが心配でヘワンと一緒に暮らすが、初めはよかったが最終的にはまたアルコールに走ってしまう。
ヘワンは死んでしまったが子供がいたし、キョンヘには一人の子供、ヨンソンには、二人の幼い子供がいる。女性として、仕事もできて、母親であり、妻であり、様々な経験をしている三人である。これからというところで、ヨンソンの最後は悲し過ぎる結末である。ヘワンとキョンヘは精神的に強く、逆にヨンソンは弱いのがとことん出ている。
三人それぞれが違う生き方をして、そしてそれぞれが苦しみを乗り越えた者、乗り越えれなかった者が最後にでてしまった。家庭を持っている女性には、自分自身と照らし合わせてみれるおもしろさがあるかもしれない。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★