台湾と韓国の合作もの。内容は台湾映画である。キャストも台湾の俳優を起用している。本作品は、アジアインターナショナル部門 ベスト・アクトレス賞になった。マオを演じたカウ・クーヨンが受賞した。
生贄 (原題:ザ・ピッグ) (短編)制作年:2013年
監督:チェン・シンイー、ユン・ジェホ
ジャンル:ヒューマンドラマ
鑑賞:SSFF&ASIA 2014
ある架空の国の出来事、国王が支配する国。国王の言葉で、国民は行動しなければならない。母と一緒に生活しているダーインは、ブタを飼っている。ダーインの幼馴染の女性マオは、水商売をしており、キャバレーでダンスをしている。晴れた日々が続き、雨を待ち望む人たちで溢れている。哀れみと祈りと共に、生きようとするお話。
監督は、台湾のチェン・シンイー監督と韓国のユン・ジェホ監督。
架空の国が設定になっており、国王が存在していたり、国王が国を動かしている。でも、使用されている言語が北京語になっているから、中華圏の架空の国となるだろう。国王自体は、作品内に登場せず、ナレーションによって状況を説明している。
ダーインの視点、マオの視点をみせながら物語が展開されていく。ダーインの視点は、弱っている母、庭でブタを飼っており、必死に生きる。マオの視点は、キャバレーでダンスをしているが、若い新人が入ったことでクビを宣告される。二人の視点を別々にみせてから、二人が合流することで、全体像がみえる構成になっている。
二人は、仕事のことであったり、日常のことであったり、会話をしていく。男女だからといって、恋愛に結びつけるものではないだろう。生きていくことを哲学的にみせているようにみえてくる。
ダーインが飼っているブタは、生贄のブタである。ペットのブタでないことを冒頭から理解しておく必要がある。中盤からブタを解体してばらばらにしていく。「生贄のブタ」をいろいろな解釈ができるようにしている。なぜならば、架空の国が設定になっているからである。台湾と決めつけてみてしまうと思考が固定されてしまうので、「架空の国」というのが観る側にいろいろと考えさせるように出来ている。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★