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同い年の家庭教師 レッスン2
制作年:2007年
監督:キム・ホジョン、チ・ギルン
出演:イ・チョンア、パク・キウン、イ・ヨンハ
ジャンル:コメディ
鑑賞:動画
北海道でそば屋を営んでいる父(チェ・イルファ)と住んでいる在日韓国人の北野純子(イ・チョンア)は、日本で出会った韓国人留学生チョン・ウソン(ヤン・ジヌ)に憧れる。ある日、純子はウソンに自分の想いを伝えることもなく、ウソンは韓国に帰国してしまう。憧れの人ウソンに会うため、交換留学生として韓国にやってきた純子は、「ゲストハウス情」という下宿屋で共同生活をする。大家のホ・ハリョン(イ・ヨンハ)は、空いている部屋を紹介するが純子は気に入らず、仕方なく設備が整った息子ジョンマン(パク・キウン)の部屋を紹介して納得してもらう。純子は、朝ベッドで目を覚ますと、昨晩酔っ払って帰宅して下着姿になって同じベッドで寝ているジョンマンがいることに驚いて大声を出す。怒った純子は下宿先を変えようとすると、大家ハリョンは何とか機嫌を直してもらおうと息子の部屋をずっと使っていいことに加えて、息子にネイティブの韓国語の家庭教師をさせることで彼女を引き止める。ジョンマンは、同い年の純子に韓国語の家庭教師を渋々引き受けることになる。ジョンマンの授業は、教科書を使わずに日常生活で必要な会話文を教えると云い、汚い言葉や挑発するような言葉といったスラングを教えたり、早口言葉を教えたり、それを純子は真面目に学習していく。同じ下宿屋には、ジョンマンの友人であるプンギ(チョ・ダルファン)とムンラン(ユン・ヨンサム)、白人男性ジョージ(ジュリアン)もおり、食事は一緒に食べる。純子は、異文化に触れ合いながら、憧れの人ウソンを探していく中で、様々な出来事を体験し、犬猿の仲ジョンマンとの間に妙な感情が芽生えていくお話。
監督は、本作デビューのキム・ホジョン監督とチ・ギルン監督。
出演は、交換留学生で在日韓国人の北野純子を演じるのは『オオカミの誘惑』『サンデーソウル』のイ・チョンア、大家の息子で韓国語家庭教師をする大学生のホ・ジョンマンを演じるのは『ケンカの技術』のパク・キウン、大家のホ・ハリョンを演じるのは『漂流日記』『失楽園』のイ・ヨンハ、ジョンマンの友人プンギを演じるのは『放課後の屋上』『ウォンタクの天使』のチョ・ダルファン、ジョンマンの友人ムンランを演じるのは『ピアノを弾く大統領』のユン・ヨンサム、大学で先生をしているヒジョンを演じるのは本作スクリンデビューのユン・ヨンサム、下宿人ジョージを演じるのは本作スクリンデビューのジュリアン、純子の憧れの人チョン・ウソンを演じるのは『伝説の故郷』『青い自転車』のヤン・ジヌ。
下宿屋の息子ジョンマンや下宿人たちと同じ大学に通う交換留学生の純子が、家庭教師ジョンマンの韓国語のスラングを習うことによって、波乱にとんだ韓国での生活が始まっていく。純子とジョンマンが一緒に行動することが多いことで、お互いが気になる存在へと変わっていくロマンスコメディになっている。
韓国語の言葉の間違いを使ったコメディが中心になっており、純子がジョンマンのことをジャンクマン(廃品という意味)と呼んでおり、周囲から笑いを引き起こしたり、今まで自己学習で学んだ言葉でも現地で違いを見せている。スラングを用いた言葉が多いことで、ネイティブの韓国語が分かる人なら笑えるであろう。本作品を日本語字幕で観て、通常訳の日本語字幕の上に別の意味があることで小さくふりがなが記されており、二つの意味をかけていることが分かるように工夫してある。ある程度の環境が整った状態でこの作品を観ることで、コメディ要素が理解できるようになっている。もちろん、韓国語のスラングが分かる人なら、この作品を観る上で問題ないだろう。
在日韓国人の純子が使う日本語の発音とアクセントが間違っていることで、日本人が聞いたら設定に無理があるのがわかるだろう。キャストとして、日本人を使うか日本語を流暢に話せる俳優を起用すべきであろう。もちろん、純子の父もおかしな日本語を話していることで違和感がある。言葉を使ったコメディをみせているから、日本語の方もそれなりの完成度が必要に感じてしまう。
日本と韓国の文化の違いを序盤にみせている。まず食事からで、同じ皿にのせてある料理を皆で箸やスプーンでつっついて食べる風習である。人の唾液がついた箸やスプーンをみて、純子が嫌悪感をいだいているのだ。聴覚の違いとして、同じ外来語でも発音が違っていたり、動物の鳴き声も発音が違っている。このあたりは、他の外国語と共通するところもあり納得ができる。
韓国で暮らす外国人たちの姿が、純子だけでなく、下宿人の白人男性ジョージ、大学の友人で白人女性アニーの存在をみせているところは珍しい。ジョージは、若者たちが使うスラングをマスターしていたり、誰に対してもタメ口で話している。下宿人たちの洗脳が原因だと後に明らかになるのだ。純子も家庭教師ジョンマンからタメ口やスラングを教わり、真剣に学んでいることで信じており、それを大学の授業で話したら生徒たちの空気が止まるのだ。口の悪い外国人というのが、大学内で定着しつつあるのだ。
恋愛面としては、純子は憧れの人ウソンがいる中、下宿人のプンギとムンランは純子に好意を持ち、ヒジョン先生は年下のジョンマンに好意を持ち、純子とジョンマンは犬猿の仲という形になっている。その形も、ストーリーが進むに連れて変わってくるようになるのだ。
中盤以降は、コメディよりも青春ドラマのような展開になっている。ジョンマンはかつて有能なボクシング選手であったが、対戦相手を重症にしてしまったことで重荷を背負っており、あるきっかけで再びボクシングの試合をすることになるのだ。純子は、憧れのウソンを探しに軍事基地に行って会えなかったり、そこで上官から現地でのウソンのことを知ったり、偶然学園祭で出会ったり、急展開していくのである。
在日韓国人の描き方がどうもしっくり来ないところが目についてしまう。台詞に問題があって英語字幕でみていたら、恐らく完全に理解できなかったかもしれないので、外国人が鑑賞する場合は字幕環境がある程度重要かもしれない。青春ドラマもやや弱く、コメディ要素も個人的に合わなかった。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★