SSFF&ASIA 2012で上映された「韓国トラベルショート」のひとつをレビューにしてみた。
追憶 (原題:昌慶苑) (短編)
制作年:2011年
監督:チョン・ギハク
出演:ソン・サムドン、イム・ヒョンテ、チェ・チュンジャ
ジャンル:ヒューマンドラマ
鑑賞:SSFF&ASIA 2012
大学を卒業して一年、ソウルのスーパーでアルバイトをしながら、就職試験の面接を受ける息子(ソン・サムドン)。田舎に住んでいる父(イム・ヒョンテ)と母(チェ・チュンジャ)は、ソウルへ向かう電車に乗る。父の病気を診てもらうためソウルに向かう老夫婦は、駅で親戚と待ち合わせをして一緒に行動をする。医師から、もう治る術がないことを告げられてしまう。親戚が折角ソウルにきたから、観光することを薦め、母が父に昌慶宮に行こうと云う。電車の時間が迫る中、老夫婦はソウル駅で親戚と別れ、昌慶宮に寄らずそのまま自宅に帰っていった。時間と季節が変化する中、昌慶宮の風景と親子の心情を描いたお話。
監督は、『A Reunion』のチョン・ギハク監督。
出演は、息子を演じるのは『GOGO70s (原題:ゴーゴー70)』『昼間から呑む (原題:昼酒)』のソン・サムドン、父を演じるのはイム・ヒョンテ、母を演じるのはチェ・チュンジャ。
息子が就職試験でなかなか上手く行かず落ちてばかりおり、父からの電話で上手くいっていると心配させないように気遣っている。同様に父は病院の診断で最悪の結果を突きつけられても、忙しい息子に心配させないように気遣っている。お互いが相手を思うことで、その後に現実を知ることになるのである。
老夫婦の会話の中で昌慶宮が出てきたことで、昌慶宮の建物や植物などを季節毎に映し出されていくのである。父は「昌慶宮」を「昌慶苑」と呼んでおり、名称が変わったことを知らず、ずっと「昌慶苑」と呼んでいるのだ。木が生い茂っており、葉が緑から紅葉、紅葉から枯れていく、といった時間経過をいれながら、昌慶宮の見所を映しながら、この親子のストーリーとリンクしていくのだ。昌慶宮は、行ったことがあり、ゆったりとした所で居心地がいい記憶がある。
終盤に親子が昌慶宮に訪れ、近況がわかったり、その後がわかるつくりになっている。昌慶宮を紹介しながら、息子の心情や親子の関係といった人間ドラマを絡ませている。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★