ただよう想い (原題:ギュッと抱きしめて涙ポロリ)
制作年:2009年
監督:キム・ドンウォン
出演:イ・キョン、コ・ジュニ、シン・ドンミ
ジャンル:ラブストーリー
鑑賞:日本版DVD
ミュージカル俳優をしているチャニョン(イ・キョン)は、若くして結婚し、年上の妻ミソン(シン・ドンミ)と7歳の娘ソヒョン(チョ・ミナ)がいる。チャニョンは、売れないミュージカル俳優のため、妻ミソンが仕事をして生活費を稼ぎなんとか生活している。ある日、チャニョンはミュージカル女優タンビ(コ・ジュニ)と二人舞台で共演し、二人は付き合うようになっていく。恋愛を主にした物語を演じているため、現実と芝居が行き来しながら、チャニョンとタンビの愛はどんどん深まってゆく。タンビには、アマチュアロックバンドに所属している兄がおり、二人で兄のコンサートをみにいったり、酔っ払った兄を二人で介抱したりする。チャニョン、妻ミソン、恋人タンビの三角関係はどのような結末をむかえるのかというお話。
監督は、『海賊、ディスコ王になる』のキム・ドンウォン監督。
出演は、ミュージカル俳優のチャニョンを演じるのは『ダメ男の愛し方 (原題:生、ナル先生)』『多細胞少女』のイ・キョン、ミュージカル俳優のタンビを演じるのは『ヘンゼルとグレーテル』『ガールスカウト』のコ・ジュニ、チャニョンの妻ミソンを演じるのは『ドント・ルック・バック (原題:私の青春に叫び)』『幼い王子』のシン・ドンミ、チャニョンの娘ソヒョンを演じるのは子役チョ・ミナ、キム監督を演じるのは『ビューティフル (原題:美しい)』『10億』のチェ・ムソン、チャニョンの友人ヒョンチョルを演じるのは『ウォンタクの天使』『待ちくたびれて (原題:待つのが狂おしい)』のキム・ジンソン、ミソンの同僚友人スキョンを演じるのは『悲しみよりもっと悲しい物語』『飛べ、ペンギン』のキム・ドヨン。
チャニョンは、9歳年上の初恋相手ミソンと結婚して、娘がいる立場にいながら、安定した収入がなく、舞台俳優の夢を捨てきれず、売れなくても続けている。チャニョンは、共演者の舞台女優タンビと二人舞台をすることで、二人が恋愛に発展していき、青春をもう一度取り戻している。
チャニョンとタンビの物語をみると青春ドラマの要素が多く含んでおり、俳優として成功する夢を追う二人であったり、他愛もないことで喜びを共有するような淡いものになっている。一方で、チャニョンが自宅に戻ると妻ミソンとの会話は落ちついた感じになっており、娘ソヒョンに対しては無邪気になって可愛がる。
端的に云ってしまうとチャニョンの優柔不断なところを表現しており、気持ちが彷徨い続けている姿をみせている。それに対して、妻ミソンはチャニョンの心に深入りしたり極端に依存するのではなく、しっかりと周りがみえた大人の女性をみせている。もちろん、ミソンにも悩みがあり、会社を辞めようか同僚の友人スキョン(キム・ドヨン)に相談していたり、今の結婚生活や夫のことも話している。
タンビは、純粋にチャニョンを愛しているのがみえる。タンビからすると、この恋愛は浮気であると思っていないからである。ミュージカル女優で成功したいという夢を持っていることで大きな転機がやってくるのだ。チャニョンとの二人舞台の公演が終わりに近づくと、二人の関係も徐々に変化していくのである。
三角関係で修羅場があるわけでもなく、チャニョンのただよう想いをみせている。恋人タンビ、妻ミソンがそれぞれ自分の意思や強さを持っていることで、チャニョンが誘導されているようにもみえてしまう。
小さな作品だから、チャニョン、タンビ、ミソンの感情をもっと丁寧に描いて欲しいところが幾つかあって、そこを上手く消化できていればと思えてしまう。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★