くだらないロマンス (原題:みみっちいロマンス)
制作年:2010年
監督:キム・ジョンフン
出演:イ・ソンギュン、チェ・ガンヒ、リュ・ヒョンギョン、オ・ジョンセ
ジャンル:ラブストーリー、コメディ
鑑賞:動画
成人向け漫画家のチョンベ(イ・ソンギュン)は、絵の才能がずば抜けているが、ストーリーが貧弱で、三年もの時間を費やした作品を出版社に持ち込むが却下されてしまう。チョンベは、仲間の漫画家たちと酒を呑んでいたとき、入選すれば賞金1億3000万ウォンも貰える成人漫画公募展の情報を知り、これに応募することを決める。チョンベは、自分の弱点であるストーリーを創れる作家を募集することにした。その募集に応募してきたのが、成人雑誌のコラムニストをしていたタリム(チェ・ガンヒ)である。チョンベは、自宅兼作業場でタリムの面接を行い、経験豊かな履歴書とタリムのアピールによって採用することに決めた。二人は、仕事に取り掛かり、タリムが物語の構成を語るとチョンベがそのアイデアを否定して、なかなか先に進まない。しかも、タリムの我がままな振る舞いにチョンベも困っており、二人の間は気まずくなっていく。また、タリムは、双子の弟チョンス(ソン・ユハ)と一緒に住んでいたが、怒らせてしまったことで追い出されてしまい、寝泊りする場所を失ってしまう。タリムは、スーツケースに荷物を入れて、チョンベの部屋に泊めてもらおうとしたり、親友キョンソン(リュ・ヒョンギョン)の部屋に転がり込む。果たして、二人の共作の漫画はどのような結果になるのか、そしてチョンベとタリムの関係はどのようになるのかというお話。
監督は、本作スクリンデビューのキム・ジョンフン監督。
出演は、漫画家のチョンベを演じるのは『ロマンチック・アイランド』『坡州』のイ・ソンギュン、コラムニストのタリムを演じるのは『私の恋』『グッバイ、マザー (原題:エジャ)』のチェ・ガンヒ、漫画家のヘリョンを演じるのは『仁寺洞スキャンダル』『シークレット』のオ・ジョンセ、タリムの親友キョンソンを演じるのは『神機箭』『初恋列伝』のリュ・ヒョンギョン、タリムの双子の弟チョンスを演じるのは本作スクリンデビューのソン・ユハ、ミノを演じるのは『キル・ミー』『チョン・ウチ 時空道士 (原題:田禹治)』のペク・トビン、ピョンドを演じるのは『ここよりどこかへ』『正しく生きよう』のパク・ソンイル、式場職員を演じるのは『ヨガ教室』『ガールフレンズ』のチョ・ウンジ。
内容としては、典型的なロマンスコメディになっており、紆余曲折を経て二人が結ばれるといったものである。チョンベとタリムのラブストーリーと同時進行にみせているのが、二人で創っている漫画のストーリーが入り込んでいる。二人の漫画がアニメーションとして飛び出し、実写とアニメーションが融合するような映像によって飽きさせないように工夫している。
チョンベとタリムが共作の漫画を創るため、一緒に仕事をするが意見の食い違いが起こる中、第三者の意見によってチョンベがタリムの文才を知ることになり、タリムを認め出していくのである。二人は、お互いの才能を認めているが、恋愛に関する意見には向きになって語るのである。
漫画の内容は、ミソと名の女殺し屋が銃を乱射してアクション風テイストになっている中、ミソと筋肉質な男との濃厚な官能シーンが土台となって進行していく。その後、エピソードが追加されていくので、その都度アニメーションとして挿入されてくるのである。本作品がR指定になっているのは、おそらくこのアニメーション部分で描かれている映像と官能的な言葉のところであろう。実際は、そんなにエロくないので、R指定にしなくて問題ない気もする。
成人向け雑誌のコラムを執筆していたタリムであるが、実際のところ恋愛経験も乏しく、本で得た知識から頭でっかちな恋愛思想を持っているのだ。野外カフェで漫画の構成を話しているタリムが、過激な言葉を連発していることで、周囲のお客さんから強烈な視線を浴びているのである。照れて困ったチョンベに比べて、堂々としたタリムの姿は勇ましくみえるが、後に起こる出来事でみせるギャップが面白くさせている。
嫉妬という点で、チョンベとタリムの両方の視点をみせている。チョンベの場合は、タリムが弟チョンスと一緒にいるのを見かけ、別に男がいると思い込んでしまうところである。タリムの場合は、親友キョンソンがチョンベに取材を申し込んでおり、タリムを作業場から追い出して、二人っきりで写真を撮って取材をしていることで、親友キョンソンとの間を怪しく思ってしまうのだ。終盤には、二人の苦渋の決断があり、そこをどのように乗り越えるのかを演出している。
韓国での観客動員数が多いから、それにつられてみてしまうと危ないかもしれない。チョンベとタリムの間がどのようになっていくのかは、韓国映画のこのジャンルをみなれている人には直ぐに感づいてしまうし、その後の展開も読めてしまうからだ。ベタなものを求めている人には良いかもしれないが、それ以外を要求しているのであれば避けるべきであろう。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★