シシルリ 2km
制作年:2004年
監督:シン・ジョンウォン
出演:イム・チャンジョン、クォン・オジュン、イム・ウンギョン
ジャンル:コメディ、ホラー
鑑賞:海外版DVD
暴力団組織の高価なダイヤモンドを奪って逃走している裏切り者ヤクザのソクテ(クォン・オジュン)は、田舎に逃げこもうとしたが自損事故を起こしてしまい、現場の近くにあったシシルリという里に辿り着き、全六人の住民たちに保護されて手当てしてもらう。全六人は一つの建物に住んでおり、夕食の準備が出来て、トイレに入っているソクテを呼ぶ。トイレの中で盗んだダイヤモンドをみて興奮するソクテは、住民の小さな悪戯に驚いてしまい、頭部をぶつけてしまい意識不明の状態になってしまった。住民たちは、ソクテが死んでしまったと思い、ソクテを居間の壁に塗り込めて閉じ込めた。一方、ソクテの裏切りを許さないヤクザのヤンイ(イム・チャンジョン)は、部下たちを連れて探しており、ソクテの携帯電話の記録を追っており、ソクテの壊れた車を発見する。そして、携帯電話の記録をたどってシシルリの里に到着したヤクザたちは、住民たちを脅してソクテの情報を聞き出す。住民たちは、知らないの一点ばりであったが、ソクテの靴下をヤンイが発見したことから、この里にソクテがいることを感じて徹底的に調べる。ヤンイが、ダイヤモンドのことを口にすることで、住民たちの態度が豹変する。欲に目が眩んだ六人の住民たちは、農具を武器にしてヤクザたちと戦闘することになる。不審に思うヤクザたちは、この多くの謎に包まれたこの里の秘密を知ろうとするお話。
監督は、本作デビュー作のシン・ジョンウォン監督。
出演は、ヤクザのヤンイを演じるのは『セックス イズ ゼロ (原題:色即是空)』『偉大なる遺産』のイム・チャンジョン、裏切り者ヤクザのソクテを演じるのは『クリスマスに雪が降れば』『TUBE』のクォン・オジュン、謎の少女ソンイを演じるのは『品行ゼロ』『人形霊』のイム・ウンギョン、ここの里長ピョン老人を演じるのは『殺人の追憶』『吹けよ春風』のピョン・ヒボン、この里の住民テスンを演じるのは『らくだ(たち)』『初恋のアルバム~人魚姫のいた島~ (原題:人魚姫)』のパク・ミョンシン、この里の住民ハッキュを演じるのは『ベサメムーチョ』『ウララ・シスターズ』のキム・ユンソク、ヤンイの部下ヘジュを演じるのは『大韓民国憲法第1条』『黄山ヶ原』のウ・ヒョン、ヤンイの部下トンケを演じるのは『黄山ヶ原』『Rポイント』のアン・ネサン。
小さな里に住む六人の農作業集団のところに、ダイヤモンドを奪った裏切り者ヤクザを傷つけてしまい隠そうとしている中、ダイヤモンドを取り戻すためにそのヤクザを追っている四人のヤクザ集団が里に集まる。そこで、始めは優勢的なヤクザたちであったが、ダイヤモンドに目が眩んだ農作業集団がヤクザたちを襲い、大きな戦いに発展していくのである。更に、幽霊となって出てくる謎の少女ソンイ(イム・ウンギョン)が、ヤンイのまえに現れることで、ホラー要素を取り入れている。
シシルリの住民六人は、ピョン老人(ピョン・ヒボン)、ハッキュ(キム・ユンソク)とテスン(パク・ミョンシン)、ハンソク(チェ・ソンウク)とジュリ(キム・ユヒ)、チュンシク(イ・サンフン)で形成されている。ヤクザたち四人は、ボスのヤンイ(イム・チャンジョン)、小柄なヘジュ(ウ・ヒョン)、二枚目トンケ(アン・ネサン)、坊主テンジュン(パク・ヒョックォン)で形成されている。そこに、裏切り者ヤクザのソクテ(ォン・オジュン)、幽霊のソンイ(イム・ウンギョン)が絡む。住民たち、ヤクザたち、幽霊を演じる役者たちの個性が強いのも特徴のひとつであろう。
基本的な作りは、ブラックコメディとなっており、死んだはずだと思っていたソクテが何度も息を吹き返すところを面白可笑しくみせている。ヤクザたちが、森の中にある墓石をみて驚いたり、廃墟になった建物を探索し幽霊にびびったり、ヤクザ対住民の構図をみせており、ヤクザが優勢だと思いきや、ここの住民たちは只者でないというところをコメディチックに描いている。幽霊が出ていることでホラー要素を取り入れており、中盤から終盤あたりはコメディとアクションとホラーの融合といった感じである。
住民たちに崖に追い込まれたヤンイが、崖から飛び降りて意識が飛び、そこで廃墟の建物で幽霊のソンイと出会い、この里の秘密を知ることで新たな展開に入っていく流れである。ソンイが事実を知ることで、人間ドラマ的なところをみせており、ラストシーンでは人間臭いシーンをみせている。
ドタバタして二転三転する展開の作品なので、ブラックコメディが好きな人ならそこそこ楽しめるだろう。そこに様々な要素が入り込むので、好みが分裂してしまう。かなり冒険的な作風であろう。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★