未だに、日本版DVDの販売及びレンタルされていない。
セイ・イエス
制作年:2001年
監督:キム・ソンホン
出演:パク・チュンフン、チュ・サンミ、キム・ジュヒョク
ジャンル:ホラー
鑑賞:海外版VCD
妻ユニ(チュ・サンミ)と夫ジョンヒョン(キム・ジュヒョク)は、結婚一年目の夫婦である。フランス語の翻訳をしている妻ユニの稼ぎで生活していた中、作家を目指す夫ジョンヒョンの原稿が出版社に売れたことで喜び、車を買って久しぶりに旅行する。車で移動していた二人は、サービスエリアによって、コーヒーを注文して休憩していた。そのとき、二人を遠くの席で見つめていた男M(パク・チュンフン)にユニが気づき、ジョンヒョンにそのことを話すが何もなく時間が過ぎる。二人は、サービスエリアの駐車場から出ようと車をバックした瞬間にMを轢いてしまう。幸いMは軽症だったことで大事にならず、Mは二人の車に同乗して、Mの目的地まで乗せていった。二人は、目的地に着いたことでMを降ろし、ソクチョで二人っきりの時間を過ごし旅行を楽しむ。その夜、二人の泊まっているホテルの部屋に石が投げ込まれ、不快な思いをして翌朝に次の目的地ペガム温泉に向かっていった。そのとき、二人の車に猛スピードで寄ってくる怪しい車がおり、二人の車を煽り、二人の車を抜いて急ブレーキをかけて嫌がらせをして去っていく。動揺しながらも運転するジョンヒョンは、町中に出たときに先ほど嫌がらせをした車をみかけたことで、車から降りて走りその車に抗議した。運転席から現れたのは、昨日同乗したMであり、怒りがこみ上げてきたジョンヒョンはMをボコボコにぶん殴り、多くの野次馬が集まるほど大騒ぎになってしまう。幸せの絶頂にいるジョンヒョンとユニの夫婦に、しつこくつきまとうMとの間で、その後何が起こるのかというお話。
監督は、『オルガミ~罠~』『新装開店』のキム・ソンホン。
出演は、殺人鬼Mを演じるのは『NOWHERE 情け容赦無し』『不朽の名作』のパク・チュンフン、妻ユニを演じるのは『接続』『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』のチュ・サンミ、夫ジョンヒョンを演じるのは本作スクリンデビューのキム・ジュヒョク、地元警察の本部長を演じるのは『NOWHERE 情け容赦無し』『アウトライブ (原題:飛天舞)』のキ・ジュボン、マ刑事を演じるのは『バンジージャンプする』『公共の敵』のイ・ソック、キム刑事を演じるのは『アナーキスト』『プライベートレッスン 青い体験 (原題:青春)』のイ・チャニョン、警官を演じるのは『美術館の隣の動物園』『新装開店』のリュ・スンス、精神科医を演じるのは『虹鱒』『身魂旅行』のファン・インソン、カップルの男を演じるのは『シュリ』『リメンバー・ミー (原題:同感)』のパク・ヨンウ、カップルの女を演じるのは本作スクリンデビューのキム・チェヨン。
苦労して幸せを掴んだ新婚夫婦のジョンヒョンとユニは、無表情で不気味なMに、わけもわからずつきまとわれ、地獄のような旅行になっていく。サスペンスやスリラーというよりは、完全なホラーものになっている。
ジョンヒョンが、町中でMをボコボコに殴ったことで、警察に捕まることになり、Mが被害者面をしているのだ。Mの嫌がらせやユニを侮辱した言葉で、怒りの頂点に達したジョンヒョンが暴力を振るうことになっており、ジョンヒョンの方が被害者なのは云うまでもないのだ。Mは、留置されているジョンヒョンとの和解の条件として、三日間一緒に旅行することを提示してくる。ジョンヒョンとユニは、仕方なくその提案に同意して、ジョンヒョンが釈放される。翌日から一緒に旅行する予定になっていたが、嫌な予感をしたジョンヒョンとユニは、早朝にMをホテルに残して逃げ去ったのである。そこからは、夫婦とMの追いかけっこが延々に続くのだ。
Mがユニを拉致したり、トラックを運転するMと普通車を運転するジョンヒョンとのカーチェイス、残酷な拷問、理不尽な殺され方をする農夫や警官(リュ・スンス)、殴られても不死身な姿で立ち上がってくるMの存在が恐怖を作り出しているのだ。なぜここまでMが残酷な行動するのか不思議に感じるであろう。明確には触れていないが、その答えはラストシーンのジョンヒョンの感情と同じであると推測できる。そう解釈すると辻褄が合うからだ。
原題及び英題の「SAY YES」の意味は、終盤にMがジョンヒョンに対して問い詰めて、その言葉を云わせようとしているのだ。ユニの命に関わることであり、かなり残酷な詰問でそれに耐えることが出来るのかといったところだ。あまり掘り下げるとネタばれになるのでこれぐらいで止めておく。
トラックを運転するMの暴走から大きくストーリーが加速していき、ホラーの真髄をみせている。ハリウッド作品のホラーものと類似する内容なので新鮮さがないと云えるが、夫婦たちがハッピーエンドで終わらないところに韓国映画らしさが出ている。だから、終盤の展開だけは非常に面白く作られている。それ以外に関しては、一般的なホラーものと変わらない気がする。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★