韓フェス2010で公開中のこの作品。各種サービスデー(メンズデー、レディースデー、ファーストデー等)は適応しないと公式HPに記載してある。なんで。映画祭扱いなのかな。
10億
制作年:2009年
監督:チョ・ミノ
出演:パク・ヘイル、パク・ヒスン、シン・ミナ、イ・ミンギ、チョン・ユミ、イ・チョニ、コ・ウナ
ジャンル:サスペンス
鑑賞:動画
大多数の応募者の中、ウェブプロデューサーのチャン・ミンチョル(パク・ヒスン)が主催の10億ウォン賞金のサバイバルゲームが始まり、男4人女4人の計8人が選ばれた。フリーカメラマンのハン・ギテ(パク・ヘイル)、バイク便運転手チョ・ユジン(シン・ミナ)、清掃業者のパク・チョリ(イ・ミンギ)、学生キム・ジウン(チョン・ユミ)、証券マンのチェ・ウックァン(イ・チョニ)、ホステスのイ・ボヨン(コ・ウナ)、水泳選手のホン・スヨン(ユ・ナミ)、無職のハ・スンホ(キム・ハクソン)である。オーストラリアのパース空港に到着した彼ら彼女らは、チャン・ミンチョルとカメラマン(チョン・ソギョン)の二人が出迎えて、目的地まで車で向かった。一週間ゲームを行い、一人ずつ脱落し、最後に勝ち残った一人だけが10億ウォンを手に入れられるルールをチャン・ミンチョルから訊かされる。だが、サバイバルゲームは、安易なゲームでなく生死を賭けたゲームになっており、次々と死者が増えていく。過酷なサバイバルゲームを行う参加者は何故このゲームに選ばれたのか、そしてこのゲームの意味は何なのかというお話。
監督は、『ジャングルジュース』『強敵』のチョ・ミノ監督。
出演は、フリーカメラマンのハン・ギテを演じるのは『極楽島殺人事件』『モダンボーイ』のパク・ヘイル、ウェブプロデューサーのチャン・ミンチョルを演じるのは『バカ』『作戦』のパク・ヒスン、バイク便運転手チョ・ユジンを演じるのは『今、このままがいい』『キッチン』のシン・ミナ、清掃業者のパク・チョリを演じるのは『おいしいマン』『海雲台』のイ・ミンギ、学生キム・ジウンを演じるのは『おいしいマン』『彼女たちの部屋』のチョン・ユミ、証券マンのチェ・ウックァンを演じるのは『ハミング』『ビューティフル (原題:美しい)』のイ・チョニ、ホステスのイ・ボヨンを演じるのは『サンデーソウル』『ひとりぼっち』のコ・ウナ、水泳選手のホン・スヨンを演じるのは『カルジギ』のユ・ナミ、無職のハ・スンホを演じるのは『強敵』『宮女』のキム・ハクソン、チャン・ミンチョルのカメラマンを演じるのは『私たちの生涯最高の瞬間』『最高のパートナー (原題:マイ・ニュー・パートナー)』のチョン・ソギョン。
冒頭のシーンでサバイバルゲーム終了後に勝ち残ったユジン(シン・ミナ)が瀕死の状態で保護されるところをみせており、刑事と医者が事情を訊いているのである。ユジンの回想シーンを主にしてストーリーが始まっていき、ラスト際に現在に戻るという構成になっている。まず、構成の失敗として、勝者を冒頭にみせてしまったことかもしれない。これからサバイバルゲームの模様を示すのに答えを出してしまっているので、そこで一つの楽しみが減っているのだ。主役級の俳優を揃えていることで、誰が勝者になってもおかしくないから、余計にそのように感じてしまうのだ。
始めのゲームは、二つのチームに分かれて海上に浮かぶ旗をイカダで取りに行くゲームである。だがそれはフェイクであり、別のゲームのために用意されていたものなのだ。そして、ボウガンの矢を取るゲーム、森林を駆け抜け、砂漠を歩き続けたり、激流の川をカヌーと小型ボートで渡っていくといった中、死者が次々と出てくるのである。中盤からは、残り四人になり、チャン・ミンチョルのアジトに入り込んでいくが空で、そこから各二人に分かれて行動していく流れである。残り四人になるまでは、ひたすら走っており、臨場感が欠けており、もっと迫力ある映像が欲しいところであった。おそらく、人間の欲や弱さといった心を扱うところも描きたいから、アクションに対する演出は控えめなのであろう。サバイバルゲームの演出が、安っぽくて目立ってしまうところが多いのだ。
チャン・ミンチョルの狂気ぶりが見せ所のひとつになっている。チャン・ミンチョルがボウガンの矢を取るゲームで参加者の一人を殺し、そこからチャン・ミンチョルから逃げるような形に展開が変わっていくのである。このゲームの怖さを参加者が本当に知るからだ。様々な場所に隠しカメラを設置しており、それを実況生中継しながら、チャン・ミンチョルの監視下の中で、参加者たちが逃げまわるのだ。チャン・ミンチョルのカメラマンも、チャン・ミンチョルの狂気に怯えているので参加者たちと同じような気持ちになっているのがみえる。この二人のやり取りも呆気なかったけど。恐怖心をみせながら、賞金の10億ウォンの魅力がふっとんでいる参加者もいたり、逆に10億ウォンの魅力に惹かれる参加者もいたり、この事態を止めようとする参加者もいるのだ。チャン・ミンチョルと対決する参加者という構図をみせているが、何故このような展開になるのかはラスト際にならないと分からないのだ。
伏線は一箇所だけ貼っているがあれだけでは気づくことができず、サバイバルゲームが終わることで、このゲームの目的がみえる仕組みになっている。謎解きならノーヒントだから解けるわけがない。一応は、二段構えの終盤になっていることで工夫はしている。これだけの役者を揃えて、この内容ではかなり物足りなさを感じる作品である。俳優がみたいだけならいいかもしれないが、映画としては残念なところがあり、もう少し捻って作って欲しかった。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★
このゲームの引き金となった出来事だが、心理学的な考えだと「傍観者効果」になっている。助けを求めている人がいても目撃者が多いほど、率先して行動を起こさない心理が起こるのである。まず、その知識を監督を含む製作側が知っているのと知らないのでは大きく変わってくる。学術的にも説明できるが、本作の事件状況(狂った男性が女性を殺す)では、例え助けに入ったとしても自分が被害者になる可能性が極めて高いのがみえる。そもそも、怨む人間を間違えてないかい。狂った男の方だよ。