ぼくら特殊発掘捜査隊 (原題:マイ キャプテン キム・デチュル)
制作年:2006年
監督:ソン・チャンス
出演:チョン・ジェヨン、チャン・ソヒ、ナム・ジヒョン、キム・スホ
ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ
鑑賞:日本版DVD
慶州の山中の発掘現場で、遺跡泥棒のキム・デチュル(チョン・ジェヨン)は、まだ発見されていない黄金の仏像を発掘する。デチュルは、騒ぎが収束するまで一時的に黄金の仏像を隠すために、近くの狭い洞窟に入って黄金の仏像を布に包んで隠そうとする。そんなとき、小学生のジミン(ナム・ジヒョン)と飼犬ヨボヤが洞窟に入ってきて、デチュルは咄嗟に嘘をつき、文化財管理局の特殊発掘捜査隊であることを説明して名刺を渡し、このことを秘密にして欲しいとお金を渡してデチュルは去っていった。二ヵ月後、デチュルは狭い洞窟に隠しておいた黄金の仏像を取りに行くとなくなっていた。この事を知っているのはジミンだけだから、デチュルはジミンを捜して問い詰め、黄金の仏像を学校のロッカーに移動させたことを説明する。夜に二人は学校のロッカーに行くと黄金の仏像はなくなっており、そのとき吸血鬼を装った少年ビョンオ(キム・スホ)をみかけ、逃げるビョンオをデチュルとジミンは追う。これをきっかけにジミンとビョンオは親しくなり、二人はあの洞窟に入り、そこでデチュルと遭遇する。デチュルは、子供たちに特殊発掘捜査隊の特殊捜査隊員と任命して、彼らと一緒に黄金の仏像を探すお話。
監督は、本作デビュー作のソン・チャンス監督。
出演は、遺跡泥棒のキム・デチュルを演じるのは『拍手する時に去れ』『ウェディング・キャンペーン (原題:私の結婚遠征記)』のチョン・ジェヨン、サーカス団員のチョン・エランを演じるのは『天国からのメッセージ (原題:幽霊が住む)』のチャン・ソヒ、小学生のジミンを演じるのは『無影剣』のナム・ジヒョン、エランの息子ビョンオを演じるのは『お母さん』のキム・スホ、ジミンの祖父を演じるのは『ワイルドカード』のイ・ドギョン、ノ刑事を演じるのは『マラソン』『甘い人生』のイ・ギヨン。
遺跡泥棒キム・デチュルが、ノ刑事(イ・ギヨン)から黄金の仏像を発掘するように依頼され、作戦は成功したが黄金の仏像はなくなってしまい、偶然知り合った二人の子供たちと一緒に黄金の仏像を探すのである。
お宝探しと同時に、デチュルの父に関する過去、両親に捨てられ祖父(イ・ドギョン)と貧乏な二人暮しをしている少女ジミン、白血病で吸血鬼になることを夢見る少年ビョンオ、夫を亡くし息子ビョンオと一緒に移動しながら生活するサーカス団員エラン(チャン・ソヒ)らの人間ドラマを描いている。
遺跡泥棒デチュルがノ刑事との闇取引で遺物を売買する大人の世界、両親に捨てられても明るく振舞っている貧乏少女ジミンや白血病で病と闘いながらその素振りをみせない少年ビョンオといった子供の世界、この二つの世界を混合させて描いている。大人の世界も子供の世界も中途半端に描かれており、二つの世界が調和せずにバランスが悪く、ストーリーに幅がないのだ。
黄金の仏像の在りかは、序盤の段階で誰が所有しているのかデチュルにはわかっており、どのようにして黄金の仏像を自分の手にするのかを長い過程でみせている。大人の世界を中心にしていれば暴力という力で奪うことが出来るが、子供の世界を描いていることで強引なやりとりをみせることが出来ずに、時間だけが無駄に浪費しているのだ。デチュルの子供時代のエピソードを交えていることで、子供の気持ちを壊さないようにしているのがみえる。
サーカス団員エランと息子ビョンオの母子関係、祖父とジミンと飼犬ヨボヤの家族関係、デチュルと亡くなった父との父子関係、デチュルとジミンとビョンオの特殊発掘捜査隊関係をみせて人間ドラマを作り上げているが、どれもパンチが弱いので感情が昂らない。
正直、子供映画のように感じられたから大人が観ると物足りない気持ちになるだろう。個人的には、行ったことがある慶州が舞台になっていたことで、「あそこ行った」って場所が所々出てくるので、それが楽しかった。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★