昨年10月に新宿バルト9で一般公開していたとき、新宿に行っていたので観ようと思ったけど、「あらすじ」をみて、他の外国映画をみることに変更した記憶がある。結果的にそのときの選択は正しかったのかな。ラブコメディは、観るのは大丈夫だけど、レビューが書き難い。
甘いウソ
制作年:2008年
監督:チョン・ジョンファ
出演:パク・チニ、チョ・ハンソン、イ・ギウ
ジャンル:ラブストーリー、コメディ
鑑賞:日本版DVD
放送作家のジホ(パク・チニ)は、恋人も出来ず、仕事も上手くいかない日々が続いた。仕事仲間と酒を飲みに行っては、高校時代に憧れていた初恋の先輩ミヌ(イ・ギウ)の話しばかりして、場が沈黙するのが定番になっていた。ある日、彼女が手がけた番組の視聴率が低すぎることで、テレビ局からクビを宣告される。ジホは、帰宅途中でバイクに乗った男にカバンをひったくられ、犯人を追いかけている途中に横から飛び出してきた車に轢かれて、気がついたら病院のベッドで寝ていた。車を運転していた加害者は、ジホの初恋の相手ミヌであり、ミヌのおじさんが担当医であった。カバンを盗まれたことでジホの身元が分かるものがないため、担当医もミヌも困っていた。ジホは、事故によって記憶喪失になったと装って、行き場がないジホをミヌの家に連れていき、記憶が戻るまで同居することになって作戦が成功した。一方、ジホと一緒に生活している弟ジフン(キム・ドンウク)から、ジホが数日帰宅していないことを知ったジホの幼なじみで隣りに住んでいるドンシク(チョ・ハンソン)は、ジホの行方を捜す。女性用下着店を経営しているドンシクは、ジフンを店員にしており、ジホには下着モデルとして手伝ってもらっていた。偶然、ジホとミヌが一緒にいるところをドンシクが発見して、ジホの身元がばれてしまったが、記憶喪失のふりを続けて、ドンシクやジフンに対しても騙した。ジホの記憶喪失ということが、ドンシクやジフンによって大袈裟になっていき、真実を打ち上げられないで窮地に陥る。記憶喪失のふりをするジホと、彼女の嘘に翻弄される二人の男性の恋模様を描いたお話。
監督は、本作デビュー作のチョン・ジョンファ監督。
出演は、放送作家のジホを演じるのは『ラブ・トーク』『宮女』のパク・チニ、ジホの幼なじみドンシクを演じるのは『熱血男児』『最高のパートナー (原題:マイ・ニュー・パートナー)』のチョ・ハンソン、ジホの初恋の相手ミヌを演じるのは『愛を逃す』『二人だ』のイ・ギウ、ジホの弟ジフンを演じるのは『後悔なんてしない (原題:後悔しない)』『アパートメント (原題:アパート)』のキム・ドンウク、ミヌの親友で警察官ハンサンを演じるのは『暴力サークル』『最高のパートナー (原題:マイ・ニュー・パートナー)』のチョ・ジヌン、ジホの親友ウンスクを演じるのは『大韓民国憲法第1条』『私のスキャンダル』のチェ・ウンジュ、中華店の配達人の揚子江を演じるのは『カン・チョルジュン:公共の敵1-1』『神機箭』のチョン・ジェヨン、ミヌの初恋の相手キム・ソナを演じるのは『恋の潜伏捜査 (原題:潜伏勤務)』『ガールスカウト』のキム・ソナ。
高校時代の出来事の回想シーンを何度も挿入して、ジホと親友ウンスク(チェ・ウンジュ)、ジホと同じ小中高学校に通っていた幼なじみジフン、ジホの初恋相手の先輩ミヌ、ミヌの親友ハンサン(チョ・ジヌン)らが当時の状況をみせている。高校時代の描き方がコミカルな作りになっているので、コメディとして笑えるところだ。ジホ視点で高校時代をみせており、ミヌに何度も声をかけようとしても邪魔な女子高生が割り込んできたり、親友ウンスクに愚痴ったり、ウンスクが先輩ハンサンの方が格好いいと呟いたり、ミヌがジホに全く気づいていなかったり、現在よりも高校時代の回想シーンの方が面白くなっている。
ジホの願いが叶い、初恋相手のミヌと近づくことが出来て、しかも一緒に生活するところまでこぎつけ、ミヌの理想の女性になるように健気に努力している姿をコメディタッチでみせている。ミヌの両親が外泊していることで、二人っきりの世界を満喫しているのであるが、ミヌの一番嫌いな女性のタイプは嘘をつく人なので、複雑な思いを抱えながらジホは記憶喪失のふりを演じてばれないようにしているのだ。ミヌからするとジホに対して特別な感情がないのがみえ、徐々にジホを意識していく過程を描いている。
ジホと幼なじみドンシクの関係は、奇妙な間柄にみえるが、ドンシクがジホにずっと片思いしていることを気づかせないようにみせて、幼なじみとして接している。ジホからみるドンシクは、がさつな性格で間が悪く、男性というより家族に近い存在になっている。ドンシクが弟ジフンといつも一緒にいるから、余計にそのように感じるだろう。
真実を知る唯一の親友ウンスクの存在が非常に笑えるところである。高校時代のエピソードでは、ウンスクの絶妙なツッコミとボケがあるからこそ、面白さが出ている。現在無職で遊んでいるウンスクに頼みごとをしたり、同窓会で隅に座っていたり、学生時代の脱糞事件、お気楽に物事を考えていたりと登場人物の中ではポイントになるキャラかもしれない。
ジホは、憧れの初恋相手ミヌ、ずっと愛されてきた幼なじみドンシクのどっちを選ぶのかが中盤から終盤の流れになっている。全体像から、非常にバランスの悪い構成になっているのが、終盤になれば気づくであろう。ドンシクの登場を序盤で多くしていれば、中盤から終盤の流れがスムーズに行き、納得できるのだが、序盤でドンシクの登場が少ないからミヌの描き方と比較するとアンバランスなのがみえる。中華店の配達人の揚子江(チョン・ジェヨン)やミヌの初恋相手キム・ソナ(キム・ソナ)の登場の仕方は面白く、この二人をもっと有効に利用していると面白くなっただろう。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★