愛してるから大丈夫
制作年:2006年
監督:カク・チギュン
出演:チ・ヒョヌ、イム・ジョンウン
ジャンル:ラブストーリー
鑑賞:日本版DVD
みんなから人気があって歌もダンスも上手な男子高生ミニョク(チ・ヒョヌ)は、学園祭で盛り上がっていた。ミニョクが男子トイレで小便をしていたとき、女子高生ミヒョン(イム・ジョンウン)が大のドアを開けて現れた。ミニョクは、可愛いミヒョンの姿をみて、ひたすら声をかけて親しくなろうとしていた。ある日、友人の誕生日会を兼ねて合コンに参加したミニョクは、友人のヨング(チュホ)とヒョニル(パク・キョンホ)、そして女子高生キョンニム(カン・レヨン)とヒョンギョン(キム・ソンヒ)が参加していた。ミニョクは店の男子トイレで小便をしていたときに、またしても大のドアからミヒョンが現れて、ミヒョンも合コンのメンバーであった。ミニョクは、ミヒョンとの運命的な出会いを感じて惚れ込んでしまい、彼女へ精一杯の愛の表現をする。二人の距離が縮まった頃、突然ミヒョンは外国に引越しすることになり、ミニョクとの関係はフェードアウトした形になった。二年後、大学生になったミニョクは、校内の男子トイレでミヒョンと再会する。ミニョクとミヒョンは、今後どのような形で愛を交わすのかというお話。
監督は、『深い悲しみ』『プライベートレッスン 青い体験 (原題:青春)』のカク・チギュン監督。
出演者は、男子高生ミニョクを演じるのは本作スクリンデビューのチ・ヒョヌ、女子高生ミヒョンを演じるのは『ひとまず走れ!』『セックス イズ ゼロ (原題:色即是空)』のイム・ジョンウン、ミニョクの父チャンホを演じるのは『達磨よ、ソウルに行こう!』のチョン・ハニョン、ミヒョンの母ヨンウンを演じるのは『リベラ・メ』のチョン・エリ、女子高生キョンニムを演じるのは『マドレーヌ』『サグァ』のカン・レヨン、男子高生ヨングを演じるのは『アメノナカノ青空 (原題:...ing)』『カリスマ脱出記』のチュホ、男子高生ヒョニルを演じるのは本作スクリンデビューのパク・キョンホ、女子高生ヒョンギョンを演じるのは『B型の彼氏』のキム・ソンヒ、ミニョクの兄で高校教師サンジュンを演じるのは『約束 (原題:国境の南側)』『卑劣な街』のイ・スヒョン。
韓流の十八番、難病によって残り少ない命を扱った青春ラブストーリー。運命の出会い、純粋で一途な愛、出生の謎、難病、彼女の夢、といった韓流が得意とする分野を実績のあるカク・チギュン監督がメガホンをとった。
高校時代の恋愛は、ひたすらミニョクがミヒョンに対して愛情を伝えており、ミヒョンの方は冷たい態度をとりながらも彼の気持ちを受け止めている。一応はミヒョンが恋のかけひきをしているのであるが、ミヒョンの方が熱くなっているのは表情からみえる。自転車で迎えに行ったり、深夜にミヒョンの学校に忍び込んでロッカーの中にバラの花を詰めたり、ミヒョンの自宅近辺を雪かきしたりと、爽やかな恋愛模様をみせているのだ。高校生っぽい恋愛表現をしているのは、中盤以降に大学生になるため、大人びた恋愛表現が出来ない縛りがあるのは感じられた。
ミヒョンの秘密というのが、本作のポイントになっている。だが秘密といいながらも鑑賞者は、序盤でミヒョンが難病によって苦しんでいることがわかっていることで、先の展開が読めてしまう弱点がある。そこに盛り込んでいるのが母ヨンウンと娘ミヒョンの絆をみせており、さらに出生の謎というほど大袈裟ではないが離婚した父ナムギュン(トッコ・ヨンジェ)との再会などがある。
サイドストーリー的なものにしているのが、二組の友人たちである。ヒョニルとキョンニムは交際しており、ヨングがひたすらヒョンギョンにアプローチする姿をみせている。あくまでも主人公たちのサポート役のような形になっており、人物の幅を広げるようなものになっている。当初はヒョンギョンもミニョクに対して好意を持っていたり、キョンニムはミヒョンの気持ちを初めから気づいていたりと、バランスがとれた人物配置にしているのがわかる。ミニョクとミヒョンの間に割り込んでくるキャラが入るとまた面白くなると感じた。
大学時代になってからは、ミヒョンの限られた命に愛情を注ぐミニョクをみせている。原動力になっていたのがミニョクの父の言葉であり、母が亡くなったときの経験を知ってから、積極的な行動をみせている。ミヒョンの死が近くなる状況から、スピード感ある展開になるので途中で飽きることなく鑑賞できるであろう。
率直にいって、ベタな展開なため、この作風を世に出すのであれば遅すぎる。韓国映画で似たような作風が多いので、今では+αとしてオリジナリティが必須であるからだ。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★