ハミング
制作年:2007年
監督:パク・テヨン
出演:イ・チョニ、ハン・ジヘ
ジャンル:ラブストーリー
鑑賞:韓国版DVD
海洋研究所で働くチュンソ(イ・チョニ)とダイビングの先生をしているミヨン(ハン・ジヘ)は、5年以上交際している。いつも行動を共にする二人は、ロッククライミングの講習をペアーで受けていた。ミヨンは、交際2000日の記念日が近づいてきたことで、何か特別な事をやろうといろいろ考えてチュンソに話していた。チュンソは、そんなミヨンの態度が鬱陶しくなっており、ミヨンと少し距離を置きたいと思っていた。チュンソは研究所に貼ってあったポスターをみて南極研究員活動に応募して、まだ決定してないのに南極行きが決まったことをミヨンに告げて、遠回しに別れようと考えていた。だが、ミヨンは別れる気は毛頭なくて、南極に行っても連絡できるように無線通信の講習を受けて、チュンソと一緒に無線通信をしようと考えていた。ある朝、寝ていたチュンソのマンションにやってきたミヨンは、いつものような振る舞いをして、更に無線通信のやり方を教えようとしていたので、チュンソは逃げるようにして仕事場に向かった。チュンソが仕事場に向かっているときに、ミヨンの叔母(イ・フィヒャン)から携帯電話に連絡がきて、昨夜にミヨンが交通事故で重体になって入院している知らせを受けた。さっきまで一緒にいたミヨンが何故事故に遭うのかと思いながら、その病院に向かったチュンソは、ミヨンが意識不明の重体で脳死状態になっていたことに驚く。病院に駆けつけたチュンソ、ミヨンの叔母、ミヨンの親友ウンジュ(キム・ヘイン)が眠っているミヨンの姿をみて悲しんでいた。チュンソは、昨夜事故に遭っているのに何故翌朝に元気なミヨンが訪ねてきたのかと疑問もあり、更に夢のようにミヨンが時々現れるような錯覚を感じることで、事故当日や事故翌日のミヨンの行動を調べることをした。失いかけて初めて彼女の存在の大きさを感じたチュンソが、ミヨンへの愛を再確認して、どのような結末を迎えるのかというお話。
監督は、『恋風恋歌』『なせば成る』のパク・テヨン監督。
出演者は、海洋研究所で働いているチュンソを演じるのは『台風太陽』『ビューティフル (原題:美しい)』のイ・チョニ、ダイビングの先生をしているミヨンを演じるのは『シングルズ』『B型の彼氏』のハン・ジヘ、大学教授を演じるのは『最強ロマンス』『クォン・スンブン女史拉致事件』のチョン・ジェジン、警備員を演じるのは『大胆な家族 (原題:肝っ玉家族)』『礼儀なき者たち』のパク・チュンソン、医師を演じるのは『クライング・フィスト (原題:拳が泣く)』『堤防伝説』のキム・スヒョン、ミヨンの叔母を演じるのは『愛を逃す』のイ・フィヒャン、チュンソの同僚で友人のチョンジェを演じるのは『浮気するのにいい日』のイ・ミンギ、ミヨンの親友ウンジュを演じるのは『阿娘』のキム・ヘイン、ロッククライミングの教官を演じるのは『最強ロマンス』『セブンデイズ』のイ・ジョンホン。
チュンソが少しの間だけ恋人ミヨンと離れたいと思った矢先に、ミヨンが交通事故に遭い重体となり、罪悪感に浸りながら過去に二人で育んできた恋愛を振り返ってミヨンの存在が如何に大きかったかを感じる。
あまりにも素直すぎる展開で進行しているので、一昔前のラブストーリーという感じを受けてしまう。開始20~25分ぐらいで全ての展開が読めてしまい、予想したままのストーリーを展開していたことで残念な思いをしてしまった。ミヨンがロッククライミング仲間の一人に自転車を借りて事故に遭い、その翌朝にチュンソの家に自転車で会いにきて、無線通信を持ってきたところあたりからである。ミヨンが事故に遭った映像をみせたことで、重体か死亡かという判断がわかり、そこに存在しているミヨンが何者かも予想できてしまう。そのためにその後の展開として、過去をメインにみせていくこと、冒頭のロッククライミングや趣味のダイビング、南極研究員活動の行方、ミヨンの運命という流れが一変にみえてしまった。伏線としていた交際2000日の記念日が、釈迦誕生日(補足:旧暦対応のため毎年変わるが、韓国では祝日になり、カレンダーで2007年5月24日が赤字)というのがかなりヒントになってしまっていた。
ミヨンがサプライズ好きであるのが終盤まで引っ張っているのだ。そして、ロマンティストな女性であるのも分かるし、いつまでも恋人への愛の気持ちが頂点にあったり、何でも前向きで積極的であるのがみえてくる。この性格をチュンソがどのようにして思い出しながら気づいていくのかが、この作品のポイントになっている。ラストにチュンソがミヨンのために台詞を発しているのであるが、そんなこと鑑賞していれば言葉で表現しなくてもわかるところだから、顔の表情や仕草で表現すれば済むことだと感じてしまった。あまりにも親切すぎる演出なので、万人受けするようにしたのであろう。
主人公の二人が主になっているのは当たり前なのだが、脇役の活躍が殆んどないのが残念なところである。ミヨンの叔母(イ・フィヒャン)、チュンソの同僚で友人のチョンジェ(イ・ミンギ)、ミヨンの親友ウンジュ(キム・ヘイン)といった人物たちが特別出演という形になっているのも勿体ない。この三人は他の登場人物と比較すると、比べものにならないほど頻繁に登場しているから、通常出演と変わらないのだ。
テレビの単発系ドラマが好きな人、単純なラブストーリーが好きな人にはお薦めの作品である。だが、先の展開が見えないストーリーが好きな人にとっては答え合わせになってしまうのでお薦めできない作品である。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★