SSFF&ASIA 2014の各賞が発表された。グランプリ作品は、インドネシア映画の『ホールインワンを言わない女 / A Lady Caddy Who Never Saw a Hole In One』。インターナショナル部門優秀賞を獲得したドイツ映画の『サイの行進 / Rhino Full Throttle』の方が面白かったかな。今月中旬から来月下旬まで、横浜のブリリア ショートショートシアターで、受賞作品が上映されるので観に行く予定である。本映画祭中、年間パスポートに入ったので。
九月が終わる時 (原題:九月が過ぎれば) (短編)制作年:2013年
監督:コ・ヒョンドン
出演:イム・ジヨン、チョ・ヒョンチョル、ユン・ヒジン
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
鑑賞:SSFF&ASIA 2014
大学の建築関連の研究室に所属している学生たちは、教授からデザインコンテストに向けて、決められた期日までに図面を提出するようにいわれる。優等生の女子大生ソニョン(ユン・ヒジン)の図面が、締め切り前日に盗まれてしまう。女子大生ソニョンは、女子大生ジヨン(イム・ジヨン)が盗んだと疑う。そこで、男子大生スンジョ(チョ・ヒョンチョル)は女子大生ジヨンをかばう。男子大生スンジョは、後輩のジヨンと行動するようになっていく。男子大生スンジョは、日本のアイテムや詩的な表現で、ジヨンとの関係が近づいていくお話。
監督は、『KISS SHOP (短編)』のコ・ヒョンドン監督。
出演は、女子大生ジヨンを演じるのは『災難映画 (短編)』のイム・ジヨン、男子大生スンジョを演じるのは『ヨンア (短編) 』『建築学概論』のチョ・ヒョンチョル、女子大生ソニョンを演じるのは『ママの休暇 (短編)』のユン・ヒジン。
上映前に韓国アシアナ国際短編映画祭(AISFF)のプログラマーが舞台挨拶をし、中山美穂主演の日本映画『Love Letter』に影響されている作品と説明していた。
スンジョは、ボクサーで建築家の安藤忠雄を尊敬していたり、かなりの日本通なところをみせている。『Love Letter』のポスターが出てきて、中山美穂と同じポーズをとるジヨンだったり、作品内ではジヨンが『Love Letter』を鑑賞するシーンも含まれている。このようなシーンをみると、日本人としてはこのように使用してくるのかと、逆におもしろくみえてくる。
スンジョとジヨンが、どのようにして愛に入っていくのかを詩的な表現でみせている。あらゆるアイテムが入り混じりながら、愛が動いていく過程をみせている。短編でありながら時間配分を考えて上手く編集している。
スンジョとジヨンの物語が流れながら、デザインコンテストに向けて図面を書いたり、建築模型を作ったり、学術的なところをみせている。建築を学ぶ大学生をみせること、女子大生ソニョンの図面が盗まれる経緯もはっきりとみえてくるようになり、図面を盗んだ人の心をしっかりと描写している。
台詞で「九月が過ぎれば・・・」というのも、この作品の名言になっている。これは、あらゆることに結びついているので、非常に重要なところである。意外に奥深く作られているようにみえたので、じっくりとみる作品であろう。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★