なめ犬のとことん韓国映画
2014-06-23T14:40:38+09:00
nameinuuuu
韓国映画だけを取り扱ったブログ
Excite Blog
韓国映画レビュー その825 「生贄 (原題:ザ・ピッグ) (短編)」
http://nameinuuuu.exblog.jp/22824616/
2014-06-23T14:35:00+09:00
2014-06-23T14:40:38+09:00
2014-06-23T14:35:04+09:00
nameinuuuu
825.生贄
生贄 (原題:ザ・ピッグ) (短編)
制作年:2013年
監督:チェン・シンイー、ユン・ジェホ
ジャンル:ヒューマンドラマ
鑑賞:SSFF&ASIA 2014
ある架空の国の出来事、国王が支配する国。国王の言葉で、国民は行動しなければならない。母と一緒に生活しているダーインは、ブタを飼っている。ダーインの幼馴染の女性マオは、水商売をしており、キャバレーでダンスをしている。晴れた日々が続き、雨を待ち望む人たちで溢れている。哀れみと祈りと共に、生きようとするお話。
監督は、台湾のチェン・シンイー監督と韓国のユン・ジェホ監督。
架空の国が設定になっており、国王が存在していたり、国王が国を動かしている。でも、使用されている言語が北京語になっているから、中華圏の架空の国となるだろう。国王自体は、作品内に登場せず、ナレーションによって状況を説明している。
ダーインの視点、マオの視点をみせながら物語が展開されていく。ダーインの視点は、弱っている母、庭でブタを飼っており、必死に生きる。マオの視点は、キャバレーでダンスをしているが、若い新人が入ったことでクビを宣告される。二人の視点を別々にみせてから、二人が合流することで、全体像がみえる構成になっている。
二人は、仕事のことであったり、日常のことであったり、会話をしていく。男女だからといって、恋愛に結びつけるものではないだろう。生きていくことを哲学的にみせているようにみえてくる。
ダーインが飼っているブタは、生贄のブタである。ペットのブタでないことを冒頭から理解しておく必要がある。中盤からブタを解体してばらばらにしていく。「生贄のブタ」をいろいろな解釈ができるようにしている。なぜならば、架空の国が設定になっているからである。台湾と決めつけてみてしまうと思考が固定されてしまうので、「架空の国」というのが観る側にいろいろと考えさせるように出来ている。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★
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韓国映画レビュー その824 「月が欠けゆく時 (原題:月が欠けるなら) (短編)」
http://nameinuuuu.exblog.jp/22780225/
2014-06-13T23:37:00+09:00
2014-06-13T23:37:08+09:00
2014-06-13T23:37:08+09:00
nameinuuuu
824.月が欠けゆく時
月が欠けゆく時 (原題:月が欠けるなら) (短編)
制作年:2013年
監督:チョン・ソヨン
出演:イ・ミンジ
ジャンル:ヒューマンドラマ
鑑賞:SSFF&ASIA 2014
町は、地盤沈下が進み、傾いた家を捨てて住民たちは去っていった。町内で一人ぼっちになって傾いた家に住むジェア(イ・ミンジ)は、三年前に家を出て行った兄の帰りを待つ。ジェアの両親は亡くなっており、兄と一緒に祭祀をするためである。果たして、妹ジェアのところに兄は戻ってくるのか、そして傾いた家はどのようになるのかというお話。
監督は、『セント・ジミ (短編)』『天の川を渡る方法 (短編)』のチョン・ソヨン監督。
出演は、妹ジェアを演じるのは『葬式 (原題:招待) (短編)』『セーフ (短編)』のイ・ミンジ。
地盤沈下した町に一人で住む妹ジェアが、一緒に祭祀を行うために兄の帰りを待っている。傾いた家というところは、ジェアの心の不安を具現化した形でみせているのであろう。ジェアの生存だけでなく、兄への心情、兄との思い出、両親の死と様々なものに当てはまる。
中盤ぐらいに兄が帰ってくるのである。祭祀のために購入したスイカを持って現れるのだ。これで兄と一緒に祭祀ができる妹ジェアであるが、不思議な感じにもみえるのである。
傾いた家のシーン、地下室のシーンと二つ設定されている。ここでみえてくるのは、現実と空想の世界が存在していることである。そこを区別して読み取っていく必要があるだろう。空想というのは、妹ジェアの中にある世界を示している。そのように考えていくと、兄の帰りというのがどのようなことを示しているのかみえてくる。映像としているものは、妹ジェアの心である。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★
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韓国映画レビュー その823 「生きとし生けるもの (原題:リビング・シングス) (短編)」
http://nameinuuuu.exblog.jp/22780163/
2014-06-13T23:24:00+09:00
2014-06-13T23:24:03+09:00
2014-06-13T23:24:03+09:00
nameinuuuu
823.生きとし生けるもの
生きとし生けるもの (原題:リビング・シングス) (短編)
制作年:2013年
監督:チョン・ギョンヒ
ジャンル:SF、ヒューマンドラマ
鑑賞:SSFF&ASIA 2014
大学進学に向けて教師は勉強を教え、女子高生たちは学ぶ。優等生アジンは、校長先生に大学への推薦状を書いてもらうチャンスがあった。しかし、そのチャンスを同級生ウナに奪われているかもしれないと気づいてしまう。人類滅亡の日が近づくにつれて、女子高生たちの心情や行動をみせるお話。
監督は、本作短編三作目のチョン・ギョンヒ監督。
人類滅亡の日が近いという設定がある中で、特進クラスに通う6人の女子高生たちや教師を描くことで、韓国社会をみせるようにしている。
大学受験競争や学歴社会という韓国社会の中で生きる高校を舞台にしている。生徒6人が教室で教師から勉強を教わり、学歴社会の縮図をみせて、その状況下で人はどのような心理状態にいるのかをみせている。
生徒側としては、女子高生アジンとウナを主にして、受験生の心理をみせている。追い詰められた生徒は、悲惨なものがある。学校側としては、勉強を教える教師の行動や仕草で、教師の心理をみせている。生徒と同様に教師もプレッシャーを抱えており、それをゲップという動作で表現されている。
人類滅亡の日が近いというSF要素を盛り込んでいることで、多少過激に演出できる。それが終盤の部分の作りになるのであろう。「人類滅亡の日が近い」設定が、韓国社会を比喩的に表現していることも推測できる面である。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★
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韓国映画レビュー その822 「人生は塞翁が馬 (短編)」
http://nameinuuuu.exblog.jp/22775427/
2014-06-12T23:35:00+09:00
2014-06-12T23:35:39+09:00
2014-06-12T23:35:39+09:00
nameinuuuu
822.人生は塞翁が馬
人生は塞翁が馬 (短編)
制作年:2014年
監督:キム・テヨン
出演:コ・ギョンピョ、イ・チョヒ、アン・ジェミン
ジャンル:ラブストーリー
鑑賞:SSFF&ASIA 2014
大学生ジュンギ(コ・ギョンピョ)は、キャビンアテンダントをしているソラ(シン・ヘソン)に愛の告白をするが、ある条件を突きつけられる。ソラは、以前に男性ヨンジュ(アン・ジェミン)と交際していたが突然ふられて、別の女性ハヌル(イ・チョヒ)と結婚したことを説明する。ソラは、ジュンギにその夫婦の仲を壊すように命じる。ジュンギは、ソラへの愛を得るために行動していくが、あらぬ方向へと進んでしまうお話。
監督は、『夜虫 (短編)』『ソウル恋愛』のキム・テヨン監督。
出演は、男子大生ジュンギを演じるのは『ミリオネア・オン・ザ・ラン (原題:500万ドルの男)』『怖い話2』のコ・ギョンピョ、女子大生ハヌルを演じるのは『番人』『全国のど自慢』のイ・チョヒ、ハヌルの夫ヨンジュを演じるのは『これが私たちの終わりだ』のアン・ジェミン、キャビンアテンダントのソラを演じるのは『リターンマッチ (短編)』シン・ヘソン。
題名の意味としては、人生とは人間の吉凶や禍福は変転し、予測できないことを示しているのであろう。大学生ジュンギは、もてる女性ソラの心を一人占めしようと奮闘していくが、他へ感情が揺れ動いていく。ターゲットとなる妻ハヌルと夫ヨンジュは、ジュンギからすると友人であり、友人関係を壊したくないのである。このような人間関係がある中でジュンギは、どのような行動をとるのかをみせている。
ジュンギはソラの指令を実行するため、ハヌルを含む仲間たちとキャンプに行く。ジュンギとハヌルは、大学で知り合った友人であり、なんでも話せる仲である。ハヌルがヨンジュと結婚したのは妊娠したからである。ハヌルは、できちゃった結婚であるが、夫ヨンジュを愛していることを公言している。ハヌルの存在は、世間知らずの大学生主婦といった設定であろう。ジュンギとハヌルが二人っきりになり、出会った頃の気持ち、現在の気持ち、夫婦生活の現状というのがみえてくることで、二人の間にどのような感情があるのかをみえるようになっている。
ドジな夫ヨンジュは、周囲を騒がせるコメディ担当のような形になっている。ジュンギとハヌルの関係が気になって追うのがヨンジュである。そこであるトラブルが起こり、ハヌルがどのような行動をとるのかで夫婦の関係をしっかり描いている。
もてるソラ、人妻ハヌルの魅力をみせて、ジュンギが次に進む方向を終盤にみせているのだ。終盤の出来事は、題名に繋がるようなものになっている。ロマンチックコメディの王道といった形をとっているので、テレビドラマっぽい作りになっている。若者たちの愛の物語になっており、比較的分かりやすい内容になっている作品だ。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★
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韓国映画レビュー その821 「九月が終わる時 (原題:九月が過ぎれば) (短編)」
http://nameinuuuu.exblog.jp/22769008/
2014-06-11T17:59:00+09:00
2014-06-11T17:58:50+09:00
2014-06-11T17:58:50+09:00
nameinuuuu
821.九月が終わる時
九月が終わる時 (原題:九月が過ぎれば) (短編)
制作年:2013年
監督:コ・ヒョンドン
出演:イム・ジヨン、チョ・ヒョンチョル、ユン・ヒジン
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
鑑賞:SSFF&ASIA 2014
大学の建築関連の研究室に所属している学生たちは、教授からデザインコンテストに向けて、決められた期日までに図面を提出するようにいわれる。優等生の女子大生ソニョン(ユン・ヒジン)の図面が、締め切り前日に盗まれてしまう。女子大生ソニョンは、女子大生ジヨン(イム・ジヨン)が盗んだと疑う。そこで、男子大生スンジョ(チョ・ヒョンチョル)は女子大生ジヨンをかばう。男子大生スンジョは、後輩のジヨンと行動するようになっていく。男子大生スンジョは、日本のアイテムや詩的な表現で、ジヨンとの関係が近づいていくお話。
監督は、『KISS SHOP (短編)』のコ・ヒョンドン監督。
出演は、女子大生ジヨンを演じるのは『災難映画 (短編)』のイム・ジヨン、男子大生スンジョを演じるのは『ヨンア (短編) 』『建築学概論』のチョ・ヒョンチョル、女子大生ソニョンを演じるのは『ママの休暇 (短編)』のユン・ヒジン。
上映前に韓国アシアナ国際短編映画祭(AISFF)のプログラマーが舞台挨拶をし、中山美穂主演の日本映画『Love Letter』に影響されている作品と説明していた。
スンジョは、ボクサーで建築家の安藤忠雄を尊敬していたり、かなりの日本通なところをみせている。『Love Letter』のポスターが出てきて、中山美穂と同じポーズをとるジヨンだったり、作品内ではジヨンが『Love Letter』を鑑賞するシーンも含まれている。このようなシーンをみると、日本人としてはこのように使用してくるのかと、逆におもしろくみえてくる。
スンジョとジヨンが、どのようにして愛に入っていくのかを詩的な表現でみせている。あらゆるアイテムが入り混じりながら、愛が動いていく過程をみせている。短編でありながら時間配分を考えて上手く編集している。
スンジョとジヨンの物語が流れながら、デザインコンテストに向けて図面を書いたり、建築模型を作ったり、学術的なところをみせている。建築を学ぶ大学生をみせること、女子大生ソニョンの図面が盗まれる経緯もはっきりとみえてくるようになり、図面を盗んだ人の心をしっかりと描写している。
台詞で「九月が過ぎれば・・・」というのも、この作品の名言になっている。これは、あらゆることに結びついているので、非常に重要なところである。意外に奥深く作られているようにみえたので、じっくりとみる作品であろう。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★
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韓国映画レビュー その820 「家族 (原題:Family) (短編)」
http://nameinuuuu.exblog.jp/22760235/
2014-06-09T22:13:29+09:00
2014-06-09T22:13:53+09:00
2014-06-09T22:13:53+09:00
nameinuuuu
820.家族_短編
家族 (原題:Family) (短編)
制作年:2012年
監督:チョン・ウク
出演:パン・ウンジョン、イ・ユジン、キム・チュンギュ
ジャンル:ヒューマンドラマ
鑑賞:SSFF&ASIA 2014
年上少女シネ(パン・ウンジョン)、少女ミンジョン(イ・ユジン)、少年フン(キム・チュンギュ)は、家出少年少女である。それぞれ家出をして、道路で会った三人は、ファミリーとなる。三人は、家がなくて夜の公衆便所に行ってダンボールを下にひいて寝る。収入源は、シネがお客を集めて、ミンジョンに売春させる。フンは、知り合いの先輩から食料をもらってくる。いつものように金を儲けるため、路上に出る三人である。しかし、ミンジョンの体調が悪くなり、フンとシネがミンジョンを抱っこして移動する。トイレに戻った三人は、体調の悪いミンジョンを看病する。ミンジョンの病状の悪化によって、このファミリーの歯車が壊れ始めていくお話。
監督は、本作がデビュー作のチョン・ウク監督。
出演は、年上少女シネを演じるのは本作スクリンデビューのパン・ウンジョン、家出少女ミンジョンを演じるのは『A Little Indian Boy (短編)』のイ・ユジン、家出少年フンを演じるのは本作スクリンデビューのキム・チュンギュ。
年上少女シネ、少女ミンジョン、少年フンは、実の家族ではない。それぞれ本当の家族がいるが、ある理由で家出をして、知り合った三人である。
三人の関係性は、少女ミンジョンや少年フンが対等な立場で、年上少女シネについていく。三人が生きていくには、空腹を満たすため、お金が必要である。お金の管理は、年上少女シネがして、リックサックに入れている。
少年フンは、昔の仲間から食料を調達してくる。少年フンが昔の悪い年上仲間とつるむと、年上少女シネは叱るのである。客引きをやるシネ、体を売るミンジョンと役割分担が決まっている。なぜシネも自ら売春しないのかである。単純に稼ぎが倍になると思うであろう。客引きのとき、男に追い詰められ逃げて恐がるシネをみて、腹が立つところであった。年上少女シネは、姉のようにみえるが、徐々に二人の母という形になっている。
ミンジョンとフンが家出をした理由は描かれている。ミンジョンは、父親の暴力に耐えられなくて家を飛び出した。フンは、口うるさい母親の存在が嫌になって家を飛び出した。シネには、家出の背景を描写してないことから、二人とは違う意味をみせようとしている。それが、二人の「母」という形であろう。
結局のところ、フンはシネの言動が母親と重なるようにみえてきて、シネのリックサックからお金を抜き取って、昔の悪い年上仲間のところに行ってしまうのだ。ミンジョンは、病状が悪化していき、下半身から出血が止まらなくなってしまう。お金もないシネは、何とかしようと街中でカンパしてもらおうと行動する。なぜ、このような行動を選ぶのかである。お金を稼ぐという発想でなく、貰うという発想のところである。シネの最終決断としては、ミンジョンを元の家に戻す選択をしてしまう。
この三人を「家族」という定義にするには年齢が近すぎる感じがする。姉弟のような関係にみえるし、仲間という関係にもみえる。「家族」というのがわかるのが、最後のシーンであろう。それまでは、必死だけど未熟なシネをみせている。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★
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韓国映画レビュー その819 「夏の終わり (原題:私が捨てた夏) (短編)」
http://nameinuuuu.exblog.jp/22720937/
2014-06-01T23:15:00+09:00
2014-06-11T18:00:26+09:00
2014-06-01T23:16:00+09:00
nameinuuuu
819.夏の終わり
夏の終わり (原題:私が捨てた夏) (短編)
制作年:2013年
監督:ソ・ソンウォン
出演:ソン・ヨウン、チョン・ジェウン
ジャンル:ヒューマンドラマ
鑑賞:SSFF&ASIA 2014
仕事が忙しくやっと会えた彼女(ソン・ヨウン)と彼(チョン・ジェウン)。彼は、彼女に休暇をとってもらい一緒に過ごしたいが、仕事が忙しく彼女は休暇なんてとれない。食事の話しになり、彼は家で食べることを決め、二人で材料を買う。彼は部屋で横たわり、彼女は暑い夏の日に豚の三段バラ肉を焼く。食事が出来上がり、二人は一緒に食べる。その後、彼女は汗を垂らして食事の片付けをする。一方、彼は汗も出さずに涼んでいる。彼女は、彼の行動を横目でみて、不機嫌な顔をする。ついに彼女の堪忍袋の緒が切れるお話。
監督は、本作デビュー作のソ・ソンウォン監督。
出演は、彼女を演じるのは『恋の潜伏捜査 (原題:潜伏勤務)』『コ死:血の中間考査』のソン・ヨウン、彼を演じるのは『ソウル、耳と髪の毛 (短編)』『視線の向こうに』のチョン・ジェウン。
上映前に韓国アシアナ国際短編映画祭(AISFF)のプログラマーが舞台挨拶をし、韓国と日本の家事の違いを表現している作品と説明していた。この作品では、家事を女性にまかせっきりにして、男性は横になって何もしない。韓国の家事の事情を説明していたことで、この作品で登場する男女の行動が理解できる。
男女の会話の中でも、男性中心で物事を決めるところをみせている。彼女に休暇をとって欲しいとか、食事は外食か家で作るのか。彼女のムスッとした表情が終盤まで続いており、我慢している感情が上手く出ていた。
食事を家で食べることを決めたとき、彼が作るような言い方に聞こえたが、彼女が調理をしているので、会話として不思議な感じを受けた。家事についての会話が、男性が動くような言い方で、実際は女性が動いている。それぞれの国々に文化があるので、どれが正しいとかはないだろう。
カルチャーショックを受けるのは、冷凍室に残飯(生ゴミ)を入れているところである。これから食するものと生ゴミが一緒に入っている。この作品では、冷凍室が残飯であふれているのだ。仕舞いには、冷凍室を開けたときに残飯が床に落ちて、ビニールに入れていた残飯が床に散らばってしまうのだ。このことから、彼女の我慢していた感情が爆発していくのである。終盤に晴々した表情をしている彼女をみて、観ている側も同じような気持ちになるだろう。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★]]>
韓国映画レビュー その818 「D-24 (短編)」
http://nameinuuuu.exblog.jp/22720804/
2014-06-01T22:53:00+09:00
2014-06-11T18:01:05+09:00
2014-06-01T22:54:12+09:00
nameinuuuu
818.D-24
D-24 (短編)
制作年:2013年
監督:シン・ウソク
出演:パク・ノシク
ジャンル:SF
鑑賞:SSFF&ASIA 2014
西暦2072年、独身で一人暮らしのグシク(パク・ノシク)は、ある宣伝をみていた。大量生産している妻型アンドロイド「D-24」の宣伝である。寂しい人生を紛らわすため、購入することを決意した。24日後、やっとD-24が届くお話。
監督は、『Encounter (短編)』『Tramp (短編)』のシン・ウソク監督。
出演は、グシクを演じるのは『神弓 -KAMIYUMI- (原題:最終兵器 弓)』『魚』のパク・ノシク。
美形な顔立ち、長髪、痩せ型の妻型アンドロイドの「D-24」。この宣伝をみた独身男性のグシクが、D-24を購入する決断や家に届くまでの感情を表している。そこを読み取っていくこと、これから起こりえることを考える作風である。
近未来的な世界の描写は、どことなく日本のアニメに近いものを感じられる。今年2月のゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014で上映され、監督メッセージがある。日本人作家の映画や本や漫画から、刺激とインスピレーションをもらったことを書いてあったので納得がいくであろう。近未来の描写が、あまりにもありふれた映像なので、工夫して欲しいところである。観客に託す作風はかまわないが、材料が乏しいのが残念なところかもしれない。もっと実験的に描ける内容なので、それは今後の作品に期待したい。
【なめ犬的おすすめ度】 ★]]>
韓国映画レビュー その817 「少年とひつじ (短編)」
http://nameinuuuu.exblog.jp/22720700/
2014-06-01T22:37:00+09:00
2014-06-11T18:01:33+09:00
2014-06-01T22:37:27+09:00
nameinuuuu
817.少年とひつじ
少年とひつじ (短編)
制作年:2013年
監督:イ・ヒョンソク
出演:キム・ジェユン、チェ・ダソル、コ・クァンジェ
ジャンル:ヒューマンドラマ
鑑賞:SSFF&ASIA 2014
女(キム・ホンジョ)は、物置として使用する古びた小屋の所有者である。整理した後、南京錠でロックして、小屋から離れていった。女の様子をみていた男(コ・グァンジェ)は、女が立ち去った後、羊を連れて現れた。羊に風船を取り付けて、小屋の窓をあけて、羊を小屋に押し込んだ。その後、学生の少年二人(キム・ジェユン、チェ・ダソル)が、小屋の裏側にある壊れた壁から小屋に侵入した。学生の少年二人は、理由があって小屋に入り込んだ。そんなとき、風船のついた羊を見つけた二人は、風船をわった。風船の中にあるものが入っていた。二人には、興味深いものであった。そんなとき、小屋の所有者である女が戻ってきた。それぞれの人たちが、思いもよらない感情を持っており、ある修羅場へと発展していくお話。
監督は、『155マイル (短編)』『西部映画 (短編)』のイ・ヒョンソク監督。
出演は、少年1を演じるのはキム・ジェユン、少年2を演じるのはチェ・ダソル、男を演じるのは『トンマッコルへようこそ (原題:ウェルカム・トゥー・トンマッコル)』『西部映画 (短編)』のコ・グァンジェ、女を演じるのはキム・ホンジョ、警官を演じるのは『不信地獄』『ごますりの王』のユン・ヒチョル。
エンディングロールで、役名が表記されていた通りに書いた。
五人の人間と一匹の羊で構成されており、それぞれがどのように繋がっていくのかを徐々にみせていく展開になっている。小屋を管理している女に惚れているのが、羊を連れている男である。小屋に入って寄り添う少年二人の純粋な感情である。物語が進むことで、男と女の関係、少年二人の純粋な関係、男と警官の関係、そして少年と羊の関係がみえてくる。
小屋を管理してする女と羊を連れている男は、もともと友人である。男は、女に密かに想いをよせており、羊に付けた風船の中にラブレターを仕込んでいた。男からすれば、女へのサプライズであった。しかし、少年二人が風船をわって、中に入っていたラブレターを読んでしまう。それによって、少年と羊の関係も面白く発展していく。
そんなとき、女が小屋に戻ってきて、少年たちがみつかってしまい、小屋のそばにいた男も女に見つかってしまう。進入者として存在しているのが警官である。男と警官は友人関係で、男の恋の行方が気になってみにきたのであった。
一人の少年は逃亡したが、もう一人の少年は女に捕まってしまう。男は、羊に付けた風船が割れているのをみて、ラブレターの行方を小屋で探しまくるのである。男は、何とかこの場でラブレターの存在を消したいのである。少年は、ラブレターを読んでいることで内容を知っており、自分自身も刺激を受けている。
男の感情は、女へと伝わるのであるが、その展開は不意に起こるのである。男の好意を知った女の複雑な感情、少年の間での何ともいえない感情、狭い空間で少年と羊が一緒にいたことで何らかの変化をみせている。それぞれの感情が激しくぶつかり、予期しない方向に流れていくところをみせている。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★]]>
Short Shorts Film Festival & Asia 2014 に5/30(金)から出陣中
http://nameinuuuu.exblog.jp/22720653/
2014-06-01T22:26:21+09:00
2014-06-01T22:26:32+09:00
2014-06-01T22:26:32+09:00
nameinuuuu
つぶやき
実際に参加した感じですと、無料で配っている当日の整理券で十分です。事前予約で満席になっていても、当日の整理券がかなりありますので、気にする必要がないです。CG-Aはすぐに事前予約で満席になりましたが、当日の整理券が結構ありました。CG-Aだけは客席が埋まるぐらいに入りました。それ以外は、空席が目立っていましたから、ゲストで大物監督や大物俳優がこない限り、当日の整理券で問題ないと思います。
6月から上映が始まる「インターナショナル部門」と「アジアインターナショナル&ジャパン部門」を制覇するつもりで観ます。
いばらきショートフィルム大賞は、今回初めての企画でした。100万円の賞金がでる大賞は「ストロボ」でした。ノミネートされた2作品も上映されました。茨城県の橋本知事、SSFF&Asia代表で俳優の別所哲也らが選考して授賞式をしました。
CG-Aでは、途中で機材トラブルが発生して上映がストップしました。急遽、別所哲也が登場して、お詫びと機材調整中を知らせ、場をつなぐためにトークがありました。別所哲也は、おそらく毎日原宿会場に来ているのかもしれません。
今のところ参加したプログラムでよかったのは、アカデミー賞プログラムです。これは毎年面白い作品が上映されています。最初と最後に上映された作品は、かなりよかったです。
あとは、「ショートストーリーなごや」です。シナリオが先に出来上がっていて、それに映像をつける形になっています。シナリオはインターネット上でみれるそうです。『なごやの喫茶店』は過去と現在を行き来しており、主人公が喫茶店とどのような繋がりがあるのかが面白い作りになっています。
そういえば、「韓国トラベルショート」は消滅しました。昨年の予想が的中しました。その代わりに「韓国・アシアナ国際短編映画祭プログラム」が新しく出来ました。アシアナ国際短編映画祭で上映された5作品が観られます。韓国へ観光する日本人観光客が激減しているので、当たり前の対応です。5/30(金)にテレビ朝日系で放送された「朝まで生テレビ」では、「激論!反日・嫌韓、ド~する?!日韓関係」をテーマで、韓国からの論客を迎えて徹底討論しました。視聴者アンケートで「反日・嫌韓はどうやったら解決出来るか?」の質問に対して、1位は「解決は出来ない・解決する必要はない 172件」、2位は「反日・嫌韓の発言を控え、歩みよる 29件」と答えが出てしまいました。
本映画祭で韓国映画を数本観たので、レビューをアップしようと思っています。
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祝!8歳の誕生日 ヮ━━ ゚+。:.ヽ(o´∀`o)ノ ゚+。:.゚━━ィッ!!
http://nameinuuuu.exblog.jp/22597401/
2014-05-12T13:18:52+09:00
2014-05-12T13:18:46+09:00
2014-05-12T13:18:46+09:00
nameinuuuu
あいさつ
昨年10月下旬から、韓国映画を鑑賞していません。東京国際映画祭で鑑賞した「レッド・ファミリー (原題:赤い家族)」が最後だったと思います。半年ぐらい、ブログのメンテナンスもしてないです。理由は、単純で日常が忙しすぎたからです。作品のレビューは、ちゃんと書きたいので手抜きだけはしたくないところがあります。
今月末に開催されるShort Shorts Film Festival & Asia (以下SSFF)に参加するので、そこで観る韓国映画のレビューを書く予定でいます。短編ものになります。自分の中で韓国映画の優先順位が落ちています。今月末のSSFFも基本は、インターナショナル部門を中心に鑑賞するので、韓国映画は二の次になっています。
とりあえず、ブログを閉鎖せずに継続する形をとります。少しずつメンテナンスをしながら、ゆっくりレビューを更新していくことになると思います。まずやることは、ここ半年間の韓国映画の情報整理です。全く情報を入れてなかったからです。
あらためて、閲覧してくださる方々、コメントしてくださる方々には、いつも感謝しています。
今後もよろしくお願いします。
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韓国映画レビュー その816 「レッド・ファミリー (原題:赤い家族)」
http://nameinuuuu.exblog.jp/21433296/
2013-11-09T00:21:00+09:00
2013-11-09T00:21:03+09:00
2013-11-09T00:21:03+09:00
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816.レッド・ファミリー
レッド・ファミリー (原題:赤い家族)
制作年:2013年
監督:イ・ジュヒョン
出演:キム・ユミ、チョン・ウ、ソン・ビョンホ、パク・ソヨン
ジャンル:ヒューマンドラマ、アクション、サスペンス
鑑賞:第26回東京国際映画祭
北朝鮮のスパイグループが普通の家族を装い韓国で暮らす。擬似家族として、妻を演じるスパイグループのリーダーのスンヘ(キム・ユミ)、夫を演じるジェホン(チョン・ウ)、祖父を演じるミョンシク(ソン・ビョンホ)、女子学生の娘を演じるミンジ(パク・ソヨン)の四人のスパイ。擬似家族の隣りに住んでいるのは、純粋な韓国の家族で、夫、妻、祖母、男子学生の息子の四人家族である。擬似家族を演じる北朝鮮家族は、スパイ活動をしていることで、幸せそうな生活を周囲にみせるようにしている。一方、隣りの韓国の家族は、いつも夫婦喧嘩をしており、祖母と妻の関係もよくなく、男子学生の息子は同級生からカツアゲされている。距離を置いて生活していた二つの家族は、徐々に親しくなっていき、パーティーをするようになる。ミンジと隣りの男子学生は、同じ学校に通っていることで親しくなり、ミョンシクも隣りの祖母と親しくなっていく。お互いの家を行き来する中、隣りの家でパーティーに招待され、スンヘは珍しく酔っ払っており、北朝鮮の話題になったとき、擬似家族は北目線で話すことから、隣りの家族たちから親北派な家族だと云われてしまう。帰宅した擬似家族は、他のスパイグループに盗聴されているのを知らず、北朝鮮のマイナス的な発言をしたことを上層部に知られてしまう。小さな町工場を一人だけで働くスパイグループのボスは、スンヘたち擬似家族に指示を出し、そして北にいる本当の家族の様子を教えてもらう。擬似家族の四人は、北に本当の家族がおり、工作活動の失敗や民主主義にかぶれたものは、北にいる家族が罰せられる。北の命令によって四人のスパイは工作活動をしていく中、擬似家族なのに感情的な絆が生まれ、お互いのミスをカバーするようになっていく。そして、スンヘの大きな決断によって行動した四人のスパイは、致命的なミスを犯してしまう。懲罰として北の命令は、隣りの四人家族を殺害することであった。果たして、擬似家族を演じる四人のスパイグループはどのような行動をとり、家族とは何かと追求していくお話。
監督は、本作が長編作品デビューのイ・ジュヒョン監督。
出演は、北のスパイで擬似家族の妻スンヘを演じるのは『コン・ピルドゥ』『リターン』のキム・ユミ、北のスパイで擬似家族の夫ジェホンを演じるのは『願い』『人類滅亡報告書』のチョン・ウ、北のスパイで擬似家族の祖父ミョンシクを演じるのは『パーフェクト・ゲーム』『パパ』のソン・ビョンホ、北のスパイで擬似家族の娘ミンジを演じるのは本作スクリンデビューのパク・ソヨン。
南北問題を掲げてシリアスなテーマを絶妙なユーモアを交えており、北と南の家族を設定しながら、家族とは何かを人間の心理から追求していく流れになっている。
序盤は、隣りの韓国家族の騒動を皮肉りながら、北朝鮮擬似家族は会話をしており、共産主義との違いをみせている。スンヘがリーダーで上官となっており、位の低い三人に命令口調で指示を出し、上下関係をみせている。隣りの夫婦は、いつも喧嘩ばかりして、金使いの激しい妻が金貸し屋に脅されていた。厳しい取立てをする金貸し屋に対して、助太刀に入ったのが北朝鮮擬似家族の四人であった。暴力で仕掛ける金貸し屋だが、圧倒的な強さをみせる四人にやられてしまい、高額な利子を減らして返済できる額にしてもらう。それがひとつのきっかけとなって、二つの家族は交友が深まるようになっていく。
隣りの男子学生はミンジに惚れており、隣りの祖母はミョンシクに求愛することで複雑になっていく。北朝鮮擬似家族の家の中には、金日成、金正日、金正恩の肖像画が飾られているのだ。そんな状態で、隣りの韓国家族が訪問してきたとき、慌てて三つの肖像画を外して隠す姿は笑えてしまう。しっかりとタイミングよくユーモアを入れることによって、緊張感を和らげる効果をみせている。
中盤あたりで、北朝鮮擬似家族の素性がみえてくるのだ。スンヘの本当の家族は、夫も南にスパイとして工作活動していたが死亡してしまい、北に子供を残している。ジェホンの本当の家族は、妻がいることで、いつも心配している。ミョンシクの本当の家族は、子供や孫もおり、数十年もこの仕事をしていることで北にいる家族と会えない。ミンジの本当の家族は、北にいる親のことを考えている。北からの指令で、脱北者家族の三人を暗殺する命令が下り、赤ちゃんまで含まれている。赤ちゃんを殺害することができなかったスンヘは、ミンジが実行し、いつも威張っているスンヘに対して抗議をしだすのだ。スンヘは自分の子供を想い出し、決断できずにいたのだ。結果的には、北からの指令を成功させており、次なる指令の前に嫌な情報をスンヘが知る。ジェホンの妻が北から亡命したことだった。ジェホンをフォローしようと考えたスンヘは、指令が下されるまえに、ある家族を殺害して先走ってしまう。擬似家族で上下関係もあって仕事として行っていたが、それぞれに絆が生まれており、お互いを助けようとしていく。体調が悪いミョンシクは、病院で診察を受けるとガンであることが分かり、痛み止めの錠剤の薬を飲んでいる。ミョンシクの病状に気づくジェホンは、何時しか気遣うようになっている。
スパイグループのボスからの指令で、隣りの韓国家族を殺害することを四人の擬似家族スパイグループに下されるのだ。それができないのであれば、自分たちの命や北にいる家族に制裁が下されるのである。男たちだけのスパイグループが見張りをしており、動きを監視しているのだ。北朝鮮擬似家族と隣りの韓国家族は、泊まりでキャンプをすることにして、海岸沿いでテントを張って、殺害のチャンスをみている。だが、そこで「家族」とは何かという根本的な問いにぶち当たるのである。
北朝鮮擬似家族と韓国家族、二つの家族に違いがあり、どちらが正しいかという事を問われているのではない。二つの家族を描きながら、本当の家族とは何かというのを北のスパイたちの心を揺さぶるのだ。北朝鮮擬似家族を演じていた四人にも、北に本当の家族が存在しており、彼らを監視する北のスパイグループにも、それぞれ北に家族がいるのだ。
家族と理念の間で葛藤する過程で繰り広げられる様々な出来事に、観る側も考えさせられ、心の奥を突かれたような気分であった。最後までドラマがあるので、気の抜けない作りになっているのだ。
キム・ギドクの製作と脚本、長編デビューのイ・ジュヒョン監督、この組み合わせによって、キム・ギドク世界を上手に料理して出来た作品である。『豊山犬』もキム・ギドクの脚本で、違う監督が撮っており、これはキム・ギドク色がよく出ている。
ティーチ・インで、キム・ギドクの発言に観客は唖然としていた。「この中に朝鮮総連の方か、共和国の方はいますか?」館内は一瞬凍りついてしまった。その場にいても手を挙げにくいと、キム・ギドクが自身でつっこんでいた。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★★]]>
韓国映画レビュー その815 「起爆 (原題:野良犬)」
http://nameinuuuu.exblog.jp/21384862/
2013-10-31T23:12:49+09:00
2013-10-31T23:12:56+09:00
2013-10-31T23:12:56+09:00
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815.起爆
起爆 (原題:野良犬)
制作年:2013年
監督:キム・ジョンフン
出演:ピョン・ヨハン、パク・ジョンミン
ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
鑑賞:第26回東京国際映画祭
経営学のペク教授の助手をしているジョング(ピョン・ヨハン)は、研究室で一番下っ端で、中年先輩と年下女性の先輩から冷遇されている。研究室では、ペク教授や二人の先輩から雑用ばかりさせられていた。ジョングには、人に知られたくない過去があり、高校時代に化学の知識があることで教師と議論して揉めてしまい、その教師の車に爆弾を仕掛けて爆発させた。その教師は大怪我をし、爆弾を仕掛けたジョングは少年院へ行くことになった。なんとか更正して大学院まで行き、ペク教授の下で助手として働くことができた。ジョングは、日々の生活で気持ちが晴れないことから、秘密で爆弾を作っており、インターネット上で爆弾が欲しい人に無料で提供していた。ある日、ペク教授の授業に大学生ヒョミン(パク・ジョンミン)が受けており、ペク教授に対して挑戦的で知的な別の意見をぶつけたことで授業が止まってしまい、ヒョミンはペク教授から授業に出席しなくてよいと云われてしまう。ヒョミンは、教壇の隅で教授とのやり取りをみていた助手のジョングと目が合う。大学生ヒョミンは、インターネットで爆弾を無料で提供してくれるサイトを発見したことで、爆弾製造者のジョングとコンタクトをとり、ひとつの爆弾を入手する。爆弾製造者のジョングは、指定した時間と場所をヒョミンに知らせて、車でその地点まで行き、素早く車のドアをあけて、爆弾を地面に置いて、ダッシュで車を発進させた。無鉄砲な大学生ヒョミンは、日中に停車していた宅配車の荷物置き場に、箱に入った爆弾を置いて、本当に爆発させた。不遇な境遇にいる大学生ヒョミンと再び爆弾製造をする大学で助手しているジョングのお話。
監督は、長編デビュー作のキム・ジョンフン監督。
出演は、大学で助手をしているジョングを演じるのは『土曜勤務 (短編)』『目撃者の夜 (短編)』のピョン・ヨハン、大学生ヒョミンを演じるのは『番人』『ダンシング・クイーン』のパク・ジョンミン。
高校時代に爆弾事件を起こし少年院に入った経歴があり、今では努力して大学で助手という地位まで手にして更生したジョングが、無鉄砲で怖いものなしの大学生ヒョミンと出会うことで、社会と向き合うジョングを翻弄させていき、内に秘める思いを爆発させようとしていく。
序盤は、ジョングの現代社会における不満というのがみられ、大学での助手の仕事をしても、教授や先輩同僚からあしらわれ、飲み会に行っても教授の靴下を出汁にした酒を呑まされ、自分の車のナンバープレートが盗まれ知らぬ間に走っていたときに警察が現われ、注意されるだけですんだがナンバープレートなしで走行したら罰金刑になることを云われ、結局公道で走れない車は大学の駐車場にとめて宿代わりに使うことになるのだ。露骨なまでに、韓国の上下関係の厳しさをみせているのが印象的でもある。ストレスが溜まる状況をみせており、ストレス発散として爆弾を製造して、その爆弾を無料提供していたが、今まで誰も爆弾を使用した人はいなかった。そこに現われたのが、暴走大学生ヒョミンなのだ。
大学生ヒョミンの境遇もみせており、父が権力者、母がでしゃばりなところがあり、今の生活環境から抜け出したい思いをみせている。秘密でアパートを借りて、実家へ戻らずにいるヒョミンは、心に溜まったストレスを爆発させたくてうずうずしているのである。ブレーキのないヒョミンにとって、爆弾を爆発させることを躊躇なく実行するのだ。ヒョミンの行動を見張っていたジョングは、ヒョミンにみつかってしまい、何時しか二人は一緒にいるようになるのだ。
過去の過失と社会性を持つジョング、昔のジョングの姿をみているようで攻撃的な思考を持つヒョミン、この二人が出会うことで連続爆弾事件が起きて、更に復讐心が増幅していくのである。対等な立場にいるようにみえるが、主導権はヒョミンにあり、ひとつひとつの言動によって、ジョングの心を揺さぶっていくことで、ジョングの心を爆発寸前までもってきているのだ。根底の考え方は、二人とも一緒ながらも、置かれている立場が全く違うところをしっかりみせている。二人の心理戦があり、更生して苦労したジョング、自制心がなく相手を上手く煽るヒョミン、この攻防が最後まで続くのである。
若者が持つ二面性であったり、若者の心理をサスペンスチックにみせている。全体を通して感じたことは、低予算映画って感じで、ラストシーンの爆発も予算がなく、一発勝負でやったことをティーチ・インで語っていた。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★]]>
韓国映画レビュー その814 「セーフ (短編)」
http://nameinuuuu.exblog.jp/21358125/
2013-10-27T13:13:56+09:00
2013-10-27T13:13:50+09:00
2013-10-27T13:13:50+09:00
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814.セーフ
セーフ (短編)
制作年:2013年
監督:ムン・ビョンゴン
出演:イ・ミンジ、カン・テヨン、キム・ヒョンギュ
ジャンル:サスペンス、ドラマ
鑑賞:フォーカス・オン・アジア (SSFF&Asia 2013)
違法賭博の両替所でアルバイトする女学生(イ・ミンジ)は、小さな小屋でお客を待ち、お客が持ってくる商品券を機械が自動で計算してくれて、現金に換金する仕事である。女学生は、商品券を数枚だけ機械に入れず、いつも横領をして小銭を手にしていた。いつも違法賭博にくる賭博中毒男(カン・テヨン)は、両替所で女学生がピンハネしていると感じとり、文句を云うがそれを女学生が受け入れず、納得がいかずに去っていく。女学生は、このアルバイトを辞めようとしており、自分の代わりとして友人に電話で紹介して頼むが、よい返事がもらえないでいる。ある日、いつものように賭博中毒男が両替所に現れて、商品券を渡し、計算する機械音と自分の中指で音をたたいて確認すると、少ない現金が渡され、女学生がピンハネしていると確信する。賭博中毒男は、女学生に文句を云っても埒が明かないことから、違法賭博のボス(キム・ヒョンギュ)に直接話しをして、この問題をはっきりさせようとする。そんなとき、賭博中毒男のある行動によって事態が一転するお話。
監督は、『No More Coffee Break (短編)』『不滅の男 (短編)』のムン・ビョンゴン監督。
出演は、違法賭博の両替所でアルバイトする女学生を演じるのは『獣の終わり』『葬式 (原題:招待) (短編)』のイ・ミンジ、賭博中毒男を演じるのは『神弓 -KAMIYUMI- (原題:最終兵器 弓)』のカン・テヨン、違法賭博のボスを演じるのは本作スクリンデビューのキム・ヒョンギュ。
2013年、第66回カンヌ国際映画祭で、コンペティション短編部門賞(短編パルムドール)を受賞した作品。
暗い地下の小さな小屋の両替所で働く女学生は、お客からピンハネしてお金を貯めているのだ。両替所は、手が入るぐらいの窓口スペースがあり、その狭いスペースでお客とのやりとりをしているのである。セキュリティーも厳重にされており、女学生やボスが両替所に入るための入り口には、ドアのノブについている鍵だけでなく、別途に二つの鍵をドアに取り付けている。更に大きめな金庫がそこにあり、お金の管理はボスが最後にするのだ。
違法賭博のシーンはなく、地下に存在する小さな小屋の両替所の場所が主になっているのだ。賭博中毒男がいつも両替所にだまされ、怒りの頂点に達し殺意を持つところから、物語が大きく動きだすのである。賭博中毒男が、違法賭博のボスを襲い、そしてターゲットが女学生になり、追い詰められていく女学生の緊張感をこれでもかとみせつけているのだ。
賭博中毒男と女学生の緊迫した駆け引きが序盤から続いていることで、張りつめた空間を作り出しているのだ。更に違法賭博のボスの欲というのを描いており、賭博中毒男や女学生に影響を与えているように感じられる。ドラマという視点でみると、悪いと知りながら違法賭博の両替所で働く女学生と賭博中毒男の姿を通じて、現代人の残念な姿を映しだし、彼らも欲というものに染まっているのがみられる。
アイデアとしては、脚本家がこのようなアルバイトをしていた経験からきていることを上映後に女学生役のイ・ミンジが観客に語っていた。日本のパチンコの両替所もあのような感じだし、特別なアイデアではないようにみられる。日本の場合は、地下というより怪しい細い路地に両替所があったりするけど。終盤に追い詰められる女学生と追い詰める賭博中毒男の攻防が見所で、ラストがちょっと考えると恐いことになっている。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★]]>
今年の東京国際映画祭が終わって (2013年)
http://nameinuuuu.exblog.jp/21353784/
2013-10-26T18:34:00+09:00
2013-10-27T00:21:08+09:00
2013-10-26T18:34:18+09:00
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つぶやき
まず、日本映画はまだまだ強いというのを感じさせられました。それが「アジアの未来」で上映された『祖谷物語 -おくのひと-』です。徳島県の山奥にある祖谷(いや)が舞台となっており、お爺と幼き娘が自給自足の生活をしており、文明の波がこの地にも押し寄せ、山を削ってトンネルが開通したことで便利になったけれど、それによって失われたものの方が大きいことを示しています。幼き娘の成長が時間軸としており、そこに夏秋冬春という順番で季節を重ね、季節毎に各物語が入れ、人間ドラマの作品でありながら、ファンタジー要素を生かして、どのように観る側が解釈して消化するかで感動の度合いが変わってきます。169分の長尺だけど、それを感じさせないぐらい力強い内容になっています。あと、コンペティションで観た「ほとりの朔子」。大学受験でテストを受けた学校全部落ちたガリベン浪人生の女の子が、母の妹と一緒に、母の姉から家の留守番を頼まれて、二人が夏の数日間泊まりにいき、そこで出会う人たちの過去や現在を知ることで、人生の複雑さや難しさを知っていくのです。青春ドラマの部類になるけど、各登場人物の設定が濃くて、社会派ドラマと人間ドラマの両方が含まれています。
「コンペティション」部門でよかったのは、フィリピン映画『ある理髪師の物語』です。昨年『ブワカウ』をこの映画祭で上映した監督の作品でもあります。1970年代のマルコス独裁政権が舞台で、田舎村で理髪師の妻が、病弱な子供を10歳も満たないで亡くし、理髪師の夫も突然寝たまま死んでしまい、理髪店を一時たたみます。牧師の要望もあって、理髪師の妻が一人で理髪店を始め、女性が社会で生きていくのに難しい時代で、友人の助けもありながら、芯が強く優しい主人公を見事に描いていました。そして、韓国映画『レッド・ファミリー』は、キム・ギドクの製作・脚本ってこともあり、素晴らしい作品になっていました。
「ワールド・フォーカス」部門でよかったのは、トルコ映画『Jin』です。トルコ軍とクルド人ゲリラとの衝突を背景にし、17歳のクルド人少女がゲリラ仲間から離れてしまい、山を下りて町に向かう途中に起こる困難な出来事、この国の女性に対する扱い、自然界からみた人間などをみせています。レハ・エルデム監督は、独特な視点を交えながら描いており、ティーチ・インでの解説によって、さらに磨きがかかり、作品の評価が上がりました。もうひとつ、珍しい作風だったのが オランダ映画『ボーグマン』です。死者がどんどん出て異質な内容で、先に進むことでその詳細がみえてきます。ティーチ・インがなかったので、どこまで自分の解釈が合っているかがわかりませんが、観る人によってはかなり深く入り込める作品なのかもしれません。
「アジアの未来」部門でよかったのは、上述で記した日本映画『祖谷物語 -おくのひと-』です。徳島県の池田高校の野球部で蔦監督(故人)ってかなり有名ですが、その実孫がこの作品の監督です。実孫の監督は、学生時代に野球ではなくサッカーをずっと続けていたことを観客に暴露してました。
番外編として、「フォーカス・オン・アジア」で、WORKSHOP以外は参加しました。SPECIAL1の【アジア発短編から世界へ】では、日本映画三作品と韓国映画一作品を上映し、上映した日本映画の三人の監督とムン・ビョンゴン監督が来られないことで出演女優のイ・ミンジを含めた四人が、壇上でトークイベントを行い、海外の映画祭や作品について語ってました。NHK朝ドラ「あまちゃん」で若き日の正宗役(主人公の父)で出演していた俳優の森岡龍が『Nostalgic Woods』という短編作品の監督をして壇上にいたのはびっくりしました。「あまちゃん」は録画して全話みましたからかなり好きなドラマです。SPECIAL2の【日本ショートフィルムの可能性 ~日本映画界の未来を担う若手監督によるジャパンショート】では、日本映画六作品が上映され、ゲストは誰も来ないという悲しいイベントになっていました。『TOKYO SKY STORY』と『消しゴム屋』はSSFFで上映済みなので、四作品が初めて観るものでした。『りんご』は、被災した土地で略奪を重ねながら生き抜く女(池脇千鶴)を描いており、なかなか面白い作品です。プログラムAはSSFF&Asia2013の受賞作品とシンガポールのロイストン・タン作品、プログラムBは映画祭スタッフおすすめ作品、プログラムCは海外映画祭受賞&上映作品です。
【おまけ】
2013年の東京国際映画祭の受賞結果一覧
東京サクラグランプリ
『ウィ・アー・ザ・ベスト!』 (2013年 スウェーデン) ルーカス・ムーディソン監督
審査員特別賞
『ルールを曲げろ』 (2013年 イラン) ベーナム・ベーザディ監督
最優秀監督賞
『馬々と人間たち』 (2013年 アイスランド) ベネディクト・エルリングソン監督
最優秀女優賞
『ある理髪師の物語』 (2013年 フィリピン) ユージン・ドミンゴ
最優秀男優賞
『オルドス警察日記』 (2013年 中国) ワン・ジンチュン
最優秀芸術貢献賞
『エンプティ・アワーズ』 (2013年 メキシコ、フランス、スペイン) アーロン・フェルナンデス監督
観客賞
『レッド・ファミリー』 (2013年 韓国) イ・ジュヒョン監督
アジアの未来 作品賞
『今日から明日へ』 (2013年 中国) ヤン・フイロン監督
アジアの未来 スペシャル・メンション
『祖谷物語 -おくのひと-』 (2013年 日本) 蔦哲一朗監督
日本映画スプラッシュ作品賞
『FORMA』 (2013年 日本) 坂本あゆみ監督
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