初めに、決してキム・ジョンフン氏や韓国男優を誹謗中傷をしているわけではないことを注意してほしい。キム・ジョンフン氏に対して好きでも嫌いでもない中立的な立場で述べるからだ。
邦題に対して「ふざけるな」と叫びたい。ジジイ三人が主役の映画なのに、なんだこの売り方は。男性俳優の名前を題名に入れれば注目されて売れると思っているのか。しかも主人公でなくて端役で出演している俳優ではないか。日本での韓国映画の扱いはここまで地に落ちたか。韓国ドラマで有名になった俳優名を使えば売れると思ったら大間違いだ。『チャ・テヒョンの ハッピー☆クリスマス (原題:ハッピーエロクリスマス)』『チ・ジニ×ムン・ソリ 女教授 (原題:女教授の隠密な魅力)』『チョン・ウソン in 千年愛-クミホ- (原題:クミホ)』『ソン・イルグクのレッド・アイ~幽霊列車~ (原題:レッド・アイ)』で、『ジョンフン in ふざけるな (原題:ふざけるな)』。俳優名を題名に使って売り込みをするのは、自棄っぱちにみえて痛々しい。
ジョンフン in ふざけるな (原題:ふざけるな)
制作年:2004年
監督:オ・ジミョン
出演:チェ・ブラム、オ・ジミョン、ノ・ジュヒョン
ジャンル:コメディ、アクション
鑑賞:日本版DVD
東方組の組長は、引退を宣言して後任にピョクトル(チェ・ブラム)とケットク(オ・ジミョン)の二人を指名して東方組を任された。ピョクトルとケットクは、組のトップを決めることで、立会人に弟分のサムボク(ノ・ジュヒョン)を指名して、タイマン勝負を行った。二人がタイマン勝負をしているときに、同じ組のドンパル(キム・ハクチョル)が大勢の手下たちを使って乗り込んできて、二人の勝負を邪魔をして、突然手下たちが自分のドスで自傷したことで傷害罪でピョクトルとケットクは警察に逮捕されてしまった。立会人のサムボクは警察が来たのに気づいて自らドスを足に刺して被害者という形なったので間一髪逮捕されずに助かった。15年が過ぎ、刑務所から出所したピョクトルとケットクをサムボクが待っていた。これまでに起こっていたことをサムボクが二人に説明し、この出来事を仕組んだドンパルに復讐しようとドンパルの事務所に三人が乗り込んでいった。しかし、すでに警察が事務所を占拠してドンパルを確保して警察署に連行されてしまった。ドンパルに面会しにいった三人は、敵対しているヤクザのヤス(チョン・ホビン)のこと、ヤスがドンパルの娘で歌手のウンジ(イム・ユジン)を狙っていることを聞かされた。ドンパルは、今までの償いとして50億ウォンを支払うことを言い、その代わりに娘ウンジをヤスから守ってほしいこと懇願する。刑務所から出所したら使おうと思って隠していたお金もなくなっており、行く場所もないことで三人はドンパルの家に住み込みでウンジを守ることを決めた。果たして、ピョクトル、ケットク、サムボクの三人は、ヤスが狙うウンジを守ることができるのかというお話。
監督は、本作デビュー作のオ・ジミョン監督。
出演者は、ピョクトルを演じるのは『キルソドム』『わが青春の甘き日々』のチェ・ブラム、ケットクを演じるのは『チェンジ』『まじめに生きろ』のオ・ジミョン、サムボクを演じるのは『17歳のクーデター』『緊急措置19号』のノ・ジュヒョン、歌手のウンジを演じるのは『人生の逆転 (原題:逆転で生きる)』『コックリさん (原題:分身娑婆)』のイム・ユジン、ウンジの恋人ミョンソクを演じるのは『DMZ非武装地帯 追憶の三十八度線』のキム・ジョンフン、ウンジのマネジャーを演じるのは『あいつは素敵だった』のイ・ジンソン、ウンジの父でヤクザのドンパルを演じるのは『アウトライブ (原題:飛天舞)』『サプライズ』のキム・ハクチョル、敵対するヤクザのヤスを演じるのは『僕の彼女を紹介します』『マイ・ブラザー』のチョン・ホビン。
過去に騙された男の娘のボディーガードをしていくことで、三人の年老いた男たちが互いに友情を再確認していく。邦題で若手男優名を記して、パッケージも如何にも彼が主人公のラブストーリーもののようにしているが、内容はジジイ三人が主人公のアクションコメディなのだ。しかも、その若手男優は端役ときているところが笑ってしまう。これでは詐欺じゃねいかとツッコミたくなるだろう。
時間経過の雑さが目立って仕方がない。ピョクトルとケットクは刑務所に服役して15年が経過したのに、登場人物たちが全く変化がないことだ。ピョクトルと実娘との回想シーンでも、ピョクトルの風貌が変わっていないことで時間軸がみえない。一部カツラを使用して変化をつけようとしているのはみえるが、肌がジジイだからシワですぐにばれてしまう。この年齢の役者を抜擢しているから、若き日の彼らを表現するのに別の俳優を起用するとバランスが崩れるのも分かるが、特殊メイクを使うなりしてなんとか努力してほしいところだった。
アクション面に関しては、激しい動きで作られている。喧嘩がすごく強いピョクトルとケットク、すごく弱いサムボクをみせており、若いチンピラたちをボコボコに倒していくのだ。誰もが感じるところは戦っているシーンで、ピョクトルとケットクの顔があまりみえないこと、戦闘時の二人の体型が違うことに気づいてしまうであろう。確実に代役を使っているのが丸見えで、そこもコメディの一面だとしたらかなり笑える。
コメディ面に関しても、安易に下ネタを使わずに言葉の語呂を使った笑い、ジジイならではの笑い、真面目に作られた笑いをみせている。前半で散髪に行った三人が、サッカーのブラジル代表のロナウド選手の髪型(前頭部に少しだけ髪を残して丸刈りにする子連れ狼の大五郎のような髪型)が流行っているとサムボクが言って、ケットクにその髪型にさせたのが笑える。頭頂部がハゲてるから余計に変な髪形になっているのだ。
サイドストーリー的に歌手ウンジとミョンソクの恋を描いている。この伏線として、ピョクトルの過去に反映しているのがみられる。ピョクトルの実娘スニョンが結婚するときのことを思い出したり、父と娘という構図をどのようなものなのかを示しているのだ。
終盤は、ジジイ三人とウンジを狙うヤスらヤクザたちとの戦闘を描いているが、ストーリーの根底にはウンジとジジイ三人の温かい人間ドラマを含んだ流れになっている。ストーリーはかなり物足りないが、往年の大俳優ジジイ三人の勇ましさを楽しむならいいかもしれないが、若手男優をメインにみてしまうと愕然とするであろう。
【なめ犬的おすすめ度】 ★