日本でも知名度があり、TVドラマでも活躍しているキム・レウォンとイ・ジョンヒョンが出演しているからDVD化されたのかもしれないこの作品。TVドラマ【美しき日々】が、NHKで放送していた頃にこの作品を劇場公開していたらお客が入ったかもしれない。同じようなホラー映画『REC』を劇場で鑑賞したから、これも手を出していたかもしれない。内容が『REC』以下なだけに危ない危ない。
ハーピー
制作年:2000年
監督:ラ・ホボム
出演:イ・ジョンヒョン、キム・レウォン、キム・コッチ
ジャンル:ホラー
鑑賞:日本版DVD
女子高生スヨン(イ・ジョンヒョン)は、高校の映画サークルで脚本を担当している。この映画サークルは、学校側の資金が乏しいために生徒たちが資金を出している。金持ちの令嬢であるスヨンとイェリム(キム・コッチ)が多くの資金をサークルに投入している。スヨンは、同じサークル仲間で同じクラスの不良のヒョヌ(キム・レウォン)のことが好きであるが、ヒョヌは同じサークル仲間のイェリムと交際している。ヒョヌは、スヨンをバイクの後部座席に乗せたり、お金を借りたり、クラブに踊りに連れて行ったりと仲良くしていた。イェリムは、恋の三角関係によって苦しみ、スヨンに嫉妬をして、友人たちと一緒にスヨンを苛めるようになる。ある日、映画サークルの部員たちは、教室で殺人のシーンを撮影しているときにカメラマンのキョンジェ(キム・ジェドン)とヒョヌが殴り合いの喧嘩をして空気が悪くなった。その夜にキョンジェが何者かに襲われて、足を骨折して入院する羽目になり、カメラマンが不在になり映画サークルの部員たちは困っていた。そんなときに、顧問の先生がカメラマンのテドン(チョ・ドギョン)を新入部員として迎え入れた。纏まりつつある映画サークルの仲間たちは、スヨンが書き下ろした「ハーピー」というホラー映画の撮影のために人里離れた山荘に合宿する。そこで、脚本と同じように映画サークルの仲間たちが次々と殺されていく。果たして、この謎の連続殺人の裏には何が秘められているのかというお話。
監督は、本作がデビュー作のラ・ホボム監督。映画サークルで脚本を担当するスヨンを演じるのは『つぼみ』『愛と悲しみのマリア (原題:マリアと旅人宿)』のイ・ジョンヒョン、映画サークルでは俳優を担当する不良のヒョヌを演じるのは『男の香り』『プライベートレッスン 青い体験 (原題:青春)』のキム・レウォン、ヒョヌの恋人イェリムを演じるのは『バッド・ムービー』『リング・ウイルス (原題:リング)』のキム・コッチ。
前半は恋の三角関係を舞台にした学園ドラマ、後半は映画サークルの部員たちが山荘で連続殺人にまき込まれるホラーもの。ジャンルとしてはホラーになるが、前半の学園ドラマの尺が長いせいか青春ドラマっぽくみえるかもしれない。
前半の学園ドラマは、同じクラスで同じ映画サークルに所属しているスヨン、ヒョヌ、イェリムの三角関係が中心になっている。真面目でお嬢さんのスヨン、バイクに乗ったりクラブ通いをする不良なヒョヌ、援助交際をしたり校内でタバコを吸うちょっと不良なイェリムという設定でラブストーリーは進んでいく。イェリムの独占欲が大きく出ており、ヒョヌに対してはスヨンに近づくなと言ったり、スヨンに対しても忠告したり苛めたりとして、まさに悪役的な位置にいる。
新カメラマンのテドンの登場で学園ドラマが少しずつホラーっぽく変わっていく。テドンは、気になっているイェリムを尾行したり、謎の相手とチャットしたりと行動が怪しいのだ。そして、夜の教室でヒョヌのことでイェリムとスヨンは殴り合いの喧嘩になる事件が発生したことで、三角関係の問題も少しは収束したかにみえる。
大きくストーリーが動くのは、映画撮影のために山荘で合宿するところである。次から次へと部員たちが死んでいくシーンは、何故このようなことが起こるのかという謎が本作品の見せ所であろう。一応は、前半の学園ドラマのシーンで伏線らしきものをしているが、表現方法がヘタクソである。
全体像からして、ホラー要素としての恐怖は乏しくて残念なところである。そして、バックミュージックや効果音が映像と合っておらず、映像の貧弱さからして完成度が低く感じた。しかもナレーションを入れている意味が分からない。正直、ナレーションを入れないで無音の方がマシだ。でも、終盤に明かされる連続殺人の謎は、「なるほど!そうしたか」って感じでここだけは褒めるところかもしれない。
【なめ犬的おすすめ度】 ★