キム・ユンジンも出演しているアメリカのTVドラマ【LOST】を継続的に鑑賞している。なかなかおもしろいけれども登場人物の過去ばかりふり返り、現在の状態の進展が遅いので不満もある。キム・ユンジン繋がりでこの作品をアップすることにした。
6月の日記
制作年:2005年
監督:イム・ギョンス
出演:シン・ウンギョン、キム・ユンジン、ムン・ジョンヒョク
ジャンル:サスペンス
鑑賞:韓国版DVD
恋愛よりも仕事を優先するベテラン女刑事チュ・ジャヨン(シン・ウンギョン)は、プライベートを大事にする今どきの若者の後輩男刑事ドンウク(ムン・ジョンヒョク)とコンビを組んでいる。歩道橋の上で中学生の優等生インウが殺害され、その二日後に同級生の優等生カンテが自殺をする事件が発生した。カンテの司法解剖をした結果、胃の中から紙切れの入ったカプセルが発見された。その紙切れは日記を切り取ったもので、そこには殺人の予告が記されていた。カンテの司法解剖の結果を考察したジャヨン刑事とドンウク刑事は、無断でインウの遺体を引っぱり出してきて胃の中を探ったら同じように紙切れの入ったカプセルがあり、それにも殺人の予告が記されていたことで連続殺人であると警察は判断して、ジャヨン刑事とドンウク刑事は被害者二人が通う学校に捜査しに行った。紙切れの筆跡を鑑定するために全生徒の筆跡をみた結果、当てはまる人物は一ヶ月前に交通事故で亡くなったヨ・ジンモの筆跡と一致した。ヨ・ジンモの両親を調べ、父は借金のために逃げてしまい、母ソ・マリア(キム・ユンジン)は病院に勤務している。警察はジンモの母マリアを指名手配して病院に着いたときに、ジャヨン刑事は高校時代の親友ユニと偶然出会い、中庭のベンチで話していた。そのときに、ジャヨン刑事のもとに無線が入り第三の被害者ヘジュンがジャヨン刑事がいる病院にいることを聞かされた。第三の被害者ヘジュンのもとに向かうジャヨン刑事は、その被害者も同じ学校の生徒であることがわかった。ジャヨン刑事は、容疑者と思われるマリアの自宅に捜査しに行ったときに、見慣れた絵と写真をみてマリアは親友ユニであると確信した。果たして、今後の連続殺人の行方はどうようになっていくのか、何故このような連続殺人が起こるのかというお話。
監督は『盗られてたまるか』のイム・ギョンス監督。出演者は、ベテラン女刑事ジャヨンを演じるのは『花嫁はギャングスター (原題:極道の妻)』『SSU』のシン・ウンギョン、事故死したジンモの母ソ・ユニを演じるのは『イエスタデイ』『密愛』のキム・ユンジン、若手の男刑事ドンウクを演じるのは『甘い人生』のムン・ジョンヒョク、ジャヨン刑事やドンウク刑事の上司ヤン刑事を演じるのは『ARAHAN アラハン (原題:阿羅漢 掌風大作戦)』『デュエリスト (原題:刑事)』のユン・ジュサン、ジャヨン刑事の甥ジュナを演じるのは『菊花の香り』『天国からの手紙 (原題:火星に行った男)』のメン・セチャン。
二つの連続殺人から殺人予告が記された日記の紙切れを発見し、二人の刑事が犯人逮捕に全力を注ぎ、事件の真相を暴いていく。そこには、同じ学校の中学生が被害者になり、この連続殺人の謎が明らかになっていくのだ。序盤の30~40分だけで、犯人もわかり、動機もわかり、最終的な結末もみえてしまうサスペンスものだから謎解きが好みであれば物足りなさがある。しかし、殺人の動機には社会問題にもなっている「イジメ」が根底にあるのだ。
序盤は事件の全体像を説明されており、二人の被害者、殺人予告が記された紙切れ、筆跡鑑定から浮かび上がった事故死したジンモ、行方不明になったジンモの母マリアの名前は偽名でユニが本名、ジャヨン刑事とユニは学生時代の親友、ジャヨン刑事の甥ジュナも被害者たちと同じ学校に通っている。このように初めから多くの情報をみせすぎたことで、展開が予想されてしまう欠点がある。
中盤以降は、犯人側の視点を交えながらの展開になっていく。第三、四、五の被害者と発生していくなかで、学生たちの恐怖心も描き、どのようにして連続殺人が続いていくのかに興味が移っていく。殺し方も残忍になっていくのでホラー要素も含まれているのでなかなかおもしろみがある。
驚愕な事実がわかるのが、イジメを撮影した動画がインターネット上にアップされていることである。ジンモに対してどのようなイジメにあったのか、誰が関わっていたのか、イジメの光景から被害者たちはどのようにして犯人からターゲットになっていくのかが見せ所である。次のターゲットになるのではと怯える学生たちの心理的な恐怖をうまく描くところで、犯人の心理戦もうかがえて緊張感ある展開にもっていっている。終盤には、ジンモの事故死の謎がわかり、オチも付いている。もう少し犯人像を判りにくくするのであれば、行方不明のジンモの父を絡ませるとか、学校の先生を絡ませるとかいろいろ手があった気がする。
日本でもイジメは問題視されているが、韓国でもイジメ問題があり、ニュースで流れている。韓国でインターネット上にイジメをしている動画シーンをインターネットで公開した事件がニュースで放送していたのをみると深刻な問題を抱えているのがわかる。正直なところ、解決策がないのが現状であろう。でもこの作品のような形で、イジメをすると自分にふりかかってくる展開もありだと思う。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★