韓国インディペンデント映画2006のレビューはこの作品で最後。過去に上映された「韓国インディペンデント映画祭」の作品は韓国で一般上映されている作品に限り今後アップすることにする。この映画祭の作品はマイナーなためにわかる人が少ないであろう。この作品が今回の映画祭のコンセプトに一番マッチしていた作品であろう。
肌
制作年:2005年
監督:イ・ソンガン
出演:キム・ユンテ、チェ・ボヨン、キム・ジュリョン
ジャンル:ラブストーリー
鑑賞:韓国インディペンデント映画2006
記者のミンウ(キム・ユンテ)は、ある日偶然に町で昔の彼女だったジェヒ(チェ・ボヨン)と再会した。今ではジェヒは他の男性と結婚している人妻であるが、再会後ジェヒはミンウに9回セックスすると約束した。混乱するミンウであったが欲望のままにミンウとジェヒはセックスをする。ミンウは帰宅途中に女性が車にひき逃げされる事故を目撃した。車に轢かれる直前にその女性を追いかける男性が女性の事故をみてすぐに逃げていった。ミンウはジェヒと楽しい時間を過ごしているなか、ミンウは引っ越しをした。だが、引っ越した部屋に以前に住んでいた住人の荷物が大量に残っていた。前の住人は若い女性とゲイの男性のものである。時間が経つことによりミンウの意識の中に「ある意識」が入ってくるお話。
監督は、日本でも公開されたアニメ『マリといた夏』のイ・ソンガン。イ・ソンガン監督はアニメ以外で実写の映画監督は初めてである。アニメとは一味違う世界が見られる。ミンウとジェヒのラブストーリーと引っ越し先の前住人や交通事故などのミステリーが混合した独特の作品である。
大きく分けると三つの物語がある。ミンウとジェヒの恋愛、若い女性とゲイの男性の関係、交通事故の被害者女性と追いかけた男性の関係。土台となっているのはミンウとジェヒの恋愛であり、多くのセックスシーンをつかっている。数えてないけど多分9回までないと思うが、セックスシーンを多用している。交通事故の理由は前半では事が起こり謎を残したまま触れずに終盤にその謎を一気に挿入する形をとっている。中盤から若い女性とゲイの男性の生活の話しが進み、ミンウとジェヒの物語と交互に進んでいく。ゲイの男性といっても両刀派であって女性ともセックスする男性であり、そこがまたこの二人の関係をおもしろくさせている。ミンウの意識の中に入ってくるのは、以前にアパートで生活していた女性の魂なのだろう。それによってミンウも徐々に変化をみせていく。
三つの物語のリンクを表現させて観客に考えさせる作りなっていると感じる。本映画祭のコンセプトである「セックスとジェンダー」を男女の関係、男女の変化をうまく描いたものである。セックスの映像美を強調しているのもこの作品の特徴であり、ミステリーが混在したことでどこまで観た人が納得するかだ。アイデア自体はおもしろいのであるが、若い女性とゲイの男性の生活をもう少し早い段階で登場させて謎を深めていく手法の方がよかったかもしれない。前半のセックスシーンが長過ぎて多少あきてきたのが正直な気持ちだ。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★