結婚を考える20代後半から30代の女性にはもってこいの作品。女性の心理描写を繊細に描いているからだ。作品上映後に、カン・イグァン監督と主演のムン・ソリを迎えてティーチ・インが行われた。ムン・ソリが来ることは予定外なのでエンディングロール中に帰る人もいたので、かなり損した人がいたと思う。ムン・ソリは昨年の本映画祭の審査員をしていたので一年ぶりの生拝見。それにしても、ムン・ソリは実物は綺麗なのにスクリーンではパッとしないのはなぜなんだろう。
サグァ
制作年:2005年
監督:カン・イグァン
出演:ムン・ソリ、キム・テウ、イ・ソンギュン
ジャンル:ラブストーリー
鑑賞:第6回東京フィルメックス映画祭
7年間つき合った家族公認の恋人ミンスク(イ・ソンギュン)に突然ふられたOLのヒョンジュン(ムン・ソリ)。サンフン(キム・テウ)はヒョンジュンと同じビルに勤務しており、ヒョンジュンへ積極的に愛情表現をしてくる。恋愛経験が乏しい真面目なサンフンとミンスクを忘れるために付き合い始めたヒョンジョンだが、2人は結婚することになる。結婚生活の中で2人の心の間には次第に溝が広がり始める。そんな時に、ヒョンジュンはミンスクと再会して、まだ愛しているとミンスクから言われ、ヒョンジュンの心は大きく揺れ動く。 2人の男の間で揺れ動く女性のお話。
本作品がデビュー作のカン・イグァン監督。出演者は、主人公ヒョンジュンを演じるは『オアシス』『浮気な家族』のムン・ソリ、ヒョンジュンの夫サンフンを演じるのは『JSA』『女は男の未来だ』のキム・テウ、ヒョンジュンの元彼ミンスクを演じるのは『菊花の香り』『恋する神父』のイ・ソンギュン。
30歳ぐらいの女性を等身大にした恋愛、家族、結婚、人生設計の悩みをうまく表現している。7年付き合った彼氏にふられ、新しい恋に踏み切るが元彼のことは好き。ヒョンジュンという女性の日常をうつしだし、父や母そして妹との関係もある。登場する2人の男性ミンスクとサンフンは、性格や行動は対称的である。男性の目から見てもこのような行動をとる男はいると感じる点もある。
ドラマチックな内容というより、一女性の恋愛と結婚に関する日記みたいな作品で、恋愛して結婚しながら経験するこまごましい葛藤と感情をうまく描いている。恋愛と結婚の違いを二人の男性ミンスクとサンフンがうまく表現している。そして、主人公ヒョンジュンは最終的には男に依存しないで自分の力で生きていく力強い女性に変わっていくところは、まさに今の時代の女性像なのかもしれない。
20代後半から30代の女性は主人公ヒョンジュンの気持ちがわかると思う。身近にある出来事でもあり、同じような体験もしているはずだからである。2人の男の間で微妙に揺れ動く女性の心理をきめ細やかに描写している。
ムン・ソリ演じるヒョンジュンの顔のアップが多いことが鑑賞中にずっと気になっていたことだったが、ティーチ・インでカン・イグァン監督とムン・ソリはその点について答えていた。監督曰く、場所よりも人の表情の方が重要だと考えおり、表情を近くで長く撮るカメラワークにしたらしい。このような作品だと台詞よりも顔の表情や仕草が重要視する感じがした。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★