100本目のレビュー達成。自分としては通過点にすぎないので、これからもコツコツと更新するだけ。2005年に韓国国内でヒットした作品、そして2006年10月に日本で劇場公開される。
トンマッコルへようこそ
(原題:ウェルカム・トゥー・トンマッコル)
制作年:2005年
監督:パク・クァンヒョン
出演:チョン・ジェヨン、シン・ハギュン、カン・ヘジョン
ジャンル:ヒューマンドラマ
鑑賞:韓国版DVD
1950年11月、朝鮮戦争のさなか山奥の村のトンマッコルが舞台。戦闘機に乗っていた連合軍米国人スミス(Steve Taschler)がトンマッコル村付近に墜落した。この事故を目撃したヨイル(カン・ヘジョン)は村人に知らせるために村に戻る途中に人民軍リ・スファ(チョン・ジェヨン)、チャン・ヨンヒ(イム・ハリョン)、ソ・テッキ(リュ・ドグァン)に会ってしまい彼らと村に向かう。また、国軍のピョ・ヒョンチョル(シン・ハギュン)とムン・サンサン(ソ・ジェギョン)が迷い込んできてトンマッコル村に辿り着いた。そこには連合軍米国人スミスが村人に看病されており、スミスは自分を助けにきたと思い込み国軍の二人に声をかけたが思い違いであるとわかりスミスは落胆した。その後、トンマッコル村にやって来た人民軍スファたちと国軍ヒョンチョルたちと連合軍米国人スミスは会ってしまい互いに威嚇し緊張感が走る。あるきっかけで彼らたちは休戦状態となり、戦争とは無縁のトンマッコル村の村人たちと畑を耕し食料の収穫に精を出す。そのようなことをしているなかで、スミスが操縦していた戦闘機が敵軍によって撃墜されたと誤認した連合軍はトンマッコル村に攻撃を仕掛ける。国軍ヒョンチョルとサンサン、人民軍スファとヨンヒとテッキ、連合軍米国人スミスの6人たちは村を守るために協力して連合軍の攻撃に立ち向かうお話。
本作がデビュー作のパク・クァンヒョン監督。もともと演劇でヒットしたことで映画化された作品。出演者は、人民軍将校スファを演じるのは『シルミド』『小さな恋のステップ (原題:知り合いの女)』のチョン・ジェヨン、国軍将校ヒョンチョルを演じるのは『地球を守れ!』『マイ・ブラザー』のシン・ハギュン、村人の女の子ヨイルを演じるのは『オールド・ボーイ』『南極日誌』のカン・ヘジョン。そして人民軍下士官ヨンヒをイム・ハリョン、人民軍少年兵テッキをリュ・ドグァン、国軍衛生兵サンサンをソ・ジェギョン、連合軍米国人スミスをSteve Taschler(スティーブ・テシュラー)が演じる。
本作品は2005年の韓国映画興行成績で第一位であった。戦争とは無縁の素朴な村に突然、人民軍(北朝鮮人民軍)、国軍(韓国軍)、連合軍(米国軍)の兵士たちが現れ、村人たちと生活していく中で、はじめは互いに対立していたが、やがてすべてがひとつになる。この作品は同じ韓国人であっても年代によっては感想が分かれる感じがする。当時朝鮮戦争に参加した人や被害を受けた人、朝鮮戦争が停戦して軍事政権の中に生まれた人、そして現在北朝鮮と融和な状態の若い世代たち。特に当時朝鮮戦争を知ってる世代には受け入れがたい内容だと感じる。
戦争映画というよりも登場人物の人間性をうまく表現した内容になっている。村人たちにとって、銃、手榴弾、無線機といった戦争の武器とは無縁な天国のような場所がトンマッコル村。そんな素朴な人々や穏やかな生活の中で、この村に迷い込んだ人民軍、国軍、連合軍たちが心を癒していく。彼らの心を近づける出来事はイノシシが村人たちに襲ってきたのを素晴らしいチームプレーで退治して、そのイノシシを6人で食べるところだろう。このシーンは映像力が貧弱なので作り直してほしいシーンでもあるが。
カン・ヘジョン演じる知恵遅れの女の子ヨイルは天使をイメージしている気がする。人民軍を村に連れてくること、
国軍のサンサン人民軍のテッキが彼女に恋すること、国軍ヒョンチョルが辛い過去を思いだしていたときに突然現れたり、終盤での国連軍との出来事などをみると意外と重要な役割をしている。また、国軍サンサンと人民軍ヨンヒの友情も描いているがここは韓国らしい。この二人の関係には最後まで違和感がした。人間らしさが最もはっきりした形で出たのが人民軍スファ(チョン・ジェヨン)と国軍ヒョンチョル(シン・ハギュン)が隣りどおしで野糞しているときだ。南北分断ものは韓国ではヒットする傾向があるが、本作品はまた一味違う視点で描いたことでヒットしたと感じる。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★★