上映後にゲスト登場で、主演のソン・サムドンとチョ・ヘフンが登場して、観客とのティーチ・インが行われた。監督が不在なため、内容について作品の深いところを知ることが出来ないのは残念ではあった。40分ぐらいティーチ・インをやり、俳優二人からこの作品のいろいろな情報を知れてよかった。ソン・サムドンが限定一名にサイン入り『スーパースター』の韓国版DVD、チョ・ヘフンがパスポート作成に使用したサイン入り顔写真を限定二名で売りに出した。結局どうなったのだろうか。
REC (原題:REC アールイーシー)
制作年:2011年
監督:ソ・ジュンムン
出演:ソン・サムドン、チョ・ヘフン
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
鑑賞:第4回アジアンクィア映画祭
ヨンジュン(ソン・サムドン)とジュンソク(チョ・ヘフン)は、交際して五年になるゲイのカップルである。二人は、交際五年の記念日を祝うために、モーテルへ行き、一緒にシャワーを浴びて洗い合い、ローソクに火をつけたデコレーションケーキを用意して祝い、椅子に座ったりベッドの上で会話をして、性行為をするまで、自分たちが手持ちビデオカメラで撮影して記録する。二人は眠りに入り、夜が深まる中、眠りから覚めた片方の男は不穏な雰囲気をかもしだす。果たして、二人の愛はどのようになるのかというお話。
監督は、『椿の花』『蛍の光 (短編)』のソ・ジュンムン監督
出演は、ソン・ヨンジュンを演じるのは『昼間から呑む (原題:昼酒)』『ソロ (短編)』のソン・サムドン、ソ・ジュンソクを演じるのは『チョンノの奇跡』のチョ・ヘフン。
冒頭に男二人が風呂で手持ちビデオカメラを固定して、全裸の状態で撮影チェックをしたり、体の洗い合い、キスをしたりしている。ボカシが入っているのかわからないが、陰毛が丸見えで、陰毛から少し陰茎らしき物体がみえている。シャワーを終えて、デコレーションケーキで祝い、たわい無い会話が続き、直接的な描写で性行為をする。全篇66分の40分弱ぐらいが手持ちビデオカメラの映像になっている。
交際五年の記念日ということで、二人にとって愛の表現なのかもしれないが、第三者的にみるとかなりしらけた状態になる。手持ちビデオカメラで撮影している40分弱のシーンが退屈で正直云って苦痛である。二人の俳優は撮影前にゲイの性描写を研究したり、監督が実演指導をしたりして撮ったことをティーチ・インで話していたが。その後に起こる出来事によって、この作品の評価を上げた。この展開がなければ、単なるゲイのアダルト映画のようなクズ作品で終わっていたかもしれない。
翌朝、ヨンジュンは手持ちビデオカメラからテープを取り出し、寝ているジュンソクをそのままにして、ホテルをチェックアウトするのだ。一人になって目を覚ますジュンソクは、テーブルの上に置いてある結婚招待状をみて、別れを告げられたものだ。度々ヨンジュンの言動で、自分たちの世界の将来をつぶやいているのが、伏線だったのかもしれない。
ヨンジュンとジュンソクの感情の見せ方が、ここにきてようやく発揮する。失恋してバスの中で号泣したり、海に行ったときの回想シーンをエンドロール前と後にも盛り込んだりしている。失恋のところに関しては、同性愛者と異性愛者の壁はなく、心が傷つくところは同じであるから同調できるであろう。
ジュンソクが部屋の庭に出るところやモーテル街を映し出しているところがある。韓国でゲイの街である鍾路(チョンノ)をみせている。東京でいえば、新宿二丁目みたいなもので、そういうところにもこだわりをみせて演出している。
冒頭からの手持ちビデオカメラのシーンをもっと凝縮した形にして、30分ぐらいの短編作品にすればよくなったかもしれない。異性愛者の自分にとって、男同士のハメ撮りのところは、ちょっときついかな。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★