昨年、茨城空港でイベントが行われていたけど、日本向けの宣伝だったのだろうか。本編を観たが、茨城を撮影場所にしているシーンが見当たらないぞ。茨城ロケ中止になったのかな。
きみはペット
制作年:2011年
監督:キム・ビョンゴン
出演:キム・ハヌル、チャン・グンソク
ジャンル:ラブストーリー、コメディ
鑑賞:日本版DVD
留学経験があり英語が話せるキャリアウーマンのチ・ウニ(キム・ハヌル)は、ファッション誌の編集者として働いている。ある日、職場は左遷され、プライベートでは失恋してしまい落ち込んでいた。ウニは、マンションで一人暮らしをしており、弟ウンス(チェ・ジョンフン)に小遣いを与えて、時々家事をさせていた。ダンサーをしているイノ(チャン・グンソク)は、ウンスと友人であり、寝泊りするところがなく困っていた。それをみたウンスは、姉ウニの家にイノと一緒に上がりこんで、それを知らずに帰宅したウニは驚いた。とりあえず、ウニは、二人を空いている部屋に寝かせて、翌日二人を帰した。行き場のないイノは、ウニのマンションの入り口で帰宅するのを待っており、ウニは同居生活の申し出を受け入れる。恋人でなく、ペットとして同居することになり、奇妙な共同生活が始まる。ウニは、昔飼っていて亡くなった愛犬に、イノが似ていることで、愛犬と同じ「モモ」という名前をつけた。ある日、ウニは昔憧れていた初恋の人で先輩チャ・ウソン(リュ・テジュン)と再会し、職場が近いこともあり頻繁に会うようになる。ウニは、好きなウソンの前では緊張してしまい、キャリアウーマンとして出来る女をつくってしまう。一方で、ウニは、ペットのイノの前で、無邪気に笑い、安らぎを感じている。奇妙な同居が恋愛を混乱させることになり、更にウニとイノは新たな分岐点にぶつかるお話。
監督は、本作デビュー作のキム・ビョンゴン監督。
出演は、ファッション誌の編集者チ・ウニを演じるのは『7級公務員』『楽園 (原題:楽園-パラダイス)』のキム・ハヌル、ダンサーのカン・イノを演じるのは『赤ちゃんと僕』『イテウォン殺人事件』のチャン・グンソク、コンサルティング会社で働くチャ・ウソンを演じるのは『ガールスカウト』のリュ・テジュン、ファッション誌の編集者イ・ヨンウンを演じるのは『ファン・ジニ 映画版 (原題:黄真伊)』『二人だ』のチョン・ユミ、ウニの弟ウンスを演じるのは本作スクリンデビューのチェ・ジョンフン。
日本の小川彌生の人気コミックスが原作である。日本のテレビドラマでは、以前に小雪と松本潤が出演して放送されている。
ウニ、イノという登場人物が幾つかのコミュニティーを持ち、そこに初恋の人ウソンが入りこんでくる。ウニがペットとして同居していることで、周囲から幾つかの誤解がありながら、コメディ要素を入れたラブストーリーへと発展していく。
ウニのコミュニティーとしては、編集部の同僚たち、学生時代からの三人の友人となっている。編集部の同僚たちからは、ウニに対して良く思っておらず、影で悪口を云われているのを知っている。わりかし仲がよく一緒に作業するジョンミン(ペ・ホグン)とミンソン(コ・ウリ)、ライバル心を持つ同僚ヨンウン(チョン・ユミ)、無茶な仕事を押し付ける編集長(アン・ギルガン)がおり、忙しい日々を過ごしているのがみえる。学生時代からの三人の友人は、自由な生活を送っており、子育てをしたり、恋愛に夢中になったり、彼女たちと住む世界が少し違うことに気づきながら、余暇を楽しむことが出来ずにいる。そのようなストレスを生む出来事があることで、癒しを求めたのがイノという人間のペットなのである。
イノは、国際バレエコンクールで入賞した経験を持っており、同僚を大怪我させたことを自分のせいと感じ、ダンスに対して消極的になっているのだ。寝泊りする家がないイノは、ウニの家の前でダンボールに入り、捨て犬のような形になり、ウニに拾ってもらい男性でなくペットとして飼われるのだ。
ウニは、犬のようにイノの髪を洗ったり、我ままを云うイノを世話する。ウニは、亡くなった愛犬とリンクするような形で飼い始めたイノを楽しんでいるのだ。そんなときに、ウニは初恋の人ウソンと再会し、お互いが気になる存在となり、恋愛へと発展していくのである。そこに邪魔が入るのがペットのイノで、モモというペットが人間の年下男性であることがウソンに知れてしまうのだ。ウニとウソンの関係をみせながら、ウニとイノの関係が発展していく流れはラブストーリーものとしては王道な形をみせている。終盤にウニとイノにある決断をするときがきて、どのように決めるのかがみせどころであろう。
この作品の欠点としては、設定が無茶苦茶なところがあり、現実世界を飛び越えてしまうのだ。イノのミュージカルの公演では、舞台の設定がファンタジーとして構築されて、夢の世界のようになってしまっている。主人とペットの関係が、何時の間にか嫉妬に変わったり、恋愛感情が芽生えたりとごちゃごちゃしている。キャリアウーマンのウニが抱える様々な問題を題材にして、そこをもっと追求していれば、面白い作品になったのかもしれない。人間のペットであるイノを設定していることで、ロマンティックコメディになり、劣化した作品にみえてしまった。チャン・グンソクという俳優に興味がないこともあり、本作品を率直な形で記してみた。
【なめ犬的おすすめ度】 ★