ピアノ・エチュード (原題:エチュード、ソロ) (短編)
制作年:2011年
監督:ユ・デオル
出演:ファン・ギョンミン、ソ・ジェヨン、チェ・ウシク
ジャンル:ヒューマンドラマ
鑑賞:SSFF&ASIA 2012
ピアノの調律師をしているギョンミン(ファン・ギョンミン)は、野外で子供たちの演奏会が行なわれることで、ピアノを調律して欲しいという依頼を受け、依頼主のところまで出張する。ギョンミンは、昌徳宮の敷地内に携帯電話で誘導され、そして依頼主から説明を受け、野外に置かれている一台のピアノを調律する。子供たちと一緒にいる女性は、ピアノの先生で、ギョンミンに軽く挨拶する。相手は気づいていないが、ギョンミンはその女性が、学生の頃一緒にピアノの練習をしていた幼馴染の女の子ジェヨン(ソ・ジェヨン)だと思い出す。現在と過去を交互に描いていき、音楽に大きな力があることを知るお話。
監督は、『ザ・ブラス・クインテット (短編)』『デュオ (短編)』のユ・デオル監督。
出演は、調律師ギョンミンを演じるのは本作デビュー作のファン・ギョンミン、ピアノ先生ジェヨンを演じるのは本作デビュー作のソ・ジェヨン。
昌徳宮を背景にピアノを調律するギョンミン、そこで再会する幼馴染の女性ジェヨンとの回想、この二つの時間軸が交互に流れていくのである。
ギョンミンは、太った体型でメガネをかけており、学生時代とは容姿が変わっているのである。そのため、ジェヨンと再会しても気づかれず、ギョンミンは自分から言い出せずにいる状況である。そこでひとつのアイデアとなったのが、音楽になるのだ。
学生時代の回想シーンでは、仲良しな雰囲気をみせ、ギョンミンはジェヨンに気があるのがみえてくるのである。初恋を絡ませており、ジェヨンが学校を去ることを知らされ、甘酸っぱい青春ドラマをみせている。
子供たちの演奏会が終わり、その後ギョンミンが報酬の代わりにピアノ演奏させて欲しいという不思議な要求がポイントであろう。スクリャービンのエチュードが効果的に働いており、音楽によって埋もれていた記憶を刺激しているのだ。会話でなく音楽というところが、この作品の良さである。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★