ネバーエンディング・ストーリー
制作年:2012年
監督:チョン・ヨンジュ
出演:オム・テウン、チョン・リョウォン、ユソン、パク・キウン
ジャンル:ラブストーリー、コメディ
子供たちにテコンドーを教え、スポーツアカデミーで働くカン・ドンジュ(オム・テウン)は、弟夫婦と一緒に生活しており、宝くじの1等当選を夢見る。弟ドンミン(パク・キウン)と弟嫁ユナ(ユソン)からは、情けない兄と見下されている。銀行員のオ・ソンギョン(チョン・リョウォン)は、安定した将来を求めており、全てにおいて計画してから行動する性格である。ソンギョンは、親友チンジュ(チェ・ウンジュ)と同居しており、堅実に生活している。ある日、同じ病院で同時に検査を受けたドンジュとソンギョンは、医師(クォン・ヘヒョ)から脳に悪性腫瘍があり、短ければ三ヵ月、長くて六ヵ月と余命を宣告される。病院で出会ったドンジュとソンギョンは、何時しか出会うようになり、お互い病気のことや余命のことを知っていることで話すようになる。ドンジュは、弟夫婦に検査の結果を黙っておきながら、いつもと同じ日々を過ごしている。一方で、ソンギョンは死が近づいていることを認識して、死装束、葬儀場、遺骨箱、入棺といった死後のことを自分で準備していき、ドンジュもそれに付き添っていく。ドンジュとソンギョンが、一緒に行動することで、二人の間に恋が芽生える。死期が迫る二人のカップルを描いたお話。
監督は、本作デビュー作のチョン・ヨンジュ監督。
出演は、カン・ドンジュを演じるのは『シラノ;恋愛操作団』『特捜本』のオム・テウン、オ・ソンギョンを演じるのは『敵との同床』『痛み』のチョン・リョウォン、ドンジュの弟嫁ユナを演じるのは『黒く濁る村 (原題:苔)』『ホームランが聞こえた夏 (原題:グローブ)』のユソン、ドンジュの弟ドンミンを演じるのは『二人だ』『最終兵器 弓』のパク・キウン、パーマおじさんを演じるのは『食客2 ~優しいキムチの作り方~ (原題:食客:キムチ戦争)』『破壊された男』のイ・ビョンジュン、医師を演じるのは『ボクとマウミの物語 (原題:マウミ2)』のクォン・ヘヒョ、ソンギョンの親友チンジュを演じるのは『私のスキャンダル』『甘いウソ』のチェ・ウンジュ。友情出演で、チャ・テヒョン、マ・ドンソク、キム・ヒョンボム、パク・ソングァンが出演している。特別出演で、チャ・ファヨン、パク・ヨンシク、アン・ヘギョンが出演している。
全く性格も生活スタイルも違う二人が、病院で同時に検査することで出会い、医者から同じように余命を宣告され、共に行動することによって二人のラブストーリーが始まっていく。
中盤までドンジュとソンギョンのそれぞれの日常生活をみせながら、コメディ要素を強く出して、死に対する深刻さを失くしており、どこまでコメディ路線で進むのか迷うような形にみせている。周囲の人に自分の余命を知らせず、同じ状況に陥っているドンジュとソンギョンが、死に備えて身辺整理をしていき、自分の葬儀を準備したり、奇妙なデートが繰り広げられていく。
ドンジュの家族は、両親を事故で亡くしており、同居している弟夫婦が唯一の家族である。宝くじばかりやって怠けているドンジュを鬼弟嫁が攻撃する一連の流れは定番になっており、バカみたいな平穏な三人の暮らしぶりをみせている。ソンギョンの家族は、田舎にいる母(チャ・ファヨン)だけで、ソウルで親友チンジュと同居している。チンジュが恋人と順調にいっており、結婚式の準備をしていくことで、ソンギョンが自分の葬式の準備をするといった真逆な立場にいる。ソンギョンは、チンジュの幸せを心から祝福していることで、友人関係を最後まで壊さないところはなかなかよいところだろう。
中盤あたりから、ストーリー展開ががらりと変わっていき、今までの笑いが消えていくのである。部屋で検査結果を見つけた弟夫婦が、ドンジュを問い詰めて真実がわかり、ドンジュを心配していくのである。医師との診察に一緒に付き添ったり、手術のため入院することで世話をしていくのである。ソンギョンは、再検査の結果から病状が進行していることがわかり、死を感じて行方不明になってしまうのだ。
恋人同士になった二人が余命僅かな状況で、笑わせたいのか、感動させたいのか、鑑賞者を迷わすようなつくりになっている。中盤までコメディ要素が強いから、その流れで終盤に突入すると困惑するかもしれない。シリアスな面を意図して作ったのであれば、死を軽く扱ってみえるので感情移入し難いものになっている。死と愛が絡むとどのような化学変化が起こるのかといった具合だろうか。あれこれと考えず、気楽にかまえて鑑賞したほうがよいだろう。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★