Mr.アイドル
制作年:2011年
監督:ラ・ヒチャン
出演:パク・イェジン、チ・ヒョヌ、キム・スロ、イム・ウォニ
ジャンル:青春ドラマ、コメディ
2008年、四人組みのアイドルグループ「ミスターチルドレン」でメインボーカルをしていたキム・ジフン(イ・ヒョンジン)が女性歌手との交際が問題になり、音楽PDのオ・グジュ(パク・イェジン)が別れるように説得していたが、コンサート中にキム・ジフンが舞台から自ら落下して亡くなった。それによって、グジュPDは表舞台から消えて海外に行ってしまう。三年後の2011年、グジュPDは韓国に帰国して、大手音楽会社社長サ・ヒムン(キム・スロ)のところに訪れ、もう一度「ミスターチルドレン」を売り出そうと説得するが、サ社長はアイドルグループ「ワンダーボーイズ」を推しており、「ミスターチルドレン」は古いと考えている。グジュPDは、大手音楽会社を辞めて、仲の良い同僚パク・サンシク(イム・ウォニ)を引き抜き、彼を社長にして小さな事務所を借り、新しい音楽会社「チャンピオンミュージック」を立ち上げる。「ミスターチルドレン」には、ボーカル担当のヒョニ(チャン・ソウォン)、ダンス担当のジオ(チャン・ソウォン)、ラップ担当のリッキー(キム・ランディ)が残っている。ジフンが亡くなってから、三人は活動停止しており、それぞれ別の仕事をしていたのをグジュPDが呼び戻し、新しい音楽会社で活動を再開させる。グジュPDは、新しいメンバーを加入させようとオーディションを行い、四人組ロックバンドでボーカル担当していたユジン(チ・ヒョヌ)に目をつけて、ユジンだけ引き抜こうとしたが失敗してしまう。グジュPDは、ユジンを何とか口説き落として「ミスターチルドレン」に加入させる。グジュPDとパク社長は、「ミスターチルドレン」に過酷なトレーニングをさせて力がつき、最も注目を浴びる新人となる。だが、サ社長は「ミスターチルドレン」を表舞台から引きずり降ろそうと仕かけてくる。サ社長の作戦によって、「ミスターチルドレン」が沈んでしまい、彼らが再びステージに戻ってくることができるのかというお話。
監督は、『正しく生きよう』のラ・ヒチャン監督。
出演は、音楽PDのオ・グジュを演じるのは『清潭菩薩』『ヘッド』のパク・イェジン、ミスターチルドレンのユジンを演じるのは『オールド・ミス・ダイアリー 劇場版』『アタック・ザ・ガス・ステーション!2』のチ・ヒョヌ、大手音楽会社社長サ・ヒムンを演じるのは『クイズ王』『ロマンチック・ヘブン』のキム・スロ、音楽会社社長パク・サンシクを演じるのは『クイズ王』『ロマンチック・ヘブン』のイム・ウォニ、ミスターチルドレンのジオを演じるのは本作スクリンデビューのパク・チェボム、ミスターチルドレンのヒョニを演じるのは『カフェ・ソウル』『もう少しだけ近くに』のチャン・ソウォン、ミスターチルドレンのリッキーを演じるのは本作スクリンデビューのキム・ランディ、ユジンの姉ミリを演じるのは『ハローゴースト』『痛み』のチャン・ヨンナム、ユジンのバンドのマネージャーであるハン・ジョンタクを演じるのは『ハローゴースト』『血闘』のコ・チャンソク、ユジンの父ジンブを演じるのは『ヘッド』『クイック』のチュ・ジンモ、ユジンの姪ウンソを演じるのは『ハウスメイド (原題:下女)』『破壊された男』のアン・ソヒョン。
メンバーの死によって衰退したアイドルグループが、新メンバーの加入、グジュPDの復帰、パク社長の独立によって人気アイドルグループに成るが、それを大手音楽会社のサ社長が阻んでいく。サ社長の作戦によってグループの存続危機に直面し、グジュPDとメンバーの動向を中心に描いている。
全体像をみると音楽を主にした青春ドラマのようになっており、そこにグジュPDやパク社長やサ社長が絡むことで音楽業界の裏側をみせたり、芸達者な役者を使うことでコメディ要素を作り出している。ユジンの家族を中心にしたドラマをみせ、姉ミリ(チャン・ヨンナム)や父ジンブ(チュ・ジンモ)や姪ウンソ(アン・ソヒョン)やマネージャーのジョンタク(コ・チャンソク)たちとの出来事やリッキーの母子物語が含まれている。
ロックバンドとして売れたいユジンが、サ社長が企画しているバンドオーディションに応募したり、企画違いだけどパク社長が企画するオーディションに応募したりと必死な姿をみせている。ユジンは、バンド活動をしながら、旅行ガイドのアルバイトをしているのである。中華屋をしている父ジンブは、夢を追うユジンと対立しており、ユジン自身が求めている音楽性と現実のアイドルグループ加入での活動に納得がいっていないのだ。父と息子の対立をみせながら、ユジンの家族の物語をコメディ要素を含みながらみせている。ユジンのマネージャーをしているジョンタクが、ユジンの姉ミリや姪ウンソと仲良くなっていくサイドストーリーも混ぜて幅を広げている。家族の物語を入れているのが、リッキーと母との関係だろう。あと、スキャンダルが発覚してヒョニに妻と子供がいるのであるが、そこの物語がほとんどないのが寂しいところである。
サ社長の作戦によって、ミスターチルドレンを陥れてユジンのグループ脱退の危機までなってしまうのだ。ポジティブなパク社長、気持ちが切れるグジュPD、覚醒するユジン、パク社長の声に応える三人のメンバーの姿をそれぞれドラマチックに演出している。浮き沈みをみせることで、終盤の盛り上がりに繋がるのであろう。
ミスターチルドレンがメインで歌っているのが「SUMMER DREAM」という曲名である。これは日本の音楽バンドのTUBEの曲であり、歌詞を韓国語にし、アレンジをして歌っている。改めてTUBEって上手いのが確認できた。TUBEのコンサート(横浜スタジアム)に行ったことがあるので歌唱力と演奏力(サポートメンバー含む)が分かり、劇中の踊り&口パクのパフォーマンスがしょっぱく見えてしまった。一応エンディングのところだけは、バンド形態になって良く出来た演出になっている。あと、「Mr.Children」って日本の音楽バンドと同じ名称なんだけど、使っていいのかな。曲やグループ名ぐらいは、既存していないものにして欲しかったのでマイナス面になった。
音楽ものだから、歌手の出演が非常に目立つものになっている。ミスターチルドレンのライバルであるアイドルグループ「ワンダーボーイズ」(U-KISS)、女性歌手ミオ(ナム・ギュリ)、名前は知らないけどガールズグループが出演しており、韓国音楽に詳しい人なら興味深い作品かもしれない。
若者向けか韓国音楽好き向けの作品のように感じられる。期待していたコメディ要素もいま一歩といった感じであり、ドラマ要素であるアイドルグループ「ミスターチルドレン」とグジュPDにスポットを当て、悪者にサ社長がいるといった感じだ。個人的なことだが、韓国音楽に興味がないので、その部分の要素を楽しむことができなかった。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★