今のところ単館モーニング&レイトショー上映みたいで、その後全国順次公開みたい。日本版予告をみたらアニマル・パニックもので紹介していた。宣伝の仕方はこれで大丈夫なのかな。個人的には悪評なので、あまり参考にならないレビューかも。
人喰猪、公民館襲撃す! (原題:チャウ)
制作年:2009年
監督:シン・ジョンウォン
出演:オム・テウン、チョン・ユミ、チャン・ハンソン、ユン・ジェムン
ジャンル:コメディ、アクション、アドベンチャー
鑑賞:韓国版DVD
ソウルで交通課に所属し、交通違反をした者は公権力者でも取り締まるキム巡査(オム・テウン)は、犯罪がない平穏な田舎であるサムメリ村に左遷される。キム巡査は、妊娠中の妻ミヨン(ホ・ヨヌァ)と痴呆症の母(パク・ヘジン)の三人でこの村に引っ越してきた。村長(キム・ギチョン)は、都会から人を呼び寄せて週末農場を計画して、経済面に力を注いでいた。そんなとき、村で野生イノシシの生態を研究している生物学者のピョン・スリョン(チョン・ユミ)と相棒の先輩が、惨殺死体を発見した。その後も連続して無差別猟奇殺人事件がこの村で起こる。都会からシン刑事(パク・ヒョックォン)が赴任してきて、村の警官たちから情報を得る。ベテラン猟師のチョン・イルマン(チャン・ハンソン)の孫娘が行方不明になっており、これは人が起こしたのでなく巨大イノシシの仕業であると主張する。有名な猟師ペク・マンベ(ユン・ジェムン)と彼の軍団(フィンランド人)を村に呼ぶ。そして、山に生息して人を襲う巨大イノシシが現れ、マンベたちが猟銃で殺して、これで村人たちは安心して、公民館で宴を開く。ベテラン猟師のイルマンは、この巨大イノシシにつがいがいると警察に語っていた。そんなとき、宴会中の公民館にもう一匹の巨大イノシシが襲ってきて、村人たちや都会からのお客たちが被害にあう。そこで、ベテラン猟師イルマン、有名猟師マンベ、キム巡査、シン刑事、生物学者スリョンの五人が、巨大イノシシが生息している山へ行って退治するお話。
監督は、『シシルリ 2km』のシン・ジョンウォン監督。
出演は、警察官のキム・ガンスを演じるのは『私の恋』『イリ』のオム・テウン、生物学者のピョン・スリョンを演じるのは『おいしいマン』『彼女たちの部屋』のチョン・ユミ、ベテラン猟師のチョン・イルマンを演じるのは『愛を逃す』『セブンデイズ』のチャン・ハンソン、有名猟師のペク・マンベを演じるのは『影殺人』『母なる証明 (原題:マザー)』のユン・ジェムン、シン刑事を演じるのは『ガールスカウト』『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』のパク・ヒョックォン、村長を演じるのは『私は幸せです』のキム・ギチョン、ユ派出所長を演じるのは『マイ・ファーザー』『チェイサー (原題:追撃者)』のイ・サンヒ、狂女を演じるのは『宮女』『シークレット・サンシャイン (原題:密陽)』のコ・ソヒ、ガンスの母を演じるのは『星から来た男 (原題:スーパーマンだった男)』『GOGO70s (原題:ゴーゴー70)』のパク・ヘジン、ガンスの妻ミヨンを演じるのは『最強☆彼女 (原題:武林女子大生)』『夜のゲーム』のホ・ヨヌァ。
巨大イノシシが人も食べてしまうというアニマル・パニック作品のように宣伝しているが、実際のところはコテコテのコメディ作品になっている。本質を隠してアニマル・パニックものと宣伝しており、拍子抜けする人もいるだろうから、それを知った上で観るべきだろう。邦題のように人喰イノシシが公民館を襲撃するけど、このシーンは中盤ぐらいだから、題名として相応しくない気がする。
おいしいところは、キム巡査と生物学者スリョンがとってしまっているが、この作品の主役は有名猟師マンベとベテラン猟師イルマンの二人である。マンベは、イルマンとはかつて師弟関係であった過去があり、彼から独立して新しいチームを作り、メディアに露出するようになっていくのである。最新装備をして、フィンランド人たちと組んで、無敵のような狩猟部隊にみえるが、猟の心を忘れてしまっていたのだ。終盤にイルマンの教えを思い出すことで痛感するので、ちょっとしたドラマをみせている。マンベも孫娘が殺されたことで、現役を引退しているのに巨大イノシシに立ち向かうのである。マンベの父も猟師であったことやマンベの経験によって様々なことが明らかになっていくのである。
巨大イノシシが発生した経緯をマンベが語り、日本統治時代に日本人が外来種を持ち込み、外来種と国産種の配合によって生成されたものだとみえてくるのである。日本が原因なのかよとツッコミを入れるところであるが、人間が自然の生態系を壊してしまったことが大きな問題なのだろう。
コメディ面として用意された人物としては、キム巡査の呆けた母と少年の母と自称する狂女(コ・ソヒ)であろう。所々で二人が登場することで笑いを作りだし、ダメ押しのように最後にも登場してくるのである。この二人は代表的なところだが、主要人物たちも小さな笑いを作りだすように演出している。笑えない小さなギャグを何度も出していることで、しつこいと感じてしまう。コメディ要素は、観る人の感性によって違ってくるので、一概に断言できないけれど。
巨大イノシシは、コンピューターグラフィック(CG)で作られたもので、エンディングロールから海外に委託しているのがわかる。実写とCGが重なったときの映像レベルが低いことがすぐに感じる。この違和感が最後まで続いていたこともあり、巨大イノシシから迫力や恐怖を感じることはなかった。
アニマル・パニックものを期待すると在り来たりなストーリーで、どこの国でも製作されているような流れだから物足りなさがあるだろう。主であるコメディ要素がどこまで観る側に届くかであろう。
【なめ犬的おすすめ度】 ★