かわいい
制作年:2004年
監督:キム・スヒョン
出演:キム・ソックン、チョン・ジェヨン、イェ・ジウォン
ジャンル:コメディ
鑑賞:韓国版DVD
ソウルのチョンゲチョンで、三人の親子が貧乏なアパート暮らしをしている。女性に免疫がないバイク配達員の長男フッカシ(キム・ソックン)、親孝行者でレッカー運転手をしている次男ケコ(ソヌ)、過去にカルト宗教の教祖であった父スロ(チャン・ソヌ)。刑務所から出所した暴力団員の三男ムォシギ(チョン・ジェヨン)は、親分フンタク(キム・ジュンベ)の下で働いており、父や兄が住むアパートに出入りする。教祖だった父スロが、女性信者に子供を生ましたことで、三人の兄弟たちは全員母親が違う。ある日、次男ケコが住所不定の女性スニ(イェ・ジウォン)を車に乗せて、家まで連れてきた。スニは、そのまま家に居座ってしまい、四人の男たちがメロメロになってしまい、振り回されてしまうお話。
監督は、本作デビュー作のキム・スヒョン監督。
出演は、長男フッカシを演じるのは『燃ゆる月』『TUBE』のキム・ソックン、三男ムォシギを演じるのは『シルミド』『小さな恋のステップ (原題:知り合いの女)』のチョン・ジェヨン、スニを演じるのは『気まぐれな唇 (原題:生活の発見)』『大韓民国憲法第1条』のイェ・ジウォン、父チャン・スロを演じるのは映画監督のチャン・ソヌ、次男ケコを演じるのは本作デビュー作のソヌ、暴力団のマンネを演じるのは『ボス上陸作戦』『ファミリー (原題:家族)』のパク・ヒスン、ミス・ソウルのソ・ウンギョンを演じるのは『パラダイス・ヴィラ』『イエスタディ』のイ・ジソン、暴力団親分のフンタクを演じるのは『ジャングル・ジュース』『黒水仙』のキム・ジュンベ、ピョンアリを演じるのは『Rポイント』『スパイダー・フォレスト 懺悔 (原題:蜘蛛の森)』のキム・ヒジョン。
主人公である親子たちが住んでいるソウルのチョンゲチョンは、国が推進する都市開発のため、住民たちは移動しなければいけない状況にいる。暴力団員の三男ムォシギは、都市開発地域に住んでいる人たちを追い出すために、暴力で叩き出そうとしているのである。都市開発のために住民を追い出すのは、行政が行う仕事であるが、実力行使で暴力団の力を利用するのは、国の裏の顔でもある。廃墟のようなボロアパートで生活している親子たちの前に、謎の女性スニが現れたことで日常が変化していまう姿をみせて、都市開発に関するところを軽く触れながら進行していく。
スニに一目惚れをしてしまった長男フッカシは、バイクの後部座席にスニを乗せて走ったり、スニへの想いを日記に綴っているのである。その日記が次男ケコに拾われてしまい、みんなの前で音読してしまうことで長男フッカシの気持ちを全員が知ってしまう。これ日記でなく、官能小説っぽくなっているのが面白いのである。
次男ケコがスニを家に連れてきたことで二人は付き合っているようにみえるが、深い関係にならないのである。三男ムォシギは、スニ目当てで家に来ているのがバレバレになっているのである。更に、女好きの父スロは、宗教的な言い回しによって、スニを口説いているのである。四人の男たちから、愛を注がれているスニであるが、スニの態度はそっけないのだ。このバランスを保っているスニの精神的な強さをみて、賞賛してしまう。
次男ケコを狙っているのが、ませた子供のピョンアリ(キム・ヒジョン)である。口紅をつけて背伸びしたり、こんな子供でも嫉妬心を持ったり、スニに対してライバル心を持っているのだ。結局のところ、次男ケコの恋愛には何も進展がないのであるが、スニとピョンアリの仲がもっと深まるような形になっている。
三男ムォシギの暴力団世界を描いており、親分フンタクとの関係であったり、暴力団員マンネ(パク・ヒスン)が絡んでいたりと終盤に波乱がある。暴力団の世界は、サイドストーリー的な扱いであるが、三男ムォシギをしっかり描写するためにいれているようにみえる。
題名の「かわいい」は、女性スニをイメージしているかもしれないが、四人の男たちがメロメロになる姿をみると、全員に当てはまり、上手い題名をつけている。ストーリーの展開としては、あまり盛り上がるようなエピソードもなく、淡々としているので退屈になるかもしれない。スニを想う四人の男がどのように動いているのかをみていると、それなりに楽しめるであろう。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★