伝説の故郷
制作年:2006年
監督:キム・ジファン
出演:パク・シネ、ヤン・グムソク、ヤン・ジヌ、チェヒ
ジャンル:ホラー
鑑賞:韓国版VCD
朝鮮王朝時代。幼き双子姉妹が湖に落ちてしまい、母(ヤン・グムソク)は二人を助けようとするが、妹ヒョジン(パク・シネ)は溺死してしまい、姉ソヨン(パク・シネ)はなんとか助かるが意識不明の重体になる。十年後、平和な村で殺人事件が起こり、その日に意識不明だったソヨンが目を覚ました。母は、意識を戻したソヨンの姿に喜んでいる。ソヨンの家柄は高いもので、乳母(パク・ミョンシン)や召使いのエシム(ユ・ソニ)が、ソヨンの身の回りの世話している。そんなとき、ソヨンは、隣に住んでいるソニョン(ハン・ヨウン)が接触してきて、幼い頃の記憶を失くしていることがわかり、それを思い出そうとするが出来ない。ヒョンシク(チェヒ)やキム氏(ヤン・ジヌ)もソヨンの幼き頃からの知り合いで、ソヨンが目覚めたことに驚きをみせている。そんな中、村の住民たちが次々と襲われていくお話。
監督は、本作デビュー作のキム・ジファン監督。
出演は、双子の姉ソヨンと妹ヒョジンを演じるのは『とかげの可愛い嘘 (原題:とかげ)』のパク・シネ、ソヨンの母を演じるのは『ネオンの中へ陽が沈む』のヤン・グムソク、乳母を演じるのは『デュエリスト (原題:刑事)』『愛してる、マルスンさん』のパク・ミョンシン、キム氏を演じるのは『黄山ヶ原』『達磨よ、ソウル行こう!』のヤン・ジヌ、ソニョンを演じるのは『ラジオスター』のハン・ヨウン、ヒョンシクを演じるのは『うつせみ (原題:空き家)』『ケンカの技術』のチェヒ、アン氏を演じるのは『ドント・ルック・バック (原題:私の青春に叫び)』『残酷な出勤』のペ・ユンボム、エシムを演じるのは『最後の晩餐』のユ・ソニ。
双子姉妹と母との間に隠された事実があり、ソヨンの記憶が徐々に回復していくにつれてその本質がみえてくるのである。一方で、幽霊と思われる髪の長い少女がソヨンの周囲をかきまわし、村で不可解な殺人事件が起こるのである。
この作品の主である双子姉妹と母との運命を描きながら、それと村の殺人事件が同時に進行しているが、どうみても繋がりがみえてこないのである。単純に亡くなった妹ヒョジンの霊によって、村の殺人事件が繋がっているようにみえるが、そこもちゃんと描いていないことで不可思議な形になっている。
ヒョンシクやソニョンは、幼き頃に姉ソヨンと妹ヒョジンと出会っており、二人の性格をよく知っている。ソヨンが自分自身のことが思い出せないことで、ヒョンシクやソニョンがソヨンに会ったときの反応で、彼女の過去の性格を表現しているのかもしれない。顔がそっくりの双子姉妹のソヨンとヒョンシクであるが、性格は正反対であるのがみえてきて、母も二人の性格を知っていることで10年まえの湖での事故と繋がる仕組みなっている。
村人たちが次々と被害に遭わなければならないかという動機が明確になっておらず、全体的な構成がなっていないのだ。幽霊の仕業にみせたいのだろうが、映像に恐怖を感じるところもなく、音響効果に依存した形になっている。サスペンス的な部分がすっぽりと抜け落ちているので、ストーリーの貧弱さを露呈している。終盤に双子姉妹と母との秘密が明らかになり、どんでん返しのような形にしているが、そこまでのプロセスが破壊しているので無意味になっている。
【なめ犬的おすすめ度】 ★