SSFF&ASIA 2011のアジアインターナショナル部門で優秀賞を獲得した作品。正直なところ内容はふつう。他にも良い作品はあったけど、審査員が決めることだから。
パープルマン (短編)
制作年:2010年
監督:キム・タクフン、ユ・ジニョン、リュ・ジノ、パク・ソンホ
出演:キム・ヒョク、キム・タクフン、パク・ソンホ、リュ・ジノ
ジャンル:アニメーション、ドキュメンタリー
鑑賞:SSFF&ASIA 2011
17歳のヒョクは、北朝鮮の刑務所に入っている。同房の囚人たちは、まともな食事もとれずに飢えて死んでいく。ヒョクは、刑務所を出所して、亡命することを決意して、モンゴル経由で韓国にやってきて生活を始める。ヒョクは、お気に入りのゆで卵をお腹いっぱい食えて、亡命して南にきたことに幸せを感じる。だが、北と南では社会制度が違うことで、ヒョクは様々な面で苦労し、亡命して正解だったのかと振り返る。ヒョクは、自分の存在を自分自身でみつめるお話。
監督は、キム・タクフン監督、ユ・ジニョン監督、リュ・ジノ監督、パク・ソンホ監督の合作。
主人公ヒョクの声優及び人物を担当するのは本人キム・ヒョク、他の人物たちは主に監督たちが声優をしている。
キム・ヒョクという実際に韓国へ亡命した人物の体験談を踏まえながら作られたものである。アニメーションで構成されており、技術的にはクレイアニメに属するのであろう。エンディングのところで、キム・ヒョク本人が登場してインタビューされている作りになっていることで、ドキュメンタリーというジャンルも含んでいる。
北朝鮮での生活をみせて、貧しく苦しいところから脱出することで、亡命という道を選び、韓国にやってきているのである。ヒョクは、神(先生と呼んでいた)の助言から、工場で働くことを覚え、仕事場で怪我しても上司からは仕事で怪我したことを内緒にするように云われたり、亡命しても苦労ばかりしている。北は赤、南は青という色で表現して、自分は何色なのかと考えて紫といった感じで、差別があったり貧しさもあり、思っていた事とのギャップに苦しむ姿をみせている。
中盤あたりで、北と南の学校生活の風景を映し出しており、教育の違いをみせている。教室内の風景は全く違うところを印象づけており、アンチアメリカであったり、金日成や金正日の肖像画が飾られている。北と南では、これだけ違うという対照的なシーンとしてみせているのであろう。
アニメーションで表現されているだけで、内容としてはいつもの朝鮮人の亡命ものといった感じである。南にきても、南の生活についていけないところをみせていたり、南にきてよかったのかという苦悩をみせている。題材としては多いものだから、アニメーションという手法で表現した点はプラスかもしれない。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★