アカシア
制作年:2003年
監督:パク・キヒョン
出演:シム・ヘジン、キム・ジングン、パク・ウン、イ・ヨンヒ
ジャンル:ホラー
鑑賞:日本版DVD
結婚して10年経つが、子宝に恵まれない妻ミスク(シム・ヘジン)と産婦人科医の夫ドイル(キム・ジングン)は、悩んだ末に養子をもらうことを決断する。二人は施設に行き、ミスクが独創的な木の絵を描く6歳の男の子ジンソン(ムン・ウビン)に惹かれ、二人はジンソンを養子にする。彼らの家には、庭に枯れたアカシアの木があり、口数が少ないジンソンはなかなか里親と馴染めず、アカシアの木のそばばかりにいて木に話しかけている。やっとジンソンが家族たちと馴染んできたとき、ミスクが妊娠して、なかなか出来なかった実子が生まれて夫婦は喜んでいた。ジンソンは、夫婦の様子をみて、再び内向的になっていき、変な行動をしだす。ある雷が鳴り響く雨の日に、ミスクとジンソンは言い争いになり、ジンソンは外に出て、行方不明になってしまう。夫婦は、警察に捜索願いを届けるがなかなかジンソンが見つからずにいた。そんなとき、ミスク、ドイル、ドイルの父、ミスクの母らに奇妙な出来事が起こるお話。
監督は、『囁く廊下(原題:女校怪談)』『秘密』のパク・キヒョン監督。
出演は、妻ミスクを演じるのは『愛と悲しみのマリア (原題:マリアと旅人宿)』『失楽園』のシム・ヘジン、夫ドイルを演じるのは『燃ゆる月』のキム・ジングン、夫ドイルの父キム氏を演じるのは『生寡婦慰謝料請求訴訟』のパク・ウン、妻ミスクの母を演じるのは『情愛 (原題:結婚は狂気の沙汰)』『オールド・ボーイ』のイ・ヨンヒ、養子のジンソンを演じるのは子役のムン・ウビン、ミスクらの隣りの家に住んでいる少女ミンジを演じるのは子役のチョン・ナユン。
ジンソンが行方不明になってから、不可思議な出来事をみせながら、その謎を解き明かしていく展開になっているので、サスペンスホラーのジャンルになるであろう。ジンソンの人物描写を序盤から不気味にみせていることで、中盤から終盤の伏線にしている。不思議な木の絵を描いたり、虫を投げつけたり、木を母と主張する行動、といった少年の存在自体に奇怪であるのだ。
妻ミスクと夫ドイルは、養子のジンソンを実の子のように愛して三人は溶け込んでいき、夫ドイルの父(パク・ウン)や妻ミスクの母(イ・ヨンヒ)も孫を受け入れていたのだ。妻ミスクが妊娠して、実の子を出産してから、ジンソンとの関係が崩れていくのである。ジンソンに対して愛情を注いていた夫婦たちの心は、徐々に離れていくのをジンソン自身が感じとってしまうのである。ジンソンの嫉妬は、赤ちゃんに向けられ、口を塞いだり、頭を叩いたり、小さな抵抗をしているのが痛々しくみえるのである。決定的なシーンとしては、妻ミスクの母がジンソンを元の施設に戻すことをミスクに電話で話しているのをジンソンがきいてしまったことである。ジンソンの心を砕く瞬間であり、これが大きな引き金になっているのだ。
ジンソンが家出をしてから、夫ドイルの父が死亡したり、妻ミスクの母が危篤になったり、ミスクやドイルも幻覚をみるようになっていくのである。ジンソンの失踪がポイントになっており、その謎を終盤に明かすような展開になっている。更に、ジンソンの唯一の友達であった少し年上の隣人ミンジ(チョン・ナユン)が、ポイントになっているのだ。
アカシアの木の存在や成長が、終盤に向けての伏線になっている。枯れていた木が、徐々に成長して緑色に染まるように生い茂り、しかも花まで咲くのである。単純にアカシアの木をみていれば、先が読める展開であろう。サスペンスとしても、ホラーとしても捻りのない作品になっているのが本音である。
【なめ犬的おすすめ度】 ★