この監督は、日本が大嫌いなのか。第二作『蒼空へ...』でも日本併合時代で朝鮮独立を目指す作品を作っているから。薄いストーリーなので、困ったちゃんの作品である。
大韓帝国時代、幼いハン・ギルスと両親がハワイに移民している。当時ハワイはアメリカの自治区となっており、ハン・ギルスはアメリカ国籍を取得しているからアメリカ人なんだけど。朝鮮独立活動をする組織SKPLが4~5人ってサークルかよ。製作費60億ウォンかけて、この完成度ではどこにお金をかけたのかがわからない。
HAAN ハン・ギルス
制作年:2005年
監督:イ・インス
出演:アン・ジェモ、イム・ユジン、コ・ジョンイル
ジャンル:ヒューマンドラマ
鑑賞:海外版VCD
1938年、朝鮮生まれのアメリカ国籍であるハン・ギルス(アン・ジェモ)は、ハワイに拠点を置く朝鮮独立活動をする組織SKPLに所属しながら、アメリカ海軍の情報部員として働いている。ハン・ギルスは、アメリカ海軍から日本の情報を引き出すために、スパイ活動をするように命令が下される。日本領事館の総領事の妻みえこ(ソ・ミヨン)が運転する車にわざと轢かれたハン・ギルスは、意識を失い病院に担ぎ込まれた。病院のベッドで目を覚ましたハン・ギルスは、付き添いでみえこがおり、交通事故によって親しくなる。組織SKPLは、日本の外務大臣がハワイに来ていることを知って橋に爆弾を仕掛けたが、突然ハン・ギルスが日本の外務大臣が乗っている車のまえに飛び出し、橋に爆弾が仕掛けられていることを知らせて、日本から信頼を受けるようになる。ハン・ギルスは、日本領事館で情報部将校の吉岡(コ・ジョンイル)から信頼されるようになり、日本軍のスパイとなることに成功する。ハン・ギルスは、仲間の組織SKPLにも知らせずに、二重スパイとなり、日本領事館で海上地図を製作する仕事に就く。更に情報を得るために、吉岡の婚約者であり日本領事館で秘書をしているななみ(イム・ユジン)と親しくなる。ハン・ギルスは、日本領事館から得た情報を電話でアメリカ海軍に報告していた。ななみのことを知りたくて、アメリカ海軍にななみの素性を調べてもらい、ななみも朝鮮人であることを知り興味を持つ。日本が密かにハワイを攻撃する準備をしていることを嗅ぎつけたハン・ギルスは、アメリカ海軍に情報を流すが全く信じてもらえず、1941年12月に日本空軍は真珠湾攻撃を実行する。第二次世界大戦中にハワイやワシントンに駐在していた朝鮮系アメリカ人ハン・ギルスの生涯を映画化したもの。
監督は、本作デビュー作のイ・インス監督。
出演は、ハン・ギルス及び通名太田を演じるのは『花嫁はギャングスター (原題:極道の妻)』『ベイビィ・パニック 僕らの育児奮闘記 (原題:幼児独尊)』のアン・ジェモ、日本領事館の秘書ななみ及び本名ユン・ジインを演じるのは『コックリさん (原題:分身娑婆)』『ジョンフン in ふざけるな (原題:ふざけるな)』のイム・ユジン、情報部将校の吉岡を演じるのは『われらの歪んだ英雄』のコ・ジョンイル、総領事の妻みえこを演じるのは『アメノナカノ青空 (原題:...ing』)のソ・ミヨン、パク牧師を演じるのは『天国の秘密』のハン・インス。
ハン・ギルスの考えとしては、日本から祖国朝鮮を独立するために、アメリカ海軍のスパイになり、日本を敗戦に導くために日本の情報を得る活動をして、アメリカの軍事力で日本から朝鮮を開放させてもらおうとしているのだ。ハワイに駐在している朝鮮独立活動組織SKPLが4~5人で構成されていることで、ほとんど意味を成さない存在なのだ。
ポイントになるのは、父が朝鮮独立運動家で家族を見捨てた娘ななみの思考の変化である。日本人として生きていくことを決めたななみに対して、ハン・ギルスが朝鮮を独立させるためになんとか協力してもらおうと口説き落すところだろう。ななみの父と知り合いであるパク牧師(ハン・インス)と話し、当時のななみの父の状況を知らされたり、ハン・ギルスが朝鮮のために動いていることを知っていくうちに、ななみの心情が変化していくのである。
ハン・ギルスは、日本領事館で働く将校の吉川から情報を盗み、そしてアメリカ海軍の長官に情報を流すのである。初めのうちは単独で情報収集していたが、ななみを巻き込むことで将校の部屋に入って機密情報を得られるのである。そこで、日本空軍がハワイを攻撃することを知り、ハン・ギルスの情報があまりに信じがたいことなので、アメリカ海軍の長官は信じず、ハン・ギルスはワシントンDCまで行って、軍部上層部やFBIやマスコミに直接情報を伝えに行くのであるが、最終的には国家安全法違反で逮捕されて投獄されてしまうのである。
作品の質としては、かなりレベルが低く作られており、真珠湾攻撃の映像もかなり微妙な描写になっている。台詞の半分ぐらい日本語になっており、如何にも外国人が話す日本語といった発音なので、全てが棒読みにきこえてしまい、感情表現がみられないのである。残りの半分は、アメリカ海軍との会話で話される英語、組織SKPLやパク牧師やななみとの会話で話される朝鮮語である。
冒頭とエンディングロール前に実在したハン・ギルスという人物が何をしてどのように生涯を終えたのかをかなりの文字数で説明しているので、映像で表現してきたところは必要なのかと感じてしまうであろう。ハン・ギルスを朝鮮独立運動家としてみると、日本とアメリカのスパイになる。だが、ハン・ギルスは、朝鮮系アメリカ人で、日本にスパイとして潜り込んでおり、組織SKPLにスパイのことを秘密にしていたから、朝鮮独立運動家たちを騙していることで朝鮮人たちからみるとスパイになる。現在の韓国となんの関係があるのかと疑問視するところがある。朝鮮独立のために貢献したのかと考えると、「無」に等しい気がする。そもそも、当時の状況下アメリカの軍事力で、日本を負かして朝鮮が独立するという思考がどうも納得できないところだ。日本併合時代の朝鮮人の描き方が奇妙なものばかりで、理解できないところが多々ある。
【なめ犬的おすすめ度】 ★