年の初めなのでご挨拶から。
ちょっと遅いですが、あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m
今回、挨拶を別記事にしなかったのは、ハードルを上げて目標を作って意気込んでブログをやると失速してしまいそうなので、このような形にしました。昨年はそれで目標が達成できませんでした。地味なブログで続けていくことだけで満足しています。
本年最初のレビュー作品は、今年2月に日本で一般公開される『過速スキャンダル』。
チャ・テヒョン主演の作品であるが、パク・ポヨンの存在感が素晴らしい。韓国国内で大ヒットした作品で、恐らく多くのリピーターがいたからだと思われる。
過速スキャンダル
制作年:2008年
監督:カン・ヒョンチョル
出演:チャ・テヒョン、パク・ポヨン、ワン・ソッキョン、イム・ジギュ
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
鑑賞:韓国版DVD
一時代アイドルスターとして多くの若いファンから人気者のナム・ヒョンス(チャ・テヒョン)は、30代半ばになった今でも人気は衰えず、TVのCMに出演したり、人気ラジオ番組のラジオDJとして活躍している。ヒョンスは、「ナム・ヒョンスの午後の休息」という人気ラジオ番組のラジオDJで、リスナーからの手紙やEメールを読み、アドバイスをしている。最近、生まれてから一度も父親をみたことがない若いシングルマザーの投稿者からの相談が、この番組で人気になっていた。ラジオDJとしてヒョンスは、彼女に多くのアドバイスをして、勇気を与えていた。ある日、高級マンションで独身生活を楽しむヒョンスの家に、幼児を連れた若い女性が訪ねて来た。若い女性の名は、シングルマザーのファン・ジョンナム(パク・ポヨン)、幼児の名はファン・キドン(ワン・ソッキョン)である。ジョンナムは、「ファン・ジェイン」というラジオネームでヒョンスのラジオ番組に投稿していたシングルマザーで、ヒョンスの実の娘であることを告白する。しかも、ジョンナムの息子キドンは、ヒョンスの孫であると説明する。ヒョンスが学生時代に近所の年上女性と初体験したときに出来た子供がジョンナムであった。ジョンナムの説明に信じられないヒョンスは、動物病院で獣医をしている友人チャンフン(ソン・ジル)に血液検査をさせると完全に親子であることを告げられた。それから、ヒョンス、ジョンナム、キドンの三人で生活することになる。人気芸能人として隠し子と隠し孫は、致命的なスキャンダルのネタであるから、世間には内緒にしていた。三人の奇妙な生活が始まり、笑いあり涙ありの家族の姿を描いたお話。
監督は、本作デビュー作のカン・ヒョンチョル監督。
出演者は、ラジオDJのナム・ヒョンスを演じるのは『覆面ダルホ』『バカ』のチャ・テヒョン、ヒョンスの娘のファン・ジョンナムを演じるのは『うちの学校のET』『超感覚カップル』のパク・ポヨン、ファン・ジョンナムの息子でヒョンスの孫であるファン・キドンを演じるのは本作スクリンデビューの子役ワン・ソッキョン、ジョンナムの元恋人パク・サンユンを演じるのは『貯水池で救ったチーター』『銀河解放戦線』のイム・ジギュ、キドンが通っている幼稚園の先生のチョモを演じるのは『ミスにんじん』のファン・ウスレ、芸能記者ポン・ピルジュンを演じるのは『拍手する時に去れ』『撃つ』のイム・スンデ、動物病院の獣医イ・チャンフンを演じるのは『極楽島殺人事件』『間違った出会い』のソン・ジル、俳優キム・ジュニョンを演じるのは『あなたを忘れない』のホン・ギョンミン。
ヒューマンコメディといったホームドラマのような作風であり、笑いながら気軽に楽しめる作品である。ストーリー、三人のユーモラスなしぐさ、巧みな台詞回し、年齢層が幅広い作り、テンポの良さがこの作品の売りであろう。
人気ラジオDJとして優雅に暮らしていたヒョンスに、突然娘と孫が現れて、生活が一転していく姿を慌しく、そして面白おかしくみせている。幼稚園児の孫キドンのイタズラによって部屋が滅茶苦茶になり、ひたすら掃除するヒョンスであったり、娘ジョンナムと浴びるほどワインを飲み、翌朝目を覚ましたヒョンスは娘ジョンナムと一緒のベッドに寝ていたことにドキドキしたりと日常生活の中に笑いを散りばめている。
ジョンナムが父であるヒョンスを見つけたことで、ヒョンスのラジオ番組に「ファン・ジェイン」からの投稿が途絶え、番組の人気が低迷してくるのである。そこで行ったのが、無理矢理ジョンナムにEメールを書かせたり、ヒョンスが自作自演をしたりと忙しくなっていくのである。ラジオDJとしての仕事と娘孫を持つ父としてのプライベートに翻弄するヒョンスの姿が非常に面白く描かれているのだ。
ジョンナムは、自分の夢があり、得意の歌をヒョンスのラジオ番組の企画に参加するのである。子育てを優先させようとするヒョンスと自分の夢を追いかけるジョンナムの対立があったり、元恋人サンユン(イム・ジギュ)と再会したことで動揺したり、ラジオ番組の音楽を主にした公開企画にジョンナムが予選を勝ち抜いていったりと多くの問題が山積していくのだ。
男性としてのヒョンスをみせているところは、孫キドンが通っている幼稚園のチョモ先生(ファン・ウスレ)に好意があるところである。孫キドンを使って情報収集したり、何かと理由を作って幼稚園に行ったり、チョモに対してモーションをかけるのである。祖父ヒョンスと孫キドンのコンビプレイが見所であろう。
この作品で欠かせられないのが「音楽」である。元歌手で歌は売れなかったヒョンス、抜群の音楽センスを魅せるジョンナム、天才的な音楽の才能を持つキドンである。歌手でもあるチャ・テヒョンが歌うところは当たり前なのだが、パク・ポヨンが歌うところは意外と上手いので驚くであろう。初めて歌うシーンと終盤で歌うシーンで、格段にジョンナムが変化しているところは注目である。容姿は勿論であるが、表情と声である。公開番組で歌うところ、ラストのバンド編成で歌うところは必見である。
家族の形は、様々であり、そのひとつの形として父ヒョンス、娘ジョンナム、孫キドンといった配偶者がいない三人の家族の愛情を感じる。とても編集が優れていることで、観やすいことが第一に感じるところであり、全体を通してもよく出来ている作品である。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★★★