「ひみつ」という題名の韓国映画の邦題が多い。この作品は、原題が「秘密」である。オカルト的要素を含めたラブストーリーといった方が正しいのかな。ソン・イェジン目当てで鑑賞すると撃沈することだけは主張しておく。どのシーンに出ているのかはわかったけど。「これっぽっち!」ってなるだろう。
秘密
制作年:2000年
監督:パク・キヒョン
出演:キム・スンウ、ユン・ミジョ、チョン・ヒョヌ、ソン・イェジン
ジャンル:ラブストーリー、ファンタジー
鑑賞:韓国版DVD
生命保険会社に勤務するグホ(キム・スンウ)は、妻に逃げられて落ち込んでおり、同僚のヒョンナム(チョン・ヒョヌ)と彼の愛人ドギョン(パク・ウンスク)の三人で酒を飲んだりカラオケをして楽しんで、気をまぎらわせていた。雨が降る中、酒に酔っていたが帰宅するため三人は車に乗って、高速道路を走行しているときに突然現れた女子高生ミジョ(ユン・ミジョ)を轢いてしまった。飲酒運転での事故のため警察に届けることができなかった三人は、ミジョを車に乗せてグホの家まで運ぶ。フロントガラスにヒビが入るぐらいの衝撃があった人身事故なのに、不思議なことにミジョの体には怪我ひとつなかった。翌朝、目を覚ましたミジョは記憶と言葉を失っていた。グホは、素性の知らないミジョの面倒をみているうちに、ミジョの心の声が聞こえ始める。ミジョのテレパシーによって、グホと会話することができ、次第に二人の間に愛情が芽生えていった。一方、同僚ヒョンナムは、ミジョの所持品から身元を調べていくと彼女の両親は火事によって亡くなっていることを知る。ミジョの隠された秘密を知ることによって、謎が膨らんでいった。暗い過去と神秘的な力を持つ女子高生ミジョと30代男性グホの恋愛は、この先どのような結末を向かえるのかというお話。
監督は、『囁く廊下(原題:女校怪談)』のパク・キヒョン監督
出演者は、生命保険会社に勤務するグホを演じるのは『男の香り』『新装開店』のキム・スンウ、女子高生ミジョを演じるのは本作スクリンデビューのユン・ミジョ、生命保険会社に勤務するヒョンナムを演じるのは本作スクリンデビューのチョン・ヒョヌ、ヒョンナムの愛人ドギョンを演じるのは『シュリ』のパク・ウンスク、女子高生ジヨンを演じるのは『真実ゲーム』のチョン・ソナ、ある女性を演じるのは本作スクリンデビューのソン・イェジン。
超能力を持つ女子高生ミジョと30代サラリーマンのグホが、徐々に惹かれあっていくラブストーリーに不可思議な現象をファンタジーとして盛り込んでいる。
ミジョの超能力は、口で言葉を使って意志を伝達する方法ではなく、テレパシーによって特定の相手に心の声のような形でコミュニケーションをする。初めからミジョはグホに対してテレパシーを送っていたが、ある瞬間からグホはミジュのテレパシーを感じることができるのだ。さらに目で見ている映像を特定の相手にその映像を送ることができる能力がある。映像としては、モノクロにしたり歪んだ映像手法をとっていることで表現している。最大の能力として、液体を操ることができ、特に水を操るところである。序盤の交通事故でのシーンが豪雨であったのが伏線だったり、ラストシーンも水が大きく絡んでくるのだ。
ヒョンナムがミジョの素性を調べていくうちに、ある恐怖を感じだすのである。火事によってミジョの両親が亡くなったこと、不思議な火事現場、ミジュのアリバイ、ミジュの両親の生命保険の受取人がミジュ、といった状況からミジョが両親の火事に何らかの関わりがあると疑わしくなるのだ。サスペンス的な要素を備えており、保険会社員という職柄から秘密を解き明かしていく役目がヒョンナムなのである。
モラルを表現しているところが目についた。女子高生ミジョとの交際を決めるグホに対して相手が未成年だと注意するヒョンナムであったり、不倫しているヒョンナムに対して責めるグホがいたりとお互い社会的モラルを突きつけている。ミジョの友人である女子高生ジヨン(チョン・ソナ)の行動、ミジョの父の行動などをみせることで社会的モラルの低下を遠回しに唱えているようにみえた。
中盤から終盤にみえてくるのは、ミジョの心の傷であり、グホがあるアイテムから解き明かしていくのである。女子高生ミジョと離婚歴あり30代サラリーマンのグホとの恋愛を主にしているのであるが、二人の愛情の変動が表現しきれていないために感情移入できないのである。お互いが喪失感を持っていることで共通の心の痛みで惹きつけているところがみえるが。グホと親との会話やグホとヒョンナムとの会話から、グホがミジョの保護者のようにみえてしまうのだ。超能力を絡めた純愛を表現したいのであろうが、超能力の衝撃や火事や心の傷の方が強調されていたことからヒューマンドラマかサスペンスを主にした方が面白くなると感じた。
ソン・イェジンのスクリンデビュー作であるが、果たしてどこに出演していたか気づいただろうか。「ウォーリーをさがせ!」状態だな。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★