久しぶりに韓国映画の香港版DVDを購入して鑑賞した。これは字幕付き(英語字幕)で観たかったので。特別出演者がどのような形で登場するのかが気になっていたからだ。キム・ヘスは冒頭の数秒なのが残念。パク・チュンフンは1シーンだけど陽気な人って感じで印象に残った。この二人はストーリーに全く関係ない役だな。
チェンジ
制作年:1996年
監督:イ・ジンソク
出演:チョン・ジュン、キム・ソヨン、イ・ギョンヨン、イ・スンヨン
ジャンル:青春ドラマ、コメディ
鑑賞:海外版DVD
勉強の成績が悪く、軽音楽部でボーカル&ギターをして夢中になり、いつも朝寝坊して狂犬と呼ばれている体育教師(イ・ギョンヨン)に叱られている落ちこぼれの男子高生テホ(チョン・ジュン)。一方、成績優秀で生徒会の副会長をしている女子高生ウンビ(キム・ソヨン)は、毎朝校門のまえで生徒会長と体育教師らと一緒に朝の挨拶をしている。いつものように罰として放課後にトイレ掃除をさせられていたテホは、掃除が終わったことを職員室にいる体育教師に報告しにいったとき、体育教師と生徒会長と副会長ウンビが学園祭について議論していた。今にも雨が降りそうな雨雲が覆う薄暗い中、帰宅しようとしていたテホとウンビは、偶然雷が二人の周辺に落ちたことで二人の体が入れ替わってしまった。何も知らずに帰宅する二人は、お互いの家族に不審者だと思われて家から追い出されてしまい、ウンビ(体はテホ)がテホの生徒手帳をみつけて、そこに書いてあった家の住所に向かったところ、二人が出会ってようやく二人の心と体が入れ替わってしまったことを認識する。体が入れ替わったまま生活を続けることになった二人は、性格が変貌したことで二人の友人たちは驚いてしまう。この事実を隠したまま学園生活を続ける中で、多くの出来事を起こる。果たして、テホとウンビは元の体を取り戻すことができるのかというお話。
監督は、本作デビュー作のイ・ジンソク監督。
出演者は、落ちこぼれの男子高生テホを演じるのは本作が本格的なスクリンデビューとなるチョン・ジュン、生徒会の副会長の女子高生ウンビを演じるのは本作スクリンデビューのキム・ソヨン、狂犬と呼ばれている体育教師を演じるのは『テロリスト 哀しき男に捧げる挽歌』『ラン・アウェー』のイ・ギョンヨン、美術教師を演じるのは『ピアノマン』のイ・スンヨン。
ストーリー展開、パクリ、特別出演者といった三つの点に注目して鑑賞することができる。ストーリー展開は、男女の高校生が落雷によって心と体が入れ替わり元に戻ろうと悪戦苦闘する中でお互いが協力していくコメディ要素を含んだ青春ドラマになっている。パクリは、日本の映画やTVドラマをどのように模倣したのかという点であろう。映画だと大林宣彦監督&小林聡美&尾美としのりの『転校生』、TVドラマだと1985年にTV放映した石野陽子&松野達也の【転校生】、1992年にTV放映した観月ありさ&いしだ壱成の【放課後】がある。日本の映画もTVドラマも山中恒原作の「おれがあいつであいつがおれで」を使用している。そんな中、韓国映画『チェンジ』は、TVドラマ【放課後】に内容が一致し過ぎている。リアルタイムでみていたから、これははっきり断言できる。特別出演者は、電車内でナスを押しつけられる痴漢被害者の女性をキム・ヘス、学園内で蛍光灯を取り換えるお茶目な電気屋の男性をパク・チュンフン、テホのダメ兄貴をキム・ミンジョン、チンピラをクォン・ヘヒョといったところであろう。
主人公のテホとウンビの性格を徐々にみせていき、二人の生活環境の違い、家族や友人や先生との関係をお互いに表現することで二人の人物像がみえるようになっている。テホの性格は、喧嘩をしたり、勉強がダメで、音楽好きながさつな男の子という感じである。ウンビの性格は、淑やかで、勉強が出来て、真面目な女の子という感じである。これは入れ替わったことで二人の行動をみて、さらに周囲の人物たちとの交友をみて感じられるところである。
男同士や女同士の仲間意識が強いところをみせた青春ものにみせていたり、人間の生理現象を扱った性の表現方法を用いてコメディ要素をみせている。テホとウンビが入れ替わったことで、様々な出来事に立ち向かい、お互いの内面を知っていくことから二人の心情が徐々に変化していくところをみせている。バンド仲間をお互いの友達に紹介したり、チンピラと喧嘩したり、テストの成績、移民問題といったところもみせている。
終盤の学園祭でのコンサートは一番の見せ所であろう。テホの音楽活動に消極的であったウンビがキーボードで参加したり、男女の学生が学校側にみつからないように極秘で行動していたり、美術教師が活躍したり、笑えるラストシーンといったところもある。まず、どのような視点でこの作品を観るかで評価が変わってくるであろう。作品性を重視してしまうとパッとしないのであるが、他の要素を重視すると変わってくるからだ。
【なめ犬的おすすめ度】 ★★