IE9ピン留め

韓国映画だけを取り扱ったブログ
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REVIEW INDEX
1.美しき野獣
2.タイフーン
3.あしながおじさん
4.親切なクムジャさん
5.オールド・ボーイ
6.復讐者に憐れみを
7.赤い靴
8.力道山
9.受取人不明
10.春の日は過ぎゆく
11.顔のない女
12.コースト・ガード
13.サウラビ
14.シンソッキ・ブルース
15.達磨よ、ソウルへ行こう
16.大韓民国憲法第1条
17.黄山ヶ原
18.どこかで誰か~略~ホン班長
19.コックリさん
20.女子高生嫁に行く
21.サイの角のように一人で行け
22.僕らのバレエ教室
23.死んでもいい
24.踊るJSA
25.ラスト・プレゼント
26.君は僕の運命
27.プライベートレッスン青い体
28.オー!スジョン
29.氷雨
30.大変な結婚
31.家門の危機-家門の栄光2
32.木浦は港だ
33.悪い女 青い門
34.アナーキスト
35.ライターをつけろ
36.南極日誌
37.私の頭の中の消しゴム
38.恋する神父
39.シングルス
40.ジェイル・ブレーカー
41.ジャングル・ジュース
42.シルミド
43.大統領の理髪師
44.マイ・ボス マイ・ヒーロー
45.誰が俺を狂わせるか
46.人生の逆転
47.マラソン
48.夢精期
49.ぼくらの落第先生
50.作業の定石
51.Some(サム)
52.ハッピーエロクリスマス
53.われらの歪んだ英雄
54.銀杏のベッド
55.燃ゆる月
56.誰にでも秘密がある
57.スパイダー・フォレスト 懺悔
58.美しい夜、残酷な朝
59.シン・ソンイルの神隠し
60.風の伝説
61.リベラ・メ
62.インタビュー
63.我が心のオルガン
64.愛と、死を見つめて
65.箪笥
66.酔画仙
67.クワイエット・ファミリー
68.なせば成る
69.新装開店
70.SPY リー・チョルジン
71.ラン・アウェイ
72.彼らだけの世界
73.LIES 嘘
74.ゴースト・ママ
75.ドクター・ボン
76.悪い男
77.ワニ&ジュナ
78.私の男のロマンス
79.人形霊
80.花嫁はギャングスター
81.花嫁はギャングスター2
82.恋愛は狂気の沙汰だ
83.天国からの手紙
84.DMZ非武装地帯
85.天国からのメッセージ
86.英語完全征服
87.囁く廊下
88.少女たちの遺言
89.狐怪談
90.VOICE ヴォイス
91.愛のゴースト
92.あぶない奴ら
93.ARAHAN アラハン
94.魚座
未分類
95.THREE/臨死
96.リング・ウィルス
97.3人組
98.彼女を信じないでください
99.スーパースター カム・サヨン
100.トンマッコルへようこそ
101.猟奇的な彼女
102.恋愛の目的
103.ボーン・トゥ・キル
104.ホワイト・バッジ
105.TUBE
106.サグァ
107.マジシャンズ
108.ホワイトクリスマス
109.トンケの蒼い空
110.ラブリー・ライバル
111.Run2U
112.散策
113.口笛姫
114.盗られてたまるか
115.B型の彼氏
116.まぶしい一日
117.顔のないものたち
118.ショッキング・ファミリー
119.ソウル・ガーディアンズ
120.ヒューマニスト
121.ホリデー・イン・ソウル
122.サークル
123.オー!マイDJ
124.ゲオ・ロボトミー
125.肌
126.覗き
127.マイ・ブラザー
128.スカーレットレター
129.ケンカの技術
130.マイ・リトル・ブライド
131.ゴーストタクシー
132.アンダーグラウンド
133.バス、停留場
134.真実ゲーム
135.グエムル
136.Sダイアリー
137.台風太陽
138.初恋白書
139.密愛
140.ワイルドカード
141.阿娘
142.浜辺の女
143.家族の誕生
144.夏が過ぎゆく前に
145.お母さん
146.ファミリー(家族)
147.みんな大丈夫?
148.多細胞少女
149.韓半島
150.弓
151.サッド・ムービー
152.相棒
153.約束
154.鬘 かつら
155.サプライズ
156.僕が9歳だったころ
157.ホロビッツのために
158.とかげの可愛い嘘
159.ダンサーの純情
160.王の男
161.ピアノを弾く大統領
162.連理の枝
163.デイジー
164.HEAVEN ヘブン
165.ナチュラル・シティ
166.アメノナカノ青空
167.僕の、世界の中心は、君だ。
168.頑張れ!グムスン
169.君に捧げる初恋
170.モノポリー
171.ホリデー
172.オーロラ姫
173.インシャラ
174.夢精期2
175.闘師父一体
176.青春漫画
177.私の生涯で最も美しい一週間
178.情愛
179.私にも妻がいたらいいのに
180.墨攻
181.愛しのサガジ
182.デュエリスト
183.愛の傷
184.ウェディング・キャンペーン
185.6月の日記
186.淫乱書生
187.ラブ・インポッシブル
188.公共の敵
189.公共の敵2
190.うつせみ
191.サマリア
192.絶対の愛
193.天軍
194.アパートメント
195.クライング・フィスト
196.チェロ
197.霊 -リヨン-
198.愛なんていらない
199.クレメンタイン
200.お姉さんが行く
201.Mr.ソクラテス
202.僕は彼女をはなさない
203.従軍慰安婦
204.真由美
205.KUMIHO/千年愛
206.ビート
207.ラブ 最愛の人
208.サイボーグでも大丈夫
209.私たちの幸せな時間
210.花嫁はギャングスター3
211.初雪の恋
212.愛と悲しみのマリア
213.中天
214.子猫をお願い
215.君はジャズを信じるか?
216.深い悲しみ
217.百万長者の初恋
218.夏物語
219.角砂糖
220.青燕
221.いかさま師
222.愛を逃す
223.フェイス
224.奇跡の夏
225.あいつの声
226.親知らず
227.あなたを忘れない
228.麻婆島
229.終わらせよう!
230.かすかに
231.白い部屋
232.ウリハッキョ
233.1番街の奇跡
234.ライアー
235.優雅な世界
236.おまえを逮捕する
237.裸足のキボン
238.アイスケーキ
239.2月29日-ある日突然一番目
240.永遠の魂
241.肩ごしの恋人
242.息
243.京義線
244.ウララ・シスターズ
245.美女はつらいの
246.極楽島殺人事件
247.インビジブル・ウェーブ
248.密陽
249.ノートに眠った願いごと
250.ハーピー
251.ラブラヴ
252.浮気するのにいい日
253.黒い家
254.天下壮士マドンナ
255.ミスター・ロビンの口説き方
256.鰐
257.チャーミング・ガール
258.ムイ
259.奇談
260.ラジオスター
261.拍手する時に去れ
262.永遠なる帝国
263.宮女
264.黄真伊
265.許されざるもの
266.家門の復活-家門の栄光3
267.女教授の隠密な魅力
268.蝶
269.菊花の香り
270.ワイルド・アニマル
271.リアル・フィクション
272.20のアイデンティティ
273.11番目のお母さん
274.今、愛する人と暮らしていま
275.私の生涯で最悪の男
276.野獣と美女
277.卑劣な街
278.静かな世の中
279.二人だ
280.無影剣
281.セブンデイズ
282.アイアン・パーム
283.接続
284.手紙
285.キムチを売る女
286.レッド・アイ
287.道
288.不機嫌な男たち
289.私の恋
290.愛してる、マルスンさん
291.無防備都市
292.息子
293.ウォンタクの天使
294.強敵
295.光州5・18
296.まぶしい日に
297.国境の南側
298.私たちの生涯最高の瞬間
299.ザ・ゲーム
300.待つのが狂おしい
301.支離滅裂
302.フレームの中の記憶たち
303.白色人
304.ピーターパンの公式
305.けんか
306.ふざけるな
307.幸福
308.リターン
309.ユゴ 大統領有故
310.甘く、殺伐とした恋人
311.不朽の名作
312.カリスマ脱出記
313.明るい家族計画
314.極道修行・決着
315.用意周到ミスシン
316.6年目の恋愛中
317.愛するときに話すこと
318.D-WAR
319.フライ・ダディ
320.ハレルヤ
321.あきれた男たち
322.ビューティフル・サンデー
323.最後の贈り物...帰休
324.なつかしい庭
325.ロマンス
326.ワンス・アポン・ア・タイム
327.M
328.アドリブ・ナイト
329.美しい
330.鯨とり
331.青春スケッチ
332.モーツァルトの街
333.銀河解放戦線
334.クロッシング
335.ハラギャティ
336.アダダ
337.旅人は休まない
338.マイ・ニュー・パートナー
339.マイ・ファーザー
340.アフリカ
341.木のない山
342.夜と昼
343.花美男連続ボム事件
344.ハーブ
345.大胆な家族
346.最強ロマンス
347.セックスインポッシブル
348.ヘンゼルとグレーテル
349.最強☆彼女
350.熱血男児
351.ひまわり
352.ハミング
353.ドレミファソラシド
354.映画は映画だ
355.バカ
356.ジェニ、ジュノ
357.チェンジ
358.リハーサル
359.チム
360.太陽はない
361.追撃者
362.俺たちの街
363.ソウルが見えるか?
364.ス SOO
365.悲夢
366.暴力サークル
367.覆面ダルホ
368.娼
369.チャン
370.魚と寝る女
371.秘密 Desire (欲望)
372.2424
373.オー!ハッピーデイ
374.春夏秋冬そして春
375.クァンシクの弟クァンテ
376.ジャカルタ
377.ミスにんじん
378.モダンボーイ
379.解剖学教室
380.救世主
381.良い奴,悪い奴,変な奴
382.映画館の恋
383.僕と人形遊び
384.死んでもハッピーエンド
385.セックス イズ ゼロ
386.セックス イズ ゼロ2
387.スカウト
388.血の涙
389.後悔なんてしない
390.トラック
391.非常口がない
392.雨は愛にのって
393.ラブ・トーク
394.招待
395.彼の結婚式
396.星
397.恋愛術士
398.戀風戀歌
399.ファースト・キス
400.妻が結婚した
401.神機箭
402.霜花店
403.愛 サラン
404.情熱のステップ
405.キッチン
406.幼い王子
407.残酷な出勤
408.愛してるから大丈夫
409.ミスター主婦クイズ王
410.目には目、歯には歯
411.ビースティ・ボーイズ
412.あなたは遠いところに
413.悲しみよりもっと悲しい物語
414.ガールスカウト
415.オアシス
416.浮気な家族
417.大誘拐
418.ダメ男の愛し方
419.ボイス
420.友引忌
421.ガチデン 堤防伝説
422.宿命
423.昼間から呑む
424.タチマワ・リー
425.マリン・ボーイ
426.楽しき人生
427.秘密
428.今、このままがいい
429.うちにどうして来たの?
430.小言
431.牛の鈴音
432.旅人
433.よく知りもしないくせに
434.ロマンチック・アイランド
435.達磨はなぜ東に行ったのか
436.天国までの60日
437.純情漫画
438.息もできない
439.執行者
440.渇き
441.亀、走る
442.その男の本198ページ
443.美人図
444.女と男 愛の終着駅
445.桃花
446.シバジ
447.外人球団
448.ディープ・ブルー・ナイト
449.過速スキャンダル
450.走れ自転車
451.甘いウソ
452.誤発弾
453.長雨
454.荷馬車
455.仮面
456.おいしいマン
457.女高怪談5:心中
458.師の恩
459.私は私を破壊する権利がある
460.超感覚カップル
461.うちの学校のET
462.お熱いのがお好き
463.娼婦の羽
464.イテウォン殺人事件
465.仁寺洞スキャンダル
466.空を歩く少年
467.飛べ、ペンギン
468.ビバ!ラブ
469.太っちょ大家族
470.一人あそび
471.ある『誠心』の力
472.銃後の朝鮮
473.朝鮮 私たちの後方
474.朝鮮の愛國日
475.日本実録
476.朝鮮時報 第11譜
477.朴さん
478.常緑樹
479.ハンネの昇天
480.青い自転車
481.シンデレラ
482.自殺同好会
483.夕べのスキャンダル
484.GOGO70s
485.虹鱒
486.HAAN ハン・ギルス
487.蒼空へ...
488.コ死:血の中間考査
489.海雲台
490.公共の敵1-1
491.キム氏漂流記
492.ノーボーイズ、ノークライ
493.正しく生きよう
494.ぼくら特殊発掘捜査隊
495.二つの顔の猟奇的な彼女
496.夜のゲーム
497.カッコーの啼く夜 別離
498.愛の望郷・激流を越えて
499.娼婦物語・激愛
500.炎のように蝶のように
501.海辺に行く
502.キングコングを持ち上げる
503.彷徨の日々
504.彼女には秘密です
505.生徒会長
506.愉快なお手伝い
507.宿題
508.作戦
509.憎くてももう一度 2002
510.大人たちはわからない
511.ハーモニー
512.私の愛、私のそばに
513.リメンバー・ミー
514.ある訪問
515.私のヤクザのような恋人
516.彼岸島
517.サヨナライツカ
518.礼儀なき者たち
519.食客
520.食客:キムチ戦争
521.サンデーソウル
522.ベイビィ・パニック
523.キル・ミー
524.訪問者
525.ウェディングドレス
526.フェア・ラブ
527.クリーニング・クィーン
528.秘密愛
529.ベストセラー
530.ヨガ教室
531.10億
532.携帯電話
533.アンティーク
534.イリ
535.オガムド
536.男性の証明
537.止められない結婚
538.嫉妬は我が力
539.赤ちゃんと僕
540.資本主義党宣言
541.ここよりどこかへ
542.死生決断
543.4時間目 推理領域
544.容赦はない
545.下女 1960年版
546.下女 2010年版
547.マイ・ボス マイ・ヒーロー3
548.追われし者の挽歌
549.石ころの夢
550.結婚式の後で
551.19
552.楽園
553.妖術
554.虹
555.緊急措置19号
556.小さな池
557.菜食主義者
558.破壊された男
559.偉大なる系譜
560.詩
561.トライアングル
562.顔と心と恋の関係
563.天国への郵便配達人
564.7級公務員
565.Rポイント
566.GP506
567.ペントハウス エレファント
568.きみに微笑む雨
569.少年は泣かない
570.シークレット
571.パラレルライフ
572.ナタリー
573.シラノ;恋愛操作団
574.星から来た男
575.微笑
576.セイ・イエス
577.羽根
578.アイ・ラブ・ユー
579.偉大なる遺産
580.ソフィーの復讐
581.母なる証明
582.自転車少年
583.盲人はどんな夢を見るか
584.我知らず
585.深夜のFM
586.インフルエンス
587.Happy Together
588.出会いの広場
589.名作の条件
590.マンダリン・ゴースト
591.味噌
592.フェスティバル
593.うさぎとリザード
594.グッドモーニング・(略)
595.帰らざる海兵
596.アカシア
597.わたしと彼の秘め事
598.おじさん
599.悪魔を見た
600.国家代表
601.ささやきの夏
602.ソウルのバングラデシュ人
603.ドント・ルック・バック
604.バタフライ
605.愛してる、愛してない
606.グローブ
607.朝鮮名探偵
608.血闘
609.マイ・ブラック・ミニドレス
610.ダーツ
611.パープルマン
612.ふたりの夜
613.波瀾万丈
614.ニオイ
615.初仕事
616.少年、少年に会う
617.二階の悪党
618.品行ゼロ
619.無分別な妻、(略)
620.シシルリ 2km
621.幸福な葬儀屋
622.小さな恋のステップ
623.つぼみ
624.若い男
625.白夜行
626.牛と一緒に旅する方法
627.義兄弟
628.愛の運命 -暴風前夜-
629.黒く濁る村
630.世界で一番美しい別れ
631.幻想劇場
632.不良男女
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634.逮捕王
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638.かわいい
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韓国映画レビュー その677 「ブラインド」
サウスポー対決「左利きの盲人 vs 左利きの狂人」。シナリオ、映像技法、アイデアがよかった。

ブラインド
制作年:2011年
監督:アン・サンフン
出演:キム・ハヌル、ユ・スンホ、チョ・ヒボン、ヤン・ヨンジョ
ジャンル:スリラー


成績優秀の警察大学生ミン・スア(キム・ハヌル)は、孤児院で育っており、そこで16年間一緒に生活し本当の弟のように可愛がるドンヒョン(パク・ボゴム)がいる。スアは、ダンスに熱狂するドンヒョンを公正させるため、踊っているドンヒョンを会場から強引に連れ出し、車に乗せて手錠までしてしまう。ドンヒョンが車内で暴れたため、運転していたスアがハンドル操作を誤り、事故を起こしてしまう。その事故によって、ドンヒョンは亡くなり、スアは視力を失ってしまう。三年が過ぎ、失明したスアは、盲導犬スルギ(タリ)と一緒に暮らし、警察大学に復学を要望するが受け入れてもらえないでいる。雨が降る夜、盲導犬スルギを連れず一人で外出していたスアは、自宅に戻るためタクシー乗り場でタクシーを待っていた。スアのまえで車が停まるのを感じたとき、スアは運転手から行き先を尋ねられ、了承を得たことで後部座席に乗る。運転手は、スアの様子をみて視覚障害者かと尋ね、寒そうにしているスアをみてヒーターの温度を上げたり、窓をあけて濡れてしまったことでちり紙を渡したり、ビン入りのコーヒーを渡したりと親切にする。そんなとき、車が何かを轢いて衝撃を感じる。運転手は、確認するため車から出て何を轢いたのか見にいくと瀕死の女性であった。スアも車から出て、運転手に何を轢いたのかを尋ねると犬だと云い出す。スアは、女性の微かな声がきこえたことで人身事故だと思い、携帯電話で電話をしようとしたとき、運転手に妨害される。運転手は、轢いた女性をトランクに詰めて、スアをその場に置き去りにして車で逃走してしまった。次の日、警察に出向いたスアと孤児院の院長(キム・ミギョン)は、ひき逃げ事件が起こったことを報告するが、現場付近にいた目撃者にも訊いたところ、そのような事故がなかったと云われてしまい、取り合ってもらえなかった。その後、警察の捜査からその地域でイ・ミンジュという若い女性が行方不明になっていた。この地域で連続女子大生失踪事件が起こっており、スアが証言していたひき逃げ事件と関連があると警察は考える。スアの自宅に尋ねた刑事が、ひき逃げ事件について詳しく教えて欲しいと要望し、警察署に来てもらい事情聴取が始まる。担当になったチョ刑事(チョ・ヒボン)は、目が見えないスアにどのように訊けばよいか迷っていたが、スアが視覚以外の感覚でチョ刑事の特徴を言い当てたことで、いつも通り目撃者に尋ねるときの質問をする。ある日、バイクで配達していた素行の悪い青年ギソプ(ユ・スンホ)が、ひき逃げ事件の目撃情報の垂れ幕をみて、懸賞金目当てで警察に出向き証言する。そこで、スアの証言とギソプの証言がくいちがっており、警察の捜査は難航してしまう。そんなとき、目撃者を消そうとあの運転手が動きだし、ギソプは頭を殴られ気を失い、偶々ごみ捨てをしていた女性が倒れているギソプを発見し、病院に運ばれる。ギソプは、幸い頭が固かったことで軽傷で済み、気を失い眠っていたギソプを心配してスアが看病していた。その後、スアもあの運転手からターゲットにされる。目撃者であるスアとギソプが、あの運転手から口封じのために狙われるお話。

監督は、『阿娘』のアン・サンフン監督。
出演は、スアを演じるのは『7級公務員』『楽園 (原題:楽園-パラダイス)』のキム・ハヌル、ギソプを演じるのは『4時間目 推理領域』『父、山 (原題:プサン』のユ・スンホ、チョ刑事を演じるのは『ホン・ギルドンの後裔』『ベストセラー』のチョ・ヒボン、ミョンジンを演じるのは『今、このままがいい』『雲を抜けた月のように』のヤン・ヨンジョ、孤児院の院長を演じるのは『宮女』『ホームランが聞こえた夏 (原題:グローブ)』のキム・ミギョン、チョ刑事の班長を演じるのは『大韓民国1%』『味噌』のパク・チュンソン、スアの弟分ドンヒョンを演じるのは本作スクリンデビューのパク・ボゴム、盲導犬スルギを演じるのは犬のタリ。

ひき逃げ事件に遭遇してしまった盲目のスア、偶然歩道を歩いていて逃げていく車と運転手を目撃する不良青年ギソプ、この二人が警察に目撃証言をすることで犯人から狙われていくスリラーである。

スアは、盲目になったことで、健常者よりも聴覚や嗅覚や触覚といった感覚が優れ、更に警察大学に行っていたことで知識や洞察力といったノウハウを持っている。ひき逃げ事件の証言には食い違いがあり、チョ刑事は、盲目スアの証言を信用しており、視覚で情報を得ているギソプの証言をあまり信用してないのだ。ギソプが懸賞金目当てで目撃証言をしていることが、スアに見破られたこともひとつの要因でもある。スアの証言は、聴覚によって運転手の推定年齢や体格、触覚によって運転手が左利きであり、座席シートの感覚から模範タクシーと感じ、事故後の車の破損部分を触れたり、嗅覚によって消毒のような臭いを感じとり、多くの情報を提供しているのだ。ギソプの証言は、タクシーではなく外国産自動車だと主張しているのだ。ギソプは、証言後少しして運転手の顔を思い出し、唯一犯人の顔を知っている存在になるのだ。目が見えないスアの近くに接近する犯人をみかけ、ギソプが携帯電話を使ってスアの目になって協力していく展開になるのだ。

視覚を失ったスアの感覚を映像として取り入れて表現しているところは上手いアイデアである。盲目の人でも視覚というものが存在しており、抽象的で靄がかかったような形で物事をとらえて映像としてみせているのだ。実際の映像とスアが感じ取る映像の両方をみせて、一時的だがスアと同じ世界にいることができるのである。携帯電話のテレビ電話機能を使って動画映像を取り入れ、臨場感があって実際に追われているような感覚にさせている。目が見えないスアは何が起こっているのか分からず、視覚以外の機能で情報を得ており、迫ってくる犯人の存在によって恐怖心をみせている。目が見えるギソプは、犯人の顔を知っていることで視覚による恐怖をみせている。

スアの心情は、序盤から中盤に多くみせている。ドンヒョンの事故死は自分に責任があると深く感じており、亡くなったドンヒョンのために孤児院がイベントを行うのであるが複雑な気持ちを持っているのだ。手首にあるリストカットの傷跡を何度か映すことで、自分を責めているのが伝わってくるのだ。ギソプという青年がドンヒョンと重ねているところもあり、スアがギソプのことを弟のように心配するのだ。更に、ギソプに出会うことでその後諦めていたことへチャレンジすることを決めたりと前向きな感情になっており、視覚障害者を扱った内容でも悲惨な気持ちにならないのだ。

犯人が誰であるのか鑑賞者には始めから判っており、それを踏まえた上で、犯人の行動を追っていくのである。誰もが感じると思うが、この犯人は不死身なのかと思ってしまう。しかも刑事を簡単にやっつける強い奴で、そんな奴がスアやギソプを襲うのだ。盲目のスアの奇襲もあり、犯人との攻防は緊張感あるものになっているけど、犯人強すぎだろ。

この作品は、シナリオが素晴らしい。ひき逃げ犯と目の見えない証言者というところから動いており、所々でみせる連続女子大生失踪事件の動向を挟み込んでいるのだ。犯人が終始スアの近くにいることでスリラー要素を増幅させているのだ。映像の創り方も注目するところで、スアの視覚を映像で表現しているところがポイントを上げている。あと、愛くるしい盲導犬スルギの演技もよく撮れている。前作の『阿娘』と同様でストーリーの構成が良くて、楽しめるものになっている。

【なめ犬的おすすめ度】 ★★★★
# by nameinuuuu | 2012-01-29 21:25 | 677.ブラインド | Comments(0)
韓国映画レビュー その676 「依頼人」
主役級のハ・ジョンウ、パク・ヒスン、チャン・ヒョクが共演していることで注目されている作品だろう。

依頼人
制作年:2011年
監督:ソン・ヨンソン
出演:ハ・ジョンウ、パク・ヒスン、チャン・ヒョク
ジャンル:サスペンス


フィルムスタジオで働くハン・チョルミン(チャン・ヒョク)は、妻(ユ・ダイン)との結婚記念日のため花束とプレゼントを持って、車で早朝5時マンションに帰宅する。マンションのまえは、騒がしくてパトカーや救急車が停まっており、人ごみを掻き分けて自宅マンションに入ると警察たちが捜査している。ハン・チョルミンは、結婚記念日の料理が用意されているリビングを通り、寝室のベッドが真っ赤な血で染まっているのをみる。警察は、帰宅したハン・チョルミンを妻を殺害した容疑で逮捕した。部屋には、血痕が残っているだけで、妻の体が存在せず、殺害した凶器もない。弁護士に勝てそうな事件の弁護を紹介して手数料を取る仕事をしているチャン・ホウォン(ソン・ドンイル)は、友人のカン・ソンヒ弁護士(ハ・ジョンウ)にハン・チョルミンが起こしたとされる妻殺人事件の弁護を紹介するが一度断られる。ハン・チョルミンが、深夜に拘置所内で首吊り自殺未遂を起こしたことで、チャン・ホウォンはカン弁護士を責める。そして元検事のカン弁護士は、ハン・チョルミンの弁護を引き受けることを決める。カン弁護士は、事件発生したマンションで現場検証して、弁護士事務所の事務長(キム・ソンリョン)と一緒に事件の背景を調べる。更にチャン・ホウォンもカン弁護士の指示によって、事件真相の調査を協力する。被告側が、事件を調査すると不明点が多く出てくることが判明する。そこで調査する時間が必要なため、カン弁護士は裁判の開始期日を引き延ばす方法として陪審員裁判を要請して、裁判所もこれを認める。警察と検察の騒がしい動きをみせながら、ハン・チョルミン被告の陪審員裁判が開廷される。果たして、ハン・チョルミンが妻を本当に殺したのか、それとも新事実がみつかるのかというお話。

監督は、『略奪者たち』のソン・ヨンソン監督。
出演は、カン・ソンヒ弁護士を演じるのは『国家代表』『哀しき獣 (原題:黄海)』のハ・ジョンウ、アン・ミノ検事を演じるのは『素足の夢』『血闘』のパク・ヒスン、ハン・チョルミン被告を演じるのは『ペントハウス エレファント』『うさぎとリザード』のチャン・ヒョク、カン弁護士の仲間チャン・ホウォンを演じるのは『フェスティバル』『子供たち...』のソン・ドンイル、カン弁護士の事務長を演じるのは『うちの学校のET』『春香秘伝 The Servant (原題:房子伝)』のキム・ソンリョン、部長検事を演じるのは『過速スキャンダル』『私たちの隣の犯罪』のチョン・ウォンジュン、ハン・チョルミンの妻を演じるのは『マンデート:神がくださった任務』『ヘファ、ドン』のユ・ダイン、ソ刑事を演じるのは『ヘファ、ドン』『世界で一番美しい別れ』のパク・ヒョックォン、判事を演じるのは『子供たち...』『ヘッド』のチュ・ジンモ、イ刑事を演じるのは『生き残るための3つの取引 (原題:不当取引)』のファン・ビョングク。

死体のない殺人事件で、妻を殺したとして夫が殺人罪で被告になり、無罪を主張するカン弁護士含む被告側、状況証拠から妻を殺したと主張するアン検事含む検察側、双方がそれぞれ主張して陪審員が判断を下す法廷サスペンスである。

被告側であるカン弁護士、チャン・ホウォン、事務長が、裁判前に事件を調査することで幾つかの疑問点が浮かびあがってくるのだ。妻に恋人がいると主張するハン・チョルミンであるが検察の捜査からそのような人物は存在しないこと、マンションに設置している隠しカメラのデータがなくなっていること、ハン・チョルミンの指紋が擦れていること、殺害凶器がみつかっていないこと、事件当日ハン・チョルミンが夜中に車で事故を起こしていたこと。警察は、午前1:30にハン・チョルミンの自宅マンションの現場に到着していることで、その前後の時間にハン・チョルミンが何をしていたのかをカン弁護士たちが調査していき、法廷で無罪を主張していくのである。

検察側であるアン検事は、遺体や凶器といった物的証拠がみつかっていないが、ベッドに残された大量の血が妻のDNAと一致していることや外部からの他の侵入者がいないことで、状況証拠からハン・チョルミンが犯人だと主張している。科学捜査によるとハン・チョルミンだけが犯行を行えると推測しているのである。

裁判は、複数日によって開かれており、その都度新証言が出てくるのである。妻殺人事件を担当しているイ刑事(ファン・ビョングク)がマンションの隠しカメラのデータを管理人から押収していたことがわかったり、ハン・チョルミンは女子高生強姦殺人事件の容疑で警察に事情聴取をされて釈放後もマークされていたり、女子高生強姦殺人事件の担当していたソ刑事(パク・ヒョックォン)がハン・チョルミンを常にマークしていたり、女子高生強姦殺人の容疑をかけられている夫を知った妻が悩んでいるのを妻の母が裁判で証言したり、妻が精神的に弱っていたり、このような情報が出てくることによってパズルのピースが徐々に埋まっていくのである。裁判が進行する中、マンションから遠く離れたところで、夜中にハン・チョルミンの所有している車をみたという老人と少年をチャン・ホウォンが見つけだし、思わぬ展開になっていくのである。

法廷でのカン弁護士とアン検事の討論が、どのように演出しているのか期待していた。終盤以外は、法廷での戦いが淡々としているので、アメリカ映画でこのジャンルを見慣れている人からすると演出不足と感じるかもしれない。裁判期間中に外を走りまわって調査しているカン弁護士やチャン・ホウォン、ひそひそしているアン検事や部長検事や警察の動きの方が面白くみえてしまった。見せ所としては、最終弁論で判事や陪審員たちだけでなく傍聴者たちもひきつけたカン弁護士の演出であろう。妻に対して自分を責めて涙するハン・チョルミン被告、状況証拠だけでも力強い論説で陪審員たちに問いかけるアン検事。

鑑賞中ずっと不思議に思っていたことで、裁判の中で時系列に物事を説明していないから、ハン・チョルミンの自宅マンション内の血だらけのベッドを発見した第一発見者って他人の家に無断で侵入しているから、どのようにしてみつけたのかを論じるところから始めなければいけないと感じた。それをやってしまうと中盤の流れが壊れるから、敢えて避けていたのはわかるが。そう考えると部分部分は良く出来ているが、整理されて構成されていないと感じてしまった。

判事や陪審員たちの物語が全くなくて、単なる判決を下すだけの存在になっていた。良く云えば公正な立場の人たちだからと反論されるが、陪審員裁判で人が人を裁くからこそ公正な立場の人たちの感情というのがみたかった。これでは、時間稼ぎだけの制度として利用しただけになっている。検察側が状況証拠だけで起訴していたので、事件の核心に迫る何かがあって陪審員たちを唸らせるようなところを期待するかもしれないが、ちょっと残念な出来になっている。裁判ものって、「裁判の判決」と「真実」が本当はどのようになっているのかを終盤にみせるのが定石になっている。はっきり云って結末は、ほぼ予想通りだった。法廷で偽証している人物がおり、終盤にそのことが判明するシーンがあるのだ。どんでん返しを狙って表現したのか、韓国の裁判で偽証罪が多いことを自虐的に表現したのか知りたいところである。

【なめ犬的おすすめ度】 ★★★
# by nameinuuuu | 2012-01-25 23:34 | 676.依頼人 | Comments(0)
韓国映画レビュー その675 「生き残るための3つの取引 (原題:不当取引)」
生き残るための3つの取引 (原題:不当取引)
制作年:2010年
監督:リュ・スンワン
出演:ファン・ジョンミン、リュ・スンボム、ユ・ヘジン
ジャンル:サスペンス
鑑賞:日本版DVD


ソウルで女児連続殺人事件が起こっており未だ犯人が捕まらないことで、大統領まで警察に対して事件解決を強く命じている。有力な容疑者ユ・ミンチョルを追い詰めた二人の刑事であったが、片方の刑事が容疑者ユ・ミンチョルを射殺してしまった。警察上層部は、ユ・ミンチョルが証拠不十分で真犯人だと証明できないため、その事実をもみ消して、生きている犯人をでっち上げ、女児連続殺人事件を終わらせようと考える。警察庁の広域捜査隊班長チェ・チョルギ刑事(ファン・ジョンミン)は、優秀で結果を残しているが警察大卒でないこともありなかなか出世できず、隣りの班の警察大卒のパク班長がチーム長に出世する予定でいる。最近、チェ・チョルギ刑事は、不正入札でテギョングループのキム会長(チョ・ヨンジン)を逮捕して、検察に送検した実績もある。チェ・チョルギ刑事は、独身で唯一の家族は嫁にいった妹とその夫キム・ホソンである。チェ・チョルギ刑事の義弟になるキム・ホソンは、働かず夜遊びしており、元暴力団でヘドン建設社長のチャン・ソック(ユ・ヘジン)から多額の現金を受け取っていたことが警察の監察班に発覚され、チェ・チョルギ刑事は班長の身分証を剥奪されてしまう。窮地に陥ってしまったチェ・チョルギ刑事に対して、カン局長(チョン・ホジン)が女児連続殺人事件の犯人でっち上げを命じ、成功すれば全てチャラになり昇進するチャンスがあることでチェ・チョルギ刑事はそれを引き受ける。カン局長が監察班に圧力をかけてチェ・チョルギ刑事の処分を保留にして、班長として捜査できるようになる。チェ・チョルギ刑事は、まずユ・ミンチョルの死体を深夜に片付け、女児連続殺人事件の担当になり、前科者リストの中からイ・ドンソク(ウ・ドンギ)を容疑者と決定し、チャン・ソック社長にも協力してもらい、イ・ドンソクを犯人になるように仕立てあげ、チェ・チョルギ刑事がイ・ドンソクを逮捕する。一方、チュ・ヤン検事(リュ・スンボム)は、送検されたキム会長から金品の賄賂を受け取っており、金銭面で世話になっていることで起訴せずに釈放した。チュ・ヤン検事は、キム会長と一緒にゴルフ場に行きプレーしていたとき、そこでキム会長が謎の人物に刺殺されてしまう。後日、チュ・ヤン検事の仕事場にキム会長との癒着の証拠写真が封筒で送られてくる。保身と出世のため犯人捏造するチェ・チョルギ刑事、キム会長との癒着を嗅ぎつけられ隠そうとするチュ・ヤン検事、元暴力団で今でも裏家業をするヘドン建設のチャン・ソック社長、三つ巴の戦いをみせながら事件が二転三転していくお話。

監督は、『相棒 シティ・オブ・バイオレンス』『タチマワ・リー -悪人よ 地獄行急行列車に乗れ』のリュ・スンワン監督。
出演は、ソウル広域捜査隊の警察班長チェ・チョルギ刑事を演じるのは『影殺人』『オガムド』のファン・ジョンミン、ソウル中央地方検察庁のチュ・ヤン検事を演じるのは『タチマワ・リー -悪人よ 地獄行急行列車に乗れ』『容赦はない』のリュ・スンボム、ヘドン建設社長のチャン・ソックを演じるのは『チョン・ウチ 時空道士 (原題:田禹治)』『黒く濁る村 (原題:苔)』のユ・ヘジン、警察庁のカン局長を演じるのは『炎のように蝶のように』『悪魔を見た』のチョン・ホジン、チェ・チョルギの部下マ・デホ刑事を演じるのは『仁寺洞スキャンダル』『深夜のFM』のマ・ドンソク、殺人事件容疑者イ・ドンソクを演じるのは『私のちいさなピアニスト (原題:ホロビッツのために)』『食客』のウ・ドンギ、テギョングループのキム会長を演じるのは『影殺人』『実家の母』のチョ・ヨンジン、チュ・ヤン検事の部下コン捜査官を演じるのは『深夜のFM』『哀しき獣 (原題:黄海)』のチョン・マンシク、チュ・ヤン検事の上司の部長検事を演じるのは『トライアングル』『ベストセラー』のイ・ソンミン、チャン・ソックの部下スイルを演じるのは『ワンス・アポン・ア・タイム』『タチマワ・リー -悪人よ 地獄行急行列車に乗れ』のキム・スヒョン、チャン・ソックの部下ウンチャンを演じるのは『チェイサー (原題:追撃者)』『味噌』のク・ボヌン。

刑事(チェ・チョルギ)、検察(チュ・ヤン)、裏組織(チャン・ソック)、といった三つがお互いに弱みを握りながら相手を脅していき、更なる事件が発生していき、底なし沼にはまりこんでいくサスペンスである。

チェ・チョルギ刑事は、家族や仲間のために始めたカン局長との取引(女児連続殺人事件の犯人でっち上げ)から、悪に染まっていくのである。チャン・ソック社長から多額の資金提供を受けた義弟キム・ホソンが、チェ・チョルギ刑事を苦しめ、更に直属の部下で一番信頼しているマ・デホ刑事(マ・ドンソク)が過剰捜査をしたことで上層部から指摘されるのだ。チェ・チョルギ刑事は、自分の失態でなく、周囲の人物たちの失態によって起きたのだ。チェ・チョルギ刑事は、犯人でっち上げをチャン・ソック社長たちと一緒に組んで実行していることから、チャン・ソック社長に弱みを握られるのだ。また、チュ・ヤン検事からは、チェ・チョルギ刑事とチャン・ソック社長によって犯人でっち上げをしたと読まれてしまい、しかも義弟キム・ホソンがチャン・ソック社長から多額の資金を受けた事実もばれてしまい弱みを握られるのだ。双方から弱みを握られるチェ・チョルギ刑事が、チュ・ヤン検事とチャン・ソック社長をどのように対処していくのかが見せ所である。

チュ・ヤン検事は、テギョングループのキム会長からの賄賂を受け取っていることが、チャン・ソック社長とチェ・チョルギ刑事にばれてしまうのだ。チュ・ヤン検事は、女児連続殺人事件の担当になり、警察から送検されたイ・ドンソクが、チェ・チョルギ刑事とチャン・ソック社長によって偽装された犯人と気づき、チェ・チョルギ刑事とのにらみ合いが続くのである。その後、お互いの悪事を知ってしまった二人は、それを封印するために取引をするのである。

チャン・ソック社長は、元暴力団であり、建設業界内で煙たかれている存在である。テギョングループのキム会長が逮捕されているとき、その隙に高層ビルの落札に成功したのだ。チャン・ソック社長の部下には、側近のスイル(キム・スヒョン)、実行部隊サルス(ペク・スンイク)、運転手ウンチャン(ク・ボヌン)がおり、いつも一緒に行動をしている。チャン・ソック社長は、チェ・チョルギ刑事との取引(イ・ドンソクを犯人にでっち上げる準備)によって、広域捜査隊からある程度の悪事は目をつぶってくれると読んでいるのだ。建設業界のライバルであるテギョングループのキム会長を目の敵にしており、キム会長とチュ・ヤン検事が繋がっていることをつきとめ、チュ・ヤン検事に対しての弱みを握るのだ。

チェ・チョルギ刑事とその部下五人、チュ・ヤン検事と部下のコン捜査官(チョン・マンシク)、チャン・ソック社長と部下三人、それぞれの組織に属する人たちが3つの取引(局長-チェ・チョルギ刑事、チェ・チョルギ刑事-チュ・ヤン検事、チェ・チョルギ刑事-チャン・ソック社長)によって巻き込まれていくのである。警察と検察の不正ばかり、特に警察内部でのコネやチクリやヒガミが目立っており、足の引っ張り合いをしているようにみえるのだ。警察という組織が犯人をでっち上げることを上層部で決めて、チェ・チョルギ刑事は実行部隊にすぎないのだ。検察も送検された人物を個人的な問題で起訴するかどうか決めてしまうところも、これでよいのかと正義を疑ってしまう。この作品に登場しているほとんどの人物は悪者ばかりだから、正義は皆無なのであろう。

主要人物の三つ巴の戦いが主であるが、警察内部や検察内部や裏組織内部の裏切りもひとつの見せ場であろう。誰が誰を裏切るのかというところが、中盤から終盤に何度も出てくるので、そこが盛り上がるところであろう。女児連続殺人事件の真相も終盤に決着して、皮肉な結末になっているのである。中盤から終盤に向かうところで、カン局長がチェ・チョルギ刑事に「後味は悪いよな」ってところから、更に後味が悪くなる展開になっていく。最後の方は死の連発で、血の臭いで充満しているのだ。登場人物が多いことで誰がどの組織に属しているのか、誰と誰が繋がっているのか、誰が誰を裏切るのかというところを見極めていくと楽しめるであろう。かなりご都合的なシーンもあり、もう少し工夫して欲しいところもあった。個人的には、リュ・スンワン監督の作品と相性が悪いみたいで、高い評価にならない傾向がある。

【なめ犬的おすすめ度】 ★★★
# by nameinuuuu | 2012-01-21 11:29 | 675.生き残るための3つの取引 | Comments(0)
韓国映画レビュー その674 「ジョンフンさんの恋愛日記 (原題:8番目の感情)」
ジョンフンさんの恋愛日記 (原題:8番目の感情)
制作年:2010年
監督:ソン・ジヘ
出演:キム・ヨンホ、ファン・イニョン、ユン・ジュヒ
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
鑑賞:日本版DVD


ソウルの有名ギャラリーのキュレーターであるジョンフン(キム・ヨンホ)は、釜山のチョン画伯のアトリエを訪れるが、チョン画伯の友人ナム教授の妻が亡くなったことを知り、チョン画伯も葬儀の手伝いをするため、暇になってしまう。ジョンフンは、知り合いだった看護婦のウンジュ(ユン・ジュヒ)に会いに行き、笑顔で迎えてくれた。ジョンフンは、ウンジュが恋人と別れていたことを知り、二人で楽しい時間を過ごし、かつて好きだった想いが蘇りウンジュと恋に落ちる。ソウルに戻ってきたジョンフンは、喧嘩別れをしたソニョン(ファン・イニョン)が事務所にやってきた。ジョンフンは、ソニョンにはっきりと別れることを云い、好きな女性がいることを告げる。ジョンフンは、ソウルと釜山を行き来しながら、ウンジュとの恋愛が加速して、お互いの両親に挨拶する。そしてジョンフンは、ウンジュとの結婚を決心する。そんなとき、展示会でソニョンと再会したジョンフンは彼女に対して中途半端な言葉をかけることで傷つけてしまう。ジョンフンは、その展示会で魅力的な作品を出展した女流画家ソニ(ソン・ウニョン)と出会い、再度釜山で再会してドライブをし、ソニに少し興味を持つ。ジョンフンは、ウンジュと結婚するが、その後大きな現実を体験することで、彷徨う男心を描いたお話。

監督は、『夏が過ぎゆく前に』のソン・ジヘ監督。
出演は、キュレーターのジョンフンを演じるのは『美人図』『夏夏夏』のキム・ヨンホ、ジョンフンの元恋人ソニョンを演じるのは『ファミリー』『殺人の川』のファン・イニョン、看護婦のウンジュを演じるのは『彼女はきれいだった』『炎のように蝶のように』のユン・ジュヒ、女流画家ソニを演じるのはソン・ウニョン、ジョンフンの後輩サンミを演じるのは『美術館の隣の動物園』『ヒューマニスト』のイ・ギョンソン、ジョンフンの後輩トンウを演じるのは『心臓が脈打つ』のチョン・ビョンチョル、チョン画伯を演じるのは『逆転の名手』『お客様は王だ』のミョン・ゲナム。

女性監督が、中年の独身男性の恋愛心理を描写しており、新たな女性との出会いや旅行先で気持ちが変化していく男性の感情を描いている。ジョンフンと接触する女性陣は主に四人で、ソウルで恋人だったソニョン、釜山で再会した看護婦ウンジュ、展示会で出会う女流画家ソニ、仕事仲間の後輩サンミ(イ・ギョンソン)である。

ジョンフンの愛情は、ソニョンからウンジュに移り、結婚が近づいてきた頃には愛の温度は低下し、結婚したが新婚旅行で気持ちが離れ、実生活において現実を知ることで離婚してしまうのである。それまでの過程をジョンフンの心情をみせながら、何故そのようなことになったのかをみせている。ジョンフンの性格に問題があるようにみえ、一番表面化しているのは曖昧な発言や態度なところであり、相手に対して気遣いのない人であり、自分が一番好きな人にみえる。

ジョンフンとウンジュが、釜山で恋に落ちて、両親に挨拶をしてとんとん拍子で結婚へと進み、二人の感情に少し差があるのがみえるのだ。ウンジュは、釜山での再会から好意を持ち、愛を育み、結婚まで進み大きな理想を夢みている。ジョンフンは、結婚が近づくにつれて感情の高ぶりがなくなってきているのがみえる。フィジーに新婚旅行へ行くことで、ウンジュが本当のジョンフンを知ってしまうのだ。

フィジーでの新婚旅行は、ジョンフンとウンジュを題材にして、オスとメスの動物生態観察になっている。ナレーションを入れながら、オスのジョンフンとメスのウンジュの行動がどのような感情を持っているかを解説していく作風になっている。メスは着飾ることでオスを誘惑したり、大自然の前で野性本能をみせるオス、そんなオスの姿に苛立つメス、慰めて欲しいメスの気持ちに気づかず行動するオス、といった具合にもともとオスとメスは違うことを動物に例えた形で言葉にしているのだ。ジョンフンとウンジュの感情を表現するには分かりやすい構成になっている。ナレーションなしでもジョンフンとウンジュの行動や表情で読みとれるけど。

ジョンフンとソニョンとは、もともと軽い喧嘩が原因で別れたようにみえており、ソニョンはジョンフンに未練があるようにみせている。ジョンフンがウンジュと結婚を決めたことで、ソニョンと完全に別れるのであるが、ソニョンを傷つけていることに鈍感なジョンフンの姿が情けない。離婚が決まった中盤あたりで二人が再会するのであるが、相変わらずのジョンフンにソニョンの冷淡な表情が印象的にみえてしまうのだ。

仕事仲間の後輩サンミに関しては、ジョンフンとは先輩後輩という関係であり、お互い恋愛関係はない。サンミとソニョンが友人であることで、ジョンフンの恋愛がどのようなものなのか分かっており、今までのジョンフンのことも知っている。気を許している仲間だからジョンフンはサンミに着飾らない姿もみせており、その姿を知っているから先輩後輩の関係が続いているのであろう。

女流画家ソニとは、序盤にソウルで対面、中盤に釜山で再会しドライブ、終盤に釜山でみかけるという流れになっている。ジョンフンのソニに対しての気持ちをみせている。中盤にソニが恋愛やタバコについて話していた伏線らしきところは、終盤に繋がる仕組みになっているのであろう。ジョンフンが停車して車の中で遠くからソニやその仲間たちとのやりとりのところである。ジョンフンは、それに気づいたようにみえたが、鈍感なジョンフンが本当に気づいたかは定かではない。

男性ジョンフンの恋愛においての心理を女性監督の視点でみせているのは興味深いところだ。はっきり云ってジョンフンって男としてダメな奴である。それよりも、ソニョン、ウンジュ、ソニ、サンミといった女性陣の心理描写が上手いところに目がいってしまった。

【なめ犬的おすすめ度】 ★★
# by nameinuuuu | 2012-01-17 18:30 | 674.ジョンフンさんの恋愛日記 | Comments(0)
韓国映画レビュー その673 「男たちの挽歌 (原題:無敵者)」
正月あけて風邪をひいて寝込んでしまい更新が滞ってしまった。
香港映画『男たちの挽歌 (原題:英雄本色)』と『男たちの挽歌Ⅱ (原題:英雄本色Ⅱ)』は、ビデオテープを持っていた気がする。このシリーズ4作まであったかな。レンタル屋でⅢとⅣを借りようかな。

男たちの挽歌 (原題:無敵者)
制作年:2010年
監督:ソン・ヘソン
出演:チュ・ジンモ、ソン・スンホン、キム・ガンウ、チョ・ハンソン
ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ
鑑賞:日本版DVD


兄キム・ヒョク(チュ・ジンモ)と弟キム・チョル(キム・ガンウ)の兄弟は、北朝鮮を脱出して生き別れになってしまう。ヒョクは、親友の北朝鮮出身の元特殊部隊員ヨンチュン(ソン・スンホン)と一緒に違法武器商人をしており、チョン社長(キム・ヘゴン)の下で釜山を拠点にして働いている。ヒョクは、海外で武器の取引をしているとき、いつも弟チョルの行方を捜しており、手がかりがみつからないでいる。ある日、ヒョクのことを親身に世話してくれるパク警部(イ・ギョンヨン)から、弟チョルが見つかったと連絡が入る。兄ヒョクは弟チョルがみつかったことで喜んでいるが、逆に弟チョルは兄ヒョクを憎んでいる。チョルは、北朝鮮で収容所に入ることになり、そこで母が亡くなり、収容所を出所してから北朝鮮を脱出して、第三国を転々として韓国にきた。ヒョクは、チョン社長の甥テミン(チョ・ハンソン)を連れて、タイで武器取引をするが、そこでタイの武器商人たちに襲われ、ヒョクだけがタイ警察に逮捕されてしまう。ヒョクの逮捕を知ったヨンチュンは、タイの武器商人たちに敵討ちを行い、相手ボスを銃で殺害するが、右足を銃で撃たれ重傷を負う。テミンの裏切りによって、ヒョクははめられてしまい、ヨンチュンも怪我したことで武器商人の中で下っ端になってしまう。三年が過ぎ、ヒョクは刑期を終えて韓国の釜山に戻る。その間、弟チョルは釜山で刑事になっており、ヨンチュンは右脚を引きずりながら武器商人たちの洗車係をしている。テミンは、武器商人組織のボスになっており、ロシアのマフィアと取引している。弟との仲を取り戻したい兄ヒョク、裏切り者テミンへの復讐を誓うヨンチュン、武器商人組織を検挙しようと燃える弟チョル、今の地位を守ろうとするテミン、四人のそれぞれの戦いを描いたお話。

監督は、『力道山』『私たちの幸せな時間』のソン・ヘソン監督。
出演は、兄キム・ヒョクを演じるのは『愛 サラン (原題:愛)』『霜花店』のチュ・ジンモ、ヒョクの親友イ・ヨンチュンを演じるのは『あいつは格好よかった』『宿命』のソン・スンホン、ヒョクの弟キム・チョルを演じるのは『マリン・ボーイ』『オガムド』のキム・ガンウ、チョン・テミンを演じるのは『残念な都市』『ガソリンスタンド襲撃事件2』のチョ・ハンソン、パク警部を演じるのは『愛の傷 (原題:シュロの木の森)』『まぶしい日に』のイ・ギョンヨン、おばさんを演じるのは『TSUNAMI-ツナミ- (原題:海雲台)』『国家代表』のキム・ジヨン、チョン社長を演じるのは『家門の危機 (原題:家門の危機-家門の栄光2)』『家門の復活-家門の栄光3』のキム・ヘゴン、イ刑事を演じるのは『離れの選手とお母さん』『私の愛、私のそばに』のイム・ヒョンジュン、チョ検事を演じるのは『おもしろい映画』『喧嘩 -ヴィーナス vs 僕- (原題:けんか)』のソ・テファ。

ジョン・ウー監督の香港映画『男たちの挽歌 (原題:英雄本色)』のリメイク。本作品にジョン・ウー自ら製作総指揮をとっていることでオリジナルの良さを残しながら、脱北者が主人公になっていたり、タイ組織やロシア組織が取引相手となっていることで国際色豊かになっており、それなりに工夫している。チョウ・ユンファをチュ・ジンモ、ティ・ロンをソン・スンホン、レスリー・チャンをキム・ガンウ、といった感じになっている。さすがにオリジナルを超えることはできないが、兄弟愛があったり、親友との友情があったり、ガン・アクションがあったりとちゃんとツボをおさえている。

ヒョクを中心にして人物の繋がりをみていくと分かりやすくなるであろう。故郷では仲良しであった兄ヒョクと弟チョルだが、兄ヒョクの北朝鮮脱出成功によって弟チョルが北朝鮮での苦い経験を味わい兄を憎むようになってしまう。壊れてしまった兄弟の絆をどのようにして修復していくのかをみせている。ヒョクと親友ヨンチュンは、行動を共にしており、お互い信頼している仲である。ヨンチュンがヒョクを兄貴と呼んでいることから、親友というよりか義兄弟みたいな感じにもみえてしまう。臆病なテミンは、ヒョクやヨンチュンから下っ端にみられており、二人を罠にはめることで自らが組織の上へと登ってしまうのだ。脱北した際に韓国で何かと世話をしてくれているのがパク警部で、ヒョクの父のような存在になっている。屋台のおばさん(キム・ジヨン)は、パク警部が小さいときから世話になっている人だから、ヒョクもおばさんに気を許している。ヒョクとヨンチュンは、テミンからの裏切り行為があったからといって、ボスのチョン社長は絡んでいないことで恨んでいない。序盤からヒョクが刑期を終えてまで、スピーディーにストーリーが展開されるので、人物相関を考えながらみた方がよいであろう。

弟チョルは、脱北者でありながら刑事になり、武器商人組織のテミンたちを捜査しているのである。チョルの描き方は、兄をどのようにして受け入れればよいのか苦悩している姿であろう。チョルは警察の上司から、兄の存在によって、刑事の仕事に支障が出ており、邪魔な存在であり憎き者ながら、完全に縁を切ることが出来ずにいるのだ。このあたりの心の葛藤はしっかりみせており、二人の距離が徐々に縮まっているのがみえるのだ。警察内部での物語もあり、妻子のいるイ刑事(イム・ヒョンジュン)と同乗したとき家族について教えられたり、テミンの手下に車で追突されてイ刑事が亡くなり、重傷したチョルはテミンに対して復讐心を持ち、ヒョクやヨンチュンと繋がる展開になっている。

ヨンチュンの見せ場となっているのが、タイの武器商人組織たちとの銃撃戦であろう。一人で相手に乗り込み、二丁拳銃で敵を撃ち殺していくのである。チョウ・ユンファの二丁拳銃を彷彿させるようなシーンであり、このあたりもしっかり演出されている。親友の敵討ちのシーンであるから見応えあるが、格好つけて帰り際に倒れた敵に足を撃たれるところはダサかった。でも、三年後ヒョクと再会して足の怪我のことを聞かれても事故でなったと嘘を云って、本当のことを云わないあたりは男気を感じるところである。

悪役のテミンのみせ方もなかなか面白い形になっている。ヒョク、ヨンチュン、チョルの共通の敵になるのだ。恐怖で怯える弱い心は終始変わっていないのである。口だけは達者で威勢はよいが、臆病な性格は変わっておらず、まさに口だけ番長である。

名作のリメイクだから心配していたが、オリジナルを壊さず、それなりに出来ている。オリジナルにあった恋愛要素を抜いているので、女性の姿がほとんどなく、男臭いものになっているが、その男臭いところが見所であろう。アクションをベースにして、人間ドラマを強く押しているので、そこそこ楽しめるつくりになっている。

【なめ犬的おすすめ度】 ★★★
# by nameinuuuu | 2012-01-13 23:49 | 673.男たちの挽歌 | Comments(0)
韓国映画レビュー その672 「戦火の中へ (原題:砲火の中へ)」
2010年に字幕なしで鑑賞しており、そのときイマイチだったから、改めて日本語字幕付きで観てみたが全く感想が変わらなかった。

戦火の中へ (原題:砲火の中へ)
制作年:2010年
監督:イ・ジェハン
出演:チャ・スンウォン,クォン・サンウ,チェ・スンヒョン,キム・スンウ
ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ
鑑賞:日本版DVD


1950年6月25日、北軍の侵攻によって朝鮮戦争が始まり、南軍が半島の南端へと追い詰められる。その年の8月、劣勢になった南軍は、最後の砦である洛東江を死守するため、全兵力を投入しようとしていた。浦項に駐留する南軍大尉のカン・ソクテ(キム・スンウ)の部隊も招集命令される。カン・ソクテ大尉は、浦項を防御するため、戦闘経験のある三人の学徒兵からオ・ジャンボム(チェ・スンヒョン)を中隊長に任命し、戦闘経験のない68人の学徒兵を含む全71人に委ねる。学徒兵の中には、少年院送りを免れるため志願したガプチョ(クォン・サンウ)がいる。部隊の規律を乱すガプチョは、いつも中隊長ジャンボムと衝突しており、そんな中で射撃訓練をして敵からの攻撃に備えたり、亡くなった南軍の兵士たちを埋葬する。北軍の766部隊を率いるパク・ムラン少佐(チャ・スンウォン)は、上層部の指示を無視して、学徒兵たちが守る浦項へのルートを進んでいた。北軍の偵察隊と二度の銃撃戦をした南軍の学徒兵たちは、死傷者を出すことになり、浦項女子中学校に立て籠もってカン大尉に状況を無線で通達する。パク・ムラン少佐率いる北軍の766部隊と南軍の71人学徒兵が攻防戦を行うお話。

監督は、『私の頭の中の消しゴム』『サヨナライツカ』のイ・ジェハン監督。
出演は、北軍少佐のパク・ムランを演じるのは『目には目、歯には歯』『シークレット』のチャ・スンウォン、南軍学徒兵のク・ガプチョを演じるのは『宿命』『悲しみよりもっと悲しい物語』のクォン・サンウ、南軍学徒兵の中隊長のオ・ジャンボムを演じるのは本作スクリンデビューの歌手チェ・スンヒョン(T.O.P)、南軍大尉のカン・ソクテを演じるのは『浜辺の女』『恋愛、その堪えられない軽さ』のキム・スンウ、南軍学徒兵のヨンマンを演じるのは『ジェニ、ジュノ』『暴力サークル』のキム・ヘソン、南軍学徒兵のナムシクを演じるのは『ファム・ファタール (原題:無防備都市)』『GP506』のク・ソンファン、南軍学徒兵のダリョンを演じるのは『悲しみよりもっと悲しい物語』『顔と心と恋の関係 (原題:私の目にさや)』のシン・ヒョンタク、南軍学徒兵のイ・ヨンベを演じるのは『今、このままがいい』『うちにどうして来たの?』のムン・ジェウォン、南軍学徒兵のチェ・ジェソンを演じるのは『うちの学校のET』『4時間目 推理領域』のキム・ドンボム、南軍看護婦ファランを演じるのは『甘いウソ』『実家の母』のパク・チニ、オ・ジャンボムの母を演じるのは『宮女』『うちの学校のET』のキム・ソンリョン。

戦争映画特有の銃撃戦や戦車や手榴弾や肉弾戦といったアクションを交えながら、青年に満たない南軍の学徒兵たちの特別な感情をみせながら、いつも衝突しているジャンボムとガプチョを中心に人間ドラマをみせている。

ジャンボムは、緊張と恐怖によって戦場で味方の兵士が敵にやられているのに応戦できず、重傷の南軍兵士を救急所に運ぶのがやっとのことである。まだ青年になっていない少年というのがジャンボムの人物像であり、肉体的には大人と変わらないが精神的には子供というのをみせている。そんなジャンボムが中隊長に任命され、不安な気持ちでありながら学徒兵たちを纏めていくのである。未成熟な点として、常に母(キム・ソンリョン)のことばかり気にしているところが目立つのである。

両親を北軍に殺害されたガプチョは、チンピラのようにぐれており、二人の仲間とつるんでいる。北軍兵士に対しては恨みを持ち殺気だっており、戦闘能力は高いが仲間との連帯感がなく、纏め役のジャンボムといつも衝突しているのだ。二人の内部対立構図をみせながら、終盤に二人が協力していくのは戦争ものとしては定番なみせ方であろう。

北軍のパク・ムラン少佐は、敵側の視点という形でみせている。パク少佐は、直属部下から党の命令に従うように説得するが、党よりも上の存在である金日成から直接命じられたことを理由に党の命令を無視して行動をするのである。南軍学徒兵ダリョン(シン・ヒョンタク)が北軍の捕虜になり、パク少佐自ら捕虜を連れて浦項女子中学校に行くところや煩い味方の直属部下を躊躇なく射殺するところなんかは、北軍部隊の大ボスといった貫禄がみえる。最後までパク少佐の存在感と圧倒感は抜群であった。

カン大尉は、南軍上層部や学徒兵たちとのパイプ役になっている。学徒兵たちが、北軍から攻撃されていることを知り、応援要員を出すように南軍上層部にかけあったり、アメリカ軍にかけあったりする。終盤だけみるとおいしいところを持っていっているが、全体構図としては脇役に徹しているので、その点はバランスがとれている。

正直なところ、戦争作品の一般的なアクションといった感じになっており、人間ドラマの部分に関しては心が躍るようなところもなく学徒兵の感情表現が浅くみえてしまった。学徒兵ではジャンボムとガプチョが中心になっており、他の学徒兵たちにも、もっとスポットを当てて終盤に見せ場があればと感じた。小隊長のチャンウとピョンテ、ヨンマンとヨンベの兄弟、無線係のジェソン、デブのナムシク、いつもふざけているグァンイル、ガプチョとつるんでいたプンチョンとワンピョ(中盤で北軍偵察隊に殺された)、といった駒があるのにだ。一番不自然なところで、学徒兵って十代半ばが対象だと思われるが、学徒兵を演じている役者をみるとどうみても立派な青年だし学徒兵に見えず、大人になりきれない学生の未成熟さといったところは表現できていない。全体像としては普通より落ちており、何か工夫が欲しいところである。

【なめ犬的おすすめ度】 ★★
# by nameinuuuu | 2012-01-07 12:33 | 672.戦火の中へ | Comments(0)
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